第158話 ふたりの土魔法
「すごい。習得はやいね」
あっと言う間に地面を耕すことに成功したのは、伯爵隠し子。
ちょっとやり方を教えてだけで、すぐに同じことができた。
「それなら、これもできるかな」
レンガ作りもやってみる。
ただ、正式なやり方だと手順が多くて大変なので簡単な土レンガだ。
「ほら、これでレンガになる。やってみて」
「はい」
ひとつだけレンガができた。
「いきなりできるか。なら、もっと作ってみよう」
「はい」
今度はいっぺんに100個作る方法を教えた。
だけど、できたのは10個だけ。
「うーん。パワー不足みたいだ。テクはすぐマスターするけどパワーはミントにはかなわないな」
パワーのミント、テクの伯爵隠し子ってとこか。
最後の村娘はどうだろう。
「えっと、えいっ」
「あ、言葉はいいから、イメージで耕すつもりで」
どうも、うまくいかない。
魔力はそこそこありそうなんだけど、それを放出しようとすると拡散しがち。
「これは慣れが必要みたいだね」
「うーん」
「そうだ。3人で一緒にやってみよう」
僕がやってみせるより、初心者同士の方が参考になるかも。
「土を耕す様に魔力を放出します」
3人が一緒に耕す。
ミントと隠し子はうまくいくけど、村娘は何も起きない。
「うまくやろうって考えていません?」
「えー、どうだろう」
隠し子と村娘が話している。
「考えちゃうとダメなんです。地面に意識をむけて自分が地面に入ってかき混ぜる感じで」
「うーん、こんな感じかな」
もう一度、ふたりでやってみる。
すると、村娘の前も耕された。
「やった。できたぁ」
「よかったぁ~」
結局、今回の3人は土魔法を使うことができると評価された。
特にミントはパワーがすごく、パワーだけ見るとA級とまで言われる。
「こんなに素質があるのは久々に見ました」
伯爵のとこのお付きの魔導士がびっくりしている。
彼は魔法鑑定のスキルを持つ魔導士だ。
「そうだ。これも試してみようかな。土魔法の珍しい攻撃魔法、地震起こしだっ」
本気ではなく、軽くなので少し地面が揺れる。
「あ、ダメです。あーーー」
ミントが両手を地面につけて、地震起こしをしようとすると、お付き魔導士が止める。
「うわぁ、来たっ」
ぐらぐら揺れる地震が起きる。
パワーだけでテクをあまり必要としない魔法だからミントはすぐに習得する。
「危ないですよ。まだパワーの調整できないんだから。そういうのは当分禁止です」
あーあ。ミント、地震は禁止されてしまった。
でも3人とも、土魔法が使えるようになってよかったな。
土魔法使いが増えてます。
楽しく書いて、楽しく読んでもらえたらうれしいです。




