第126話 ここはひとつ、拳で聞いてみるというのはどうだろう
話が進まないな。
とりあえず、一発殴っておくか。
グーで、振りかぶって双子の横顔を殴りにかかる。
攻撃を予想していたらしく、回避に入る。
だけど、逃げる先は読み取れるから、グーの軌道を微調整して横顔に向かわせる。
ガツン。ごん。
ふたり、まとめて吹っ飛んで、地面に転がってしまう。
「痛ーい。ひどーい」
「このお兄さん、子供を虐めていますよ」
まだ元気だな。もう一発いれておこうか。
「「あ、やめて、やめて」」
「なら、誰に頼まれたか言うかい?」
「わかりました、言います。言います」
「こいつです。こいつが悪いんです」
バックから取り出したのは、白い鳩。
足に小さな筒が取り付けてあるから、伝書鳩だろう。
「その鳩を寄越したのは誰だ?」
「知りませんよ、そんなの」
「そうそう。依頼主のことなんて知りはずないじゃないですか」
白状する気はないらしい。
とりあえず、二人は暗殺者として訓練を受けているとわかった。
二人が住む、暗殺者の隠れ里に伝書鳩で依頼が入ったらしい。
「とりあえず、お前ら言っていることは信じよう」
「「ありがとうございます」」
「だけど、ここで殺しておかないとまた狙われても困るしな」
「「そんなことしません」」
さて、どうしようか。
そうだ、いいこと思いついた。
「隠れ里に案内してくれるかな」
「えっと・・・どうしよう」
「まずくない?ターゲットを連れていくのは?」
「単に、お前らの里のお偉いさんに会いたいだけだ」
「なんで?」
なんで会いたいのかな。
別に暗殺を依頼する予定なんてないし。
「暗殺者を育てている親分ってどんな人なのか、顔を見たいだけだよ」
「本当かな~。隠れ里で暴れたりしない?」
「暴れないよ。それとも、今、本気で暴れる方がいいかな」
「「やめて~」」
こいつら、暗殺者としては初心者みたいだな。
そうだ、なぜ、土魔法が使えなくなったか聞いておかないと。
「それは、これです」
私の背中にひっついているトゲトゲをひょいと取る。
その中には、1枚の護符が入っていた。
「この護符があればどんな強力な魔法使いでも封印できるんです」
「ただ、魔法の強さによって時間の制限はあるけど」
「ボロボロになっちゃっているから、もう効果なくなっていますよ」
本当かな。
ドン。
ちょっと、土の柱を作ってみる・・・あ、できた。
「そんな護符があるのか。気を付けないと」
「それなら、いい方法がありますよ。魔力をまわすとひっかかるような感じになるところに封印の護符があるんです」
「そんなこと、教えていいの?」
「だって、味方ってことになったんでしょ」
いつの間にそんなことになったんだ?
許した覚えなんてないんだが。
「隠れ里に案内してくれたら、考えてやるよ」
「ありがとうっ」
珍しく暴力的な主人公です。
楽しく書いて、楽しく読んでもらえたらうれしいです。
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