これは午後二時から、午後三時にかけての出来事
前回のあらすじ、・・・父さん、傍から見たら親娘を襲っているように見えなくもない光景な訳でして。
14:00:01
14:00:02
14:00:03
悪魔の巣 緊急司令室 in 猫の目
『こちらクリフ、露天市場で旦那を補足したぜ~。』
『ベルゼ。 こっちも兄さんを補足。何時でも殺れるよ?』
「はいはい、ベルはちょっと落ち着きな?アキラもクレアちゃんに直接攻撃は当ててないんでしょ?グレアム神父が攻撃の殆どを受け止めてるし、アキラも刃を封印してる。あの二人は私の加護を受けてるんだから大丈夫だ。 クリフ・・・そのまま尾行を続けて、ベルゼはそのまま空で待機、太陽を背に隠れてなさい。」
『?尾行だけか?雑兵じゃぁ旦那の足止めにもならねーぞ?』
「ポーンも使いようによってはナイトやキングを倒せる、まぁ黙って見てなさい、君たちには後で存分に働いてもらう。状況を逐一報告していなさい。」
『了解!』
『・・・わかった。』
通信石の通話を切り、ため息をつくルー
「いいのかい?ルー。ベル坊は確かクレアちゃんにお熱だったじゃないか。暴走するんじゃないかい?」
からかう様にアルマが上司に語りかける。
「彼はいい子だよ、言いつけは守るさ。」
意にも介さず机に広げた地図にチェスの駒を配置している。
地図の上で黒のキングは露天通りに配置され、近くにルークとナイトがキングを睨んでいる形で、猫の目にクイーンやビショップが立ち並んでいる。
「ポーンというのは一歩ずつ前進ししかできないが、数の利がある。孤軍奮闘でどこまで戦えるかな? 黒のキング?黒のクイーンが敵に回るのは、想定範囲外だが、君は他の駒が牙を向くのは想定していた。このゲームは君の言う【召喚者】が行う嗜好に酷似していると思わないかな?」
「お嬢? もしかして楽しんでる?」
「やや。副賞も魅力的だしね?・・・状況を開始するポーンがそろそろ足並みを揃えるはずだ。あ、ミケランさんお茶おかわり!」
「はいにゃ!」
*************************
トゥールーズ上空
「今のはアデーレさんの武器と技ですね、私の方天画戟の様に使いこなしているね~」
「あ、あのお姉様? 何故、私はオフなのに、竜の背に乗って飛んでいるのでしょうか?」
「カリサ中佐、諦めなさい。」
カリサは最近、カグヤに胸を揉まれ続けた所為かサイズがきつくなってきたため、嬉々として服を新調する為、休暇を使って帝国でも有名なガリアの服飾店、薔薇宮殿でカグヤ達と入れ違いで買い物を楽しんでいたのたが、カグヤの【天の声】に吹き出し、巻き込まれないように買い物を即座に済ませ、出国しようとしていたところに【戦女神の加護】の恩恵から、カグヤに見つかり、泣く泣くアキラ争奪戦に参加させられたのだ。
こうして現在、新しい相棒のビアンキにカグヤ、ファンを乗せ、トゥールーズの上空を旋回しているのだ。
「それで?どうなさいますか? 私が出張ってあの男を捕まえてご覧に入れますが?」
「フフフ、コレは余興だけど、主催、提案したのはマリアちゃんでしょ?一応、間諜なんだからこっちの手札を見せる事になりかねないでしょう。 情報を集めてもどうしようも無い、私が行くのがいいわ、ファンちゃんとカリサちゃんはウチの切り札なんだから。」
「急がなくてよろしいのですか?」
「私が見込んだ男は、あの程度で捕まる程、脆弱ではありません。私たちのように天賦の超人ではありませんが、彼の勝利への執着と才能への挑戦、反骨精神は非凡です。
それにマグドレア親娘は撤退し、悪魔の巣のメンバーは雑兵を使ってアキラを追い詰め、主力の温存を行うようですから、私たちは買い物でもしてましょう。カリサちゃん?さっきはゴメンネ?一緒に買い物の続きでもしましょうか?ファンも行きましょ?アキラに服を買ってもらった分、費用も余ったしね?」
「行きます! いいですね買い物!」
アキラと再び相対せずに済むと喜び、賛同するカリサ。
「カグヤ様の望むままに。」
そうして再び、トゥールーズに降りる三人だった。
**********************************************
とある本屋
「のうナミよ?」
「なんですかテレサさん?」
「我らは、アキラを追わなくても良いのか?立ち読みしとる場合では無いと思うんじゃが?」
「今は、ライバルが多いですし、潰し合いに成りかねませんから、アキラが露払いを、もしくはそろそろ、義姉さんが、雑兵を使い潰してアキラとライバルの戦力を削りに来ると思いますので、私たちはのんびり待ちましょう。 ほっておいても結界の起点である私たちを狙ってここに来るでしょうし、契約関係にある私たちはある程度の距離に近づけばアキラを補足できますから待ちに徹しましょう。」
「フム、納得いった。 しかし思ったより冷静じゃの?争いの発端はその指輪じゃろ?」
「勝者の余裕ですよ。 まぁ夕方、夜になれば私たちの見せ場が出ますしね。 それに今晩は・・・」
「! ああ、そうじゃったなククク、日没が楽しみじゃ。」
***********************************
アキラside
ルーに情報で踊らされ、統率されたであろう雑兵と独身貴族どもを返り打ちにし、女性の方はステルスでやり過ごし、俺は路地裏に身を隠し、人心地をついていた。
ナミとテレサは日没まで静観する筈だ。
ルーは戦力を温存して、雑兵を操って俺の体力を削りに来たがコレが本命の筈が無いな。
カグヤは何考えているか分からんし、読めん。
マグドレア親娘と妖精の涙が組み、リンとギルドナイトが未だ姿を見せないのが不気味だ。
街に静けさが戻る。
いっそ、女神達に仕掛けるか?
だが三女神相手にか~。
どっちに仕掛けても角が立つな?
あとが怖い。
それになんだ?奴らは何を待っている?
ナミ達は日没を待っているのは分かる。
ではルーは?
独身貴族は俺相手では歩兵にも劣るぞ?
だが、その答えは直ぐに分かった。
飛竜が、それもガリア空軍の飛竜隊が、竜籠が次々と上空に現れ、ロープが次々、建物や地面に垂らされ、ガリア侍従隊、暗部隊、近衛兵団がトゥールーズに降り立った。
こんな規模で、こんな催しに軍を動かせるのは・・・?
『アキラさん!貴方は完全に包囲されています!大人しく投降しなさい!』
『先生! いえ、アキラ!今日ばかりはお覚悟を!』
王女様と一番弟子しかいません。
俺に告白してきた、生徒達の出陣です。
14:58:34
14:58:35
14:58:36
遂に彼女達が参戦です。




