これは午後一時から、午後二時にかけての出来事
戦闘シーン少し修正。
やはり苦手・・・
前回のあらすじ、Are you ready? Yeah━━━━!!!!!
12:59:50
12:59:51
12:59:52
全員が臨戦体勢になっている為、ガコライ、アニには離れてもらっている。
アニは食堂の隅で今度はガコライに集りだし、ガコライは溜息をついて現在サイフに相談中だ。
そして開始時刻が10秒をきり、【天の声】でカグヤが楽しそうにカウントダウンを取る。
『5、4、3、2、1、ゼロー!!』
瞬間、けたたましい雄叫びを上げながら男共が席についている俺に襲いかかる。
「【影転移】」
一言。
只の一言でギルド内と外を固めていた者の大半が影に飲み込まれ、転送された。
転送先は男共は街の外のドブ沼や肥溜め、学園迷宮内に飛ばし、女性陣は王都に送り届けた。
フン、鬼が反撃してはいけないなんてルールは無い。
結界は俺のみを外に出るのを拒むのだ。
こちらから結界の外の物を持ち出すのも、送り出すのに何の制限もかかっていない。
俺のことをよく知り、かつ実力者は俺の近くに不用意に来ない。
カグヤ達がここにいないのが良い証拠だ。
さて、明日の夜明け、午前6時までに逃げ切らなければならんのだ。
このギルドに立て篭るのもありだが、それは三流のすることだ。
「じゃ、アニ、ガコライ行ってくるわ。」
「気をつけてな。」
「・・・いってらっしゃい。」
そう言ってステルスをかけ、姿を消す俺。
俺が逃げ隠れするだけだと思うなよ?
死神の戦いを見せてくれる。
*************************
「ん・・・露払いは終わったようだな。流石アキラだ。」
「嫉妬に狂った雑魚は一掃されたな。まあ、あの程度でやらても興ざめだが。」
「あ、あわわわ、み皆さん一瞬で影に引きずり込まれましたよ?」
「影を利用した転移魔法だ。流石に国外にまで放り出す真似はアキラもしないだろうが大幅なロスにはなる。光属性の魔法か、転移封じの結界を用意する必要があるな。」
妖精の涙、生まれながらにして戦士のノエル、狩人のカサンドラはギルドから離れ、アキラの転移魔法の効果範囲外から離れてギルドを監視していたのだ。
「これから奴はどう動くと思う?」
「普通なら、逃げ惑うだろうがアキラの事だ。その逆を行うんだろう。」
「逆ってまさか・・・」
「ああ、」
◆◆◆◆◆
(狩りの時間だ・・・皆殺しじゃ━━━━!!)
俺は以前、露天を行っていた商店街通りで無双していた。
音もなく、気づいたらあの世に落ちている【無音暗殺術】黄泉の入口で亡者どもを全滅させ、習得に至ったスキル。
視覚を封印していても聴覚や触感で相手の位置を把握し、瞬時に相手を絶命・・・ではなく手刀打ちで首を打ち、気絶させていく! 通りで散開しているハンターどもを武器を街中で持っているもの全て敵だ!
倒した人数?
100を超えてから数えておらん!
君は今迄食べたパンの数など覚えているのか?
現時点で俺が警戒するのはギルドの主力陣、街に散在する民衆にまぎれたリン率いるギルドナイト、戦女神チーム、自由の槍・・・いや悪魔の巣+1、そして・・・・・・
ヒュカカカカカカカ
「!!!」
十字教の祝福儀礼の投擲剣が俺の周囲に打ち込まれ、俺の行く手を塞いだ。
更にルーのグリモアの写しである聖書の紙片が市場の周囲に飛び交い、投擲剣、聖書で闇魔法の転移を封じ込められた!?
この聖職者特有の退魔、当滅の御技は・・・
「十字教の結界か…」
「我らは神々の代理人、我が使命は我が愛娘の光ある未来の為に、その対象の抵抗の意思をいっぺんも残さず粉砕し、捕縛すること・・・AMEN」
「アキラさんみーつけた♪」
撲殺神父がマーケットの屋根の上から見下ろし、俺の背後に聖女クレアちゃんがついた。
最強の神父と最強のシスターが現れた。
俺のステルスが看破されたのでは無い、強者をおびき出すために無双していたのだが、最初から大物が釣れたな。
消耗した状態で彼女達の相手は酷だから好都合だ。
師父が飛び降り、俺の正面に相対する。
「いい天気ですねアキラ君…」
「周囲の猛者はどうしました?」
「始末した。飛んだ雑魚だな…やはり君の話していた主力陣でないと話になりませんね。」
「父様は物騒なこと言ってますけど…ちょっとお腹や首を叩いて眠らせただけですよ?」
そのちょっとが、竜すら昏倒する一撃であろう事は想像に難くない。
そう言いながらジリジリ俺との間合いを詰めてくる二人。
共に【源呼吸】を習得している二人だ。
師父・・・グレアム神父は元ロマリアの腕利きの異端審問官、今のガリアの五将、元蛇女の尻尾のリーダーのアデーレと互角の実力を有しているが、【源呼吸】を習得した以上、その強さは七英雄級に匹敵する。
愛娘のクレアちゃんは聖女・・・・・・一度見た技術を完全に自分の者にする【神眼】に加え、俺とは比べ物にならない才媛、正に神に愛された少女だ。
師父がどれだけ鍛え込んだのか・・・かなり不気味だ。
「次は君の番だよ・・・アキラ君」
「そうですか」
俺は師父に向かって歩きだし、その瞬間、俺たち三人の姿が掻き消える。
否、常人にはそう見えるだろうが、高速で動いているのだ。
初めに師父が【正拳突き】を叩き込むが俺は市場の壁を三角蹴りで駆け上がり、躱す。
すると空中に飛び上がったクレアが投擲剣を両手に持ち、6本の爪の様に拳に挟んで持ち替え俺を切り裂きに掛かる。
俺は蹴りの衝撃波で空中を移動、距離を取って躱すがクレアは追い打ちに剣を投擲する!
俺は逆に投擲された剣を掴み取り、投げ返そうとしたが、刀身が発熱し、発火しだした。
たまらず地面に降りたが、そこには先回りして待ち構えていた師父が【源呼吸】で練り上げた【硬気功】を右拳に集中して俺を待ち構えていた!
今度は躱す事が出来ず【正拳突き】が俺を捉える。
ズドン!と明らかに拳による擬音を超えた破壊音が鳴り響く。
体を捻って両腕を使った十字受けでガードするが、吹き飛ばされ、両足で踏み留まるも、地面に摩擦で10メートル程の2本の黒線が引かれる。
耐え切った俺に、壁をそのまま側面状態で走って追いかけてくたクレアちゃんが俺に向かって飛び上がり【真空かかと落とし】を仕掛けてくる、再び十字受けでガードするも、余りにも強力な一撃に俺の足元を起点に地面がめり込み、クレーターを形成される。
あまりの衝撃に腕や腰にトンでもない衝撃が来るがクレアの足を掴み【投擲】のスキルでジャイアントスイングをかけ(非道とか言うな)、師父に向かって投げ飛ばす。
「きゃー♪」
「まだまだー!」
師父がそのまま、受け止めて終わりかと思えば、クレアは投げられながら一回転し、師父が十字受けでクレアを受け止めると、そのまま、師父を足場にして、俺に飛びかかってきた!
このまま、カウンターで沈めようと【拳闘術】のスキル【交差迎撃】を仕掛けようと身構えたが、悪寒を感じ、回避する。
「!」
ブシュ!と俺の左腕から血が流れる。
完全に躱してこれか・・・
クレアを見ると体中のオーラが光の剣、刺の様に研磨され、一個の凶器の様になっていた。
「流石はアキラさん、拳闘術のカウンター対策【源呼吸】【剣の鎧】によく気づきましたね?」
「クレア、技名を語って自身を鼓舞し、相手の戦意を抉くのも一つの手ですが、アキラには逆効果ですよ。不用意に情報を与えてはいけません。」
「はーい♪」
攻撃してもダメージ、回避してもあの刺の様な剣が通常の間合いを伸ばす攻防一体の気功の鎧か。
源呼吸をここまで使いこなすとは・・・
あの鎧では剣ですらあの刺にソードブレイカーの様に阻まれ、効果も薄い・・・
闇魔法を使うには結界の起点を破壊するかここから脱出しなければならない。
ステルスで逃げようにもクレアの【神眼】の前には無意味か・・・
格闘術は師父が上、クレアに至っては【神眼】の恩恵で師父と同等以上の技量を身につけている筈だ。リーチ、体重差もある為一概にそうとは言い切れんが・・・俺を超える格闘技術を備えているのに変わりはない。
毒や麻痺の状態異常攻撃や呪詛も抵抗力も上がる【源呼吸】・・・よく考えなくても俺にとって天敵になる能力じゃん・・・敵に回すとかなりの脅威だな。
「コイツで戦うか・・・」
【道具袋】から鉈を思わせる直角の包丁を取り出した瞬間、師父が目を向いた・・・
「そ、その武器は! アデーレの!」
「万能鉈。怒羅権鬼羅亜・改―抜剣!」
以前、砦に忍び込んだ時、武器庫からガメてきた五将軍の予備の武装だ・・・もちろん強化済みだし、蓄積された技能も読み込み済みだ。
アデーレ女史が【拳聖】の師父に肩を並べたのは技だけではない、純粋な膂力と巨大な大剣という巨重兵器の猛攻の前に拳や技では捌ききれなかったのだ。
今、構え、武器から師父の目には嘗てのアデーレさんが写っている筈だ。
通常、巨重兵器を扱えば振り下ろし、なぎ払いの型に限定されるが、今の俺やアデーレ女史はこの武装をおもちゃの様に振り回せる。
「羅ァァァァァァ!!!」
源呼吸で強化された圧倒的暴力。
死の旋風を二人の使徒に浴びせる。
完全に躱しても繰り出す風圧さえ武器になる。
もちろんバンテージを巻いて刃を露出していないがその重さから繰り出される衝撃波は二人に耐え切れるものではない。
【剣の鎧】で武器を絡め取る事も出来ず、防戦一方になる二人。
クレアの【神眼】も技と呼ぶにもおこがましい、攻撃に対処できず、模倣する事も出来ない。
そして彼ら二人を追いかけながら、結界の起点を破壊する。
「これで転移魔法が使える・・・其れではお見せしましょうかお二人共・・・新しい裏技回避不能の斬撃を・・・」
親娘を大剣で嬲り、悪役の様な顔で追い詰める男がそこにはいた。
・
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・
認めたくないが、やはりその男は俺だった。
やっぱ俺悪役なのかな~。
クレアちゃんが涙目だ・・・
師父が前に立ちはだかりかばってます。
俺のメンタルというか、良心がズキズキ来る光景だ。
そんな事が脳裏によぎった瞬間、精霊魔法の不可視の攻撃魔法【風の矢】が俺に向かって何本も襲いかかり、俺が防御した隙をついて、見えない誰か透明人間がマグドレア親娘を抱えて逃げ去って行った。
かなりの練度の精霊魔法に、あの速度は・・・
「カサンドラとノエルか・・・じゃあ攻撃魔法はティファニアか?」
妖精の涙の三人か・・・
駐屯兵団最強のチームの奇襲&救出
精霊魔法による身体強化と風、光の精霊魔法による光の屈折を利用したステルスと追い風を利用した離脱。
加えて不可視の【風の矢】を人間では打てない程の雨あられの範囲攻撃。
咄嗟に大剣を盾にして受け止めた為、視界を防いだ事、攻撃を受けたことで、追撃が一歩遅れた。
道具袋に怒羅権鬼羅亜・改をしまい、ステルスで姿を消す。
ここであの二人をリタイアできなかったのは痛いな。
そう思いながら、露天通りを後にした。
13:59:58
13:59:59
14:00:00
武器庫の強奪の伏線回収!




