これは午前八時から、午前九時にかけての出来事
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前回のあらすじ、食堂でもイチャコラ、そして遂にアキラに立ち向かう使徒が現れる。
8:00:01
8:00:02
8:00:03
何故かカラスが飛び交う中、人形師がスーツ姿で俺に向かって歩いてくる。
「なべやん、朝食はうまかったか?」
「ああ。」
「うむ、よかった。」
どうやら一部始終見てたみたいだな・・・・・・
「田中さん?」
「何でもいいんじゃが、先日の人形とは桁が違うのぅ?」
「わいを見て驚いた?」
「いや。」
嘘だ・・・医療用の人形と比べ物にならない性能を秘めている。死都の時に比べ、明らかに出来が違う。
「では、気づいているんやな?」
「何に?」
「今のこの状況や。恐らくはなべヤンの強さ、性格のとこもあるんやけど・・・・・・
問題はそこではなく、重要なことは、とにかく何かが起こり、そしてその何かが起こるには必ず
理由があるっちゅうことや・・・。」
さっきからコイツは何が言いたいんだ?静かな怒りは感じる。正に噴火前の火山のような怒りが。
「何の理由だ?」
「ワイはなべヤンがそんなにモテるのが不思議で仕方ないんや。」
深刻な顔してとんでもない位、俗なこと言い出したしやがった。
「そしてなべヤンをどうしたろかと考えてるうちに、とても素晴らしい案をに気づけてん。答えは既に俺の口から出とったんや」
「よかったな」
「どうも。せやけど、なべヤンは強い、どっかのチート主人公や天然女殺しの天才君と違って持たざる者、故に隙が見当たらへん・・・油断がないんやから。せやから」
田中B「わいらが隙を作る。」
田中C「目的は貴様の股にぶら下がってるもんや」
田中D「外科手術によって」
田中E「メスを入れ!」
田中F「去勢するんや!」
田中G「もちろん麻酔は無しや。」
田中H「さようならアキラ、こんにちわ、あきらちゃんや!」
田中A「わいらは自分の目的の為にここにいるんやなべヤン。なべヤンから奪う為にここにおる。」
予想してはいたが、数を揃えてきやがったな。
同じ顔、容姿の田中人形が次々現れる。
「贈る言葉はひとつ、わいが手ずからもいだる。」
そう言って襲いかかる田中の群れ!
「ナミ、テレサ離れてろ!」
「「はい!」」
いい返事をして俺から離れ、街の屋根にまで飛び上がる二人。
是れで彼女達は大丈夫だ。
襲い来る、医師団!彼らのターゲットはわかってる。執拗に股間を集中狙いでメスを剪定ハサミで斬りかかる。
「モゲロモゲロモゲロ!」
「無駄無駄無駄ァ!」
俺は襲いかかる人形に掴まれながらも体術で応戦する。
転移魔法で一気に消し飛ばそうとしたら、いつかの鈴木氏や五将のミーナの様に黒魔法の【閃光】で影を打ち消してくる。
それに人形一体一体が別個のスキルをそれぞれ習得し、かなり統率されたコンビネーションで襲ってくる。
人海戦術と捨て身をモノともしない戦い方、俺の利点を封じる対策を練ってきた。
こ コノヤロウ、本気で狩りに来てやがる。
・
・
・
十分後
棒術を使ったり、無双したりしていたが、流石に数が多い、最終的に百体くらい投入してきたので、切り札を切ることにした。
「【丑の刻参り】」
藁人形と五寸釘、金槌を取り出す。
すると人形兵の動きが止まる。
「フ、フンやはり持ってたか、なべヤン。でもなぁ~丑の刻参りは誰も見とらんとこでやらなあかんし、丑の刻(午前一時~三時)にせな発動せえへん。よしんば、時差をカウントしても今の日本は恐らく夕方の四時や丑の刻参りには早すぎるで!見られながらすると呪いが術者に跳ね返るんや・・・脅しにもハッタリにもならんで。」
「【魔改造】発動、【術式改造】誓約解除、リスク解除」
「え? なべヤン? 何やってるの?」
魔改造は術式の構造すら改造できるのだ、必要な装備、準備、過程を省略、改竄して、結果だけを相手に与える様に改造する。
狙うは一点、くらいやがれ。
ズン!
「アッ━━━━━━━━!!」
どこを刺したかはご想像に任せる。
バタバタと人形が制御を失い、崩れ落ちる。
如何に数を揃えようと術者が万全の状態でなければ動かせまい。
人形師が人形の呪いに敗れるとはな?
アレ?丑の刻参りって式神の説もあるから、降霊術、召喚術に分類されるのかな?
「ようやく終わりましたね・・・」
「全く、いい迷惑じゃこのガラクタめ。」
高みの見物席からウチの女性陣も降りてきた。
「ゴメン、待たせてしまったな。」
そう言って苦笑いしつつ、俺は複雑な心境だった。
最近、自重していなかったかな?
俺だって衆目監視でいちゃつくカップルには殺意・・・とまではいかないが腹をたてたりもする。
今回の事は嫉妬に狂う男共にむかっ腹を立てたのもあって食堂であのような行動を取ったが・・・少し反省しよう、田中はそのことを身を持って教えてくれた。
「ありがとう、ヨッシー・・・君の事は忘れない。」
「か、勝手にこ、殺すな・・・わいが倒れても第2、第3のワイら独身貴族が・・・」
チィ まだ息があったか!
グサグサグサ!
止めに三連発【丑の刻参り・魔改】を食らわし完全に息の根を止める。
フゥ・・・これで一安心。
パタンっと倒れ、人形から気配が消える・・・
このまま放置するのもなんだし、転移魔法であいつの研究所に飛ばしてやる。
あ、百体も飛ばしてから気づいたのだが、今の状態の田中のとこに送っても大丈夫かな?
生き埋めにならないだろうか?
「ま、いいか。」
田中のとこの養子兼助手のビビちゃんもいるし、死にはしないだろう。
そして俺たちは水着を買いにまたあの魔境へと向かう・・・
8:12:42
8:12:43
8:12:44
ガリア服飾店 薔薇宮殿
またか・・・また魔境に連れられてしまった。
俺にとって女性用下着、水着コーナーは鬼門だ。
というかなんでこんな朝も早くから開店してんだろ?
ふつう九時くらいじゃね? ユニクロが行きつけだった俺にはよく分からんが。
あと、ここの濃ゆい店長さんはナミに変な知識を与える。
彼・・・いや彼女?ローズ店長は新進気鋭のデザイナーらしく、異世界人では?と思う位、時代を先取りして俺たちの文明の服をデザインしたりする。
執事服やメイド服、王室、貴族服のドレスも手がける大手であるが、異世界人、此処では俺や田中、たまにカグヤがこの店に現れ、佐藤もサングラスにマスク、トレンチコートで変装(笑)して大量に買っていくので、ここはさっきの食堂以上に、王家、貴族御用達だけでなく七英雄御用達の店でもある。
何故、王都で店を出さないのだろうか?
「せんせ~!」
「ナミちゃんいらっしゃい♪あらとなりの娘はまた飾りがいのある新顔ね♪あたしローズよろしくね♡」
「う、うむ よしなにな。」
すげー、あのおっさ・・・ゲフン。店長、真祖を圧倒している。
テレサが少し引いている。
そしてナミ、テレサが楽しそうに水着を選び始める。
「あっら ナミちゃんの旦那さんのアキラちゃんじゃない♪ 今日はあきらちゃんに変身しないの?」
「しません。」
あきらちゃんとは精霊化で女性化した俺の事だ。
以前、この店で精霊化した姿を見られているので、店長やナミは俺に女性物の下着や服を薦めてくるのだ。
正直止めてほしい。
ローズさんに新デザインのアイデアを売ったり、相談したりしてのらりくらりと躱すが、人形師や戦女神と波長が合うらしく、俺より服飾関係に詳しい、あの二人がこの店を利用し始めてから、この手も通じなくなってきている。
「あら残念ね~あきらちゃんの為に張り切ってデザインしたのに・・・」
「切ない声を出すな、息を吹きかけるな、顔が近いんだよ気持ち悪い!」
「あ!ダメですよ!せんせー!アキラは私の物ですよ!」
ウチの女神様が助けに来てくれた。
これで一安心だ。
「わかってるわよナミちゃん♡そうじゃなくて、あきらちゃんに似合う水着や服を選んでたのよん♡」
「むう。あきらちゃんのですか・・・私はビキニがいいと思います♪」
「恥じらいを知る男の娘だからこそ、ワンピースにパレオも捨てがたいわよ? でも背もあるし、ビキニという着眼点はいいわね~お姉さんナミちゃんの成長が嬉しいわぁん。」
スマン、可及的速やかに先ほどの言葉を撤回させてもらう。
く! 誰か味方はいないのか!?
!!
そうだテレサ! 彼女なら・・・
「わ、妾はアキラを自慢したいから、女物の服は着させたくないぞ。」
おお!さっすが真祖!俺の溢れんばかりの男らしさを理解してくださった。
真祖なのに、今は彼女が女神に見えるね!
「ああ、テレサちゃんは精霊化したアキラを見ていませんでしたね・・・綺麗だった~。」
「そうね~アレは同性でも惚れるわよ~ん?」
おい、そろそろ突っ込むべきか? なぁ?
「そ、そんなにか?」
ちょっと興味惹かれてるし~!!
ダメだこいつ等、早く何とかしないと!
といかこの場から逃げ出さないと!
「ん? アキラ君じゃないか?」
「あ、アキラさん。お早う御座います。」
こ、この声は!我が師匠と妹弟子のマグドレア親子!?
「あ~オジサンだ~」
「アキラオジサン~。」
「おっちゃん~。」
「違うよせんせ~だよ!」
おおう、孤児院の子供達も一緒ですか。
「お久しぶりです。師父、クレアちゃん。 あとお前ら?俺はまだオッサンじゃないから。」
「「「「はーい」」」」
うん、返事はいいんだよこの子ら。
「師父は今日はこの子達と・・・?」
「ええ、買い物ですよ。アキラ君やルーさんのおかげで、この子らに貧しい想いをさせずに済みますから、今度、一緒に海に行こうかと思ってね。」
「あ、アキラさんもお買い物ですか?」
ああ、クレアちゃんそんな顔を真っ赤にして照れちゃって、愛いやつめ!
初めてあったときはロリーな娘だったのに、成長しましたね・・・お兄さん嬉しいですよ
「ええ、休暇に海に行こうと思いまして・・・・・・」
「い 何時、何処の海に泳ぎに行くんですか!? 私たちも偶然、その日、その場所で泳ぎに行く予定だったんです!」
「クレア?」
「クレアちゃん?」
予想外の食いつきに俺と師父の反応に正気に戻ったクレアちゃんは顔が一気にゆでダコみたいに真っ赤になった。
「あ あの私、水着を選んできますので!!」
ピューと、脱兎の如く去っていくクレアちゃん。 はえ~!
また強くなったな?
「アキラ君?」
ずしっと俺の肩に手を置く師父、グレアム神父、あの肩が痛いッスめきめき言ってるっすよ?
「私は、君の事は息子のように思っているんだ・・・だけど。」
ゴクッ
「娘を泣かすような事をすれば・・・・・・わかっているね?」
いや、彼女まだ14歳ですよ? 気が早過ぎはしませんかお義父さん?
「表に出るかね?」
「いえ、止めときます。」
ヤベーよこの人冗談が通じねーよ。
あと、さっきからガキどもが俺のスネを蹴ったり、つねったりするのも止めてくれません?
「おとなのレディーじゃないとおにいちゃんのおヨメさんになれないの?」
と未だ10歳の少女が不安そうに俺に訊いてきます。
「そうだね。だから神父さんの言いつけをしっかり守っていい大人になるんだよ?その時になって未だお兄さんの事が好きなら、また会いにおいで?」
そう言って頭をなでてやる。
あ~癒されるわ~
気持ちよさそうに目をつむってらっしゃる。メリッサちゃん(10)
孤児院や保育園、託児所で働くのもありだったな。
「あ~メリッサちゃんずるい~」
「オッチャン!メリッサちゃんから離れろ~」
「コノ!コノ!」
羨ましがったり、俺の髪の毛や頬を引っ張るガキ共・・・やめろハゲるだろ!
「アキラ様はやはり幼女趣味なのかの?」
「いえいえお優しい方なんですよテレサちゃん。」
気づけば、二人が水着を抱えて俺のとこに来ていた。
「あ、もう決まったの?」
「いえ、アキラに選んでもらおうと思って?」
「アキラ様の為に持ってきたんです。」
へ~ビキニにワンピ、パレオに何故かスク水があるな?
またカグヤかヨッシーの入れ知恵か?
「あきらに変身してもらって着てもらおうと思って?きっと似合うと思います♡」
「わ、私も一度みてみたいです♡」
アキラはにげだした!
しらなかったのかまおうからはにげられない!
即座にターンして出口にダッシュした俺だが、足元の影が急に底なし沼のになり、下半身が沈む俺!
逃げられん!
「やめろ! 男に戻れなくなる!」
「観念して下さい♡ 皆さんお待ちかねですよ?」
「皆さんって誰!? というか誰得!?」
そうこう言いながらズブズブ沈む俺・・・
「絶対、精霊化なぞせんぞ!」
「でもその沼は私のスキルじゃなくて、テレサちゃんのスキル、【混沌の沼】ですから、あらゆる魔力は飽和状態になりますから、魔法での脱出は出来ません。【精霊化】それもシンクロ率100%、完全女性化でないと脱出出来ませんよ!」
「何そのご都合主義みたいな能力!聞いてないぞ!そんなに見たいか!?」
「それが世界の・・・宇宙意思の決断です。」
「アキラ様♡観念してくださいね?」
「いやーん♥ 楽しみだわ~ん。久しぶりにあきらちゃんに会えるのね~ん♥」
く、店長がビキニとワンピの水着を持って手をわきわきしてやがる!
誰か!手を貸してくれ!
だが、師父は子供たちを連れて、子供服コーナーへと歩いていく。
く!コレが逆境か!だれか助けてくださーい!
「な、何をしてるんだい?」
「新しい遊びじゃない?」
「そ、そんなわけ無いだろ!アキラ手をのばせ!」
上からアルマ、ミアータ、ルーの自由の槍の女性陣が現れた。
ああ、彼女たちが女神(内一名、光の女神)に見えた。
俺たちの買い物は未だ始まったばかりだ・・・
8:54:59
8:55:00
8:55:01
コレは水着回あるで~
ヤンデレ(爆弾)が揃い始めました。




