白い悪魔の憂鬱
第一話、ガリアの教授の講義のあとの話です。
物語は動き出します。
ヒロインは皆さんお待ちかねのこの人です。
序章なので短いです。
概念法則の講義の後
またルーに進路指導室に呼び出された。
学生の頃はよくお世話になったものだが、大人になっても世話になるとは・・・
「それで生徒たちをダンジョンで扱いた後に、死都へ乗り込むと? 正気か?」
「なんだルーは反対なのか?」
「・・・・・・お前が何故、ポーションや状態異常の回復薬を買い占めていたのか疑問は溶けたし、生徒の慢心を消すため、あの鬼畜ダンジョンを作成した意図も分かった。 だが奴らは実戦経験は皆無に近いのだぞ?死都にとどまらずに竜の墓場にまで突っ込むとはどういうことだ!」
ルーの怒りも当然だ・・・彼女は仲間が傷つくことを極端に嫌うし、この学校の非常勤とはいえ、女子寮の寮長だ。生徒にも感情移入しているのだろう。
「俺たち異世界人が召喚された時点で遅かれ早かれ戦争かはたまた魔物の大侵攻が起こる。其れを未然に防いできたが、何度も俺一人で戦うわけにはいかない。もし俺が急に元の世界に戻ったらどうなる?
王族、貴族が矢面にたたなければ彼らに不幸が起きる。現に帝国では男性の権威は失い、貴族中心ではなく、実力制度が実施されている。」
「そうかも知れん!だが無用な危険を晒すのは・・・それに魔の森のように防御網を消すことになるぞ。」
「七英雄が陣営にある以上、何の効果も無い、その気になれば、七英雄はダンジョンを破壊するほどの攻撃力を持った兵器かスキルを使って突破してくる。 だったらダンジョンコアの回収と概念崩壊の法則が有効な魔物を使って兵力の強化に努めたほうがいい。」
「わかっているのか? 是れはチェスや将棋では無い! 失われるのは生徒の命なんだぞ!」
「その為に策は打ってる! 俺の生徒を誰一人死なせるものか!」
暫くにらみ合いが続くが結局ルーが折れた・・・成功例が目の前にいるし、このまま放っておけばなんの成長もないまま戦乱か魔物大進行に生徒の命が危ないのは事実だからだ。
「・・・・・・各部隊に私の部下を付けさせてもらう。文句は言わさんぞ。」
「それでいい、俺も影分身と使い魔を付けるし、引率する。身代わり系のアイテムも補充しないと。・・・怒鳴って悪かった。ルー。」
「イヤ、私もいささか我を忘れてた。」
先程まで俺たちには珍しく、感情を表に出しての口論だった為、少し気恥ずかしくなるな。
「・・・・・・私も講義を傾聴していたが、聖水、ミスリルが闇の眷属に効果があるのはロマリアでも有名だが・・・・・・回復薬、治療薬でも同じ効能があるとは思わなかったな。」
そう言って頬を染めながら照れくさそうに話題を降るルー。
情けないな俺・・・・・・この娘に気を使わせて・・・俺がフォローしないといけなのに。
「ああ それは・・・」
彼女の気遣いに乗り、魔法談義、講義をする。
空気が軽くなり、先ほどの重たさが霧散していく・・・・・・
彼女と話していると何処か郷愁を感じるが、それは魂に刻まれたアキレウスの記憶故か・・・・・・だがこの安らぎも決して不愉快なものでは無い。
そんなことを思いながら、俺は彼女とのこの時間を少しでも長く過ごせるように談笑を続けることにした。
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死都奪還作戦、第二、第三層の攻略と竜の墓場、の殲滅作戦・・・・・・学園迷宮で鍛え上げられた生徒と兵士達の戦力増強・・・・・・その総仕上げが始まる。
魔物大侵攻=ナミとの間に生まれる子供(息子)が魔王化することで、起こる現象。
魔物が凶暴化、ダンジョンの活性化等。
アキラが契約状態にある為、抑制されている。
戦争=召喚者の目的の一つ、七英雄という核兵器並の戦力を各国に振りまき、戦争を誘発させている。アキラの抗戦により現在停戦中。




