誓い
文章スタイルの模索中
ようやくまとまった。
ギャルゲーというのをご存知だろうか?
知らない18歳以上の方は是非やってみてくれ。
18歳未満の方は兄、姉か親に聞いてくれ、きっと面白い反応をしてくれる筈だ。
恋愛シュミレーションゲームで目当てのヒロインの好感度やフラグを建て、ハッピーエンドを目指すという奴だ。
ヒロインには個性、属性と言われるものがあり、ツンデレ、クーデレ、ヤンデレ、幼馴染と様々な者があり、ツンデレなんてのは昨今で某文房具戦士曰く、一般教養となっている程だ。
それでツンデレの派生属性にヤンデレという物がある。
貴方を殺して私も死ぬとか、病的に愛するタイプだ。 狂気をも感じるデレっぷりだがツンデレと違い殺意に直結しやすく、ギャルゲーではフラグ立てもシビアで難易度も高い。
だが、あらゆる属性の中で、このタイプこそ愛ゆえに愛する人の為になんでも出来る覚悟を持ったものではないのだろうかと、俺は考えている。
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―話がある。
今日の放課後、進路指導室に一人で来い。
ルー
こんな三行の呼び出し文が俺の職員用下駄箱に果たし状、ラブレターに紛れて入っていた。
すっぽかすと俺の命はないので真っ直ぐに向かいます はい。
進路指導室
「入ったらどうだ?」
あ ヤバイ怒ってる めっさ怒ってる時の口調だ。
進路指導室にルーが椅子に腰掛け、俺を待っていた。
俺は就職活動の面接ばりの入室を行い、椅子に座る。
机には茶が用意されているが、この空気で直ぐに茶を飲める奴はいないだろう。
この室内だけ温度が下がってる・・・・・・もう6月なのにな~
「・・・・・・・・・・・・」
あのなぁルー? 呼び出しといて何も喋らないってのは無いだろう?
お前は俺の事を無神経とでも思ってるのか? オイ!
胃が保たんぞ。
「それで要件は?」
この空気の中で発言を促す俺もこの世界に来て、成長したとしみじみ思うね。
ルーは年の頃は18,9の娘だが、大学でもここまでの威圧感を発する学生はいなかったぞ。
「・・・・・・ナミの事だ。気づいていないとは言わせんぞ?」
「気づいている事は多くあるが、どれの事やら・・・・・・」
「ナミはお前の事を愛しているが・・・・・・その愛し方が危険な方向に進んでいることだ。」
「俺をリッチにしようとしているって事か・・・」
所々、そんな節があった。
そのきっかけとなったのは・・・・・・
「私とカグヤ嬢が切っ掛けだが、お前が最大の原因だ。今ここで誰か一人を選べとは言わんが、ナミと話し合う必要もあるだろう。 このままだと1000年前の焼き直しだ。」
あ 自分も選択肢に入れるんだ。
「何だ?」
「ナンデモアリマセン。」
しかし参ったね。 真面目な話だ。
今回ばかりは口八丁で逃げるわけにはいかんね。
6月になったから色々準備もしてたのに。
「・・・・・・ナミと初めてあった時、あいつは俺を見ずに自分の兄の姿を俺に写していた。」
ルーがその言葉に眉を寄せる。
「知っていたのか?」
「調べれば分かる。」
リッチも俺のことをアキレウスって呼んでた。
「其れを知ってからナミの言う「愛しています」が俺に向けられていなかった事に気づいた。愛してるなんて言葉で傷ついたのは、初めてだ。ありがとうの次に素敵な言葉だったのにあんなに傷つくとは思わなかった。」
俺の前世がアキレウスなのか、只の他人の空似かは知らんが、彼女の愛情は全て、今は亡き闇の神子アキレウスに向けられていたんだ。
俺の告白にルーの怒りが霧散していく、卑怯な言い方だとは自覚している。
最低だな 俺。
「・・・・・・それじゃ彼女の事は愛していないのかい?」
「悪いけど愛しているとか、愛していないとか、俺の心の内をナミのいないこの場で言う訳にはいかない。そういうのは本人の前でいう事だ。他に何か訊きたい事、言いたいことがあるのか?」
「・・・・・・私たちを恨んでいるか?」
「それは誰に向けての質問だ? 俺か?アキレウスか?」
「・・・・・・」
「スマン 忘れてくれ。」
「いや 私も悪かった。でもお前の胸の内が少しだけ聞けて良かったよ。 時間を取らせて済まなかったな。」
ルーの申し訳なさそうな声を背に俺は何も答えず進路指導室を去る。
これ以上この場に留まると、どうにかなりそうだったからだ。
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ルーside
子供が泣いている。
とても大きな子供だ。
「いい加減泣き止んだらどうだ?」
「ウゥ・・・グスッ・・・・・・ひっく ア、アキラに振られた~」
「イヤ、そうとは決まっていないだろう?」
「わた 私、アキラに酷いことを・・・・・・ジ自分の気持ちを押し付けるだけで・・・・・・ふえ~ん」
それもこの国の女神だというのだから驚きだ。
アキラの索敵から逃れる為、ガッチガチに魔力殺しの札や姿隠しのマント、呪文封じのマスクで固めてナミを室内に隠していたのだが失敗だったな。
最近不安定だったナミに相談を持ちかけられ、内心怒りながらも応じたのだが、まさかの怒りの言に私も動揺している。
この分だと私も望み薄なのだろうか?
泣きたいのは私も同じだ。
「ヨシ!今日は飲もう! 私が奢るぞ、他のメンバーも呼ぶとしよう!」
「義姉さま~。」
今夜はやけ酒だ!
ルーside end
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黄泉の入口 神殿内
「うう ヒック たらいま~」
「お帰り・・・遅かったな ナミ。」
「ウえ!? あ あのッ 主様!?」
ナミの酔いも一気に覚めたようだ。
当然だ。
俺がここに居るなんて予想外だろう。
明日は何時もの修練日だから王城の寄宿舎か学園の宿直室に止まってるはずだからな。
それに・・・・・・
「ナミ・・・・・・」
あの時、進路指導室に感知は出来なかったが恐らくナミは聞いていたのだろう。
聞いていなければこの動揺の説明もつかない。
「も 申し訳ありません 主様 私、私は・・・・・・」
「もう一年になるな・・・」
「え?」
「忘れたか? 今日は6月3日だ。 お前と出会って今日で丁度一年経ったんだぞ。」
「あ!」
忘れてたか・・・・・・まぁ我ながら女々しいことだが、あの時の出会いは今でも覚えてる。
誕生日でもないし、結婚記念日が近いか?まぁ出会って数分もしない内にいきなり喰われたが(笑)
そして是れはいい契機でもある。
俺も彼女の好意に甘えてズルズルと答えを先延ばしにしすぎた。
そろそろはっきりすべきなんだろう。
「イザナミ・・・俺な・・・・・・」
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―この後の俺の誓いの言葉は、ここに記さないことを許して欲しい。
照れくさい事を書に残すなんて事は勘弁して欲しい。
ただ、ウチの女神様が俺のことをアキラと呼ぶようになったと、薬指に指輪を身につけ始めた事をここに記しておく。
七英雄 アキラの手記より抜粋
ああ恋愛ものは私には重いっす。
砂糖何キロ吐いた事か・・・
最終回じゃないっすよ! まだまだ続きます。




