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異世界攻略のススメ  作者: 渡久地 耕助
異世界乙女遊戯

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ナミの日記

長いので纏めました。

甘甘、ドロドロな内容です。 

砂糖を吐く、SAN値が下がる恐れがあります。


2013/06/28 修正


6月3日 晴れ


 今日はとっても嬉しい日です。


 なんと死んだ筈のお兄様が生まれ変わって、私を起こしに来てくれました。


 でも私の事を覚えていません。


 私と同じで目覚めたばかりなのでしょうか?


 ハッ!? 是れはチャンスなのでは?


 以前は兄妹だからという理由で操を捧げれませんでした。


 記憶の無い今なら私たちに障害はありません! 


 契約の事もよく知らないようなので旨く行けば・・・・・・


 フフフ逃しません! 


 結ばれるまではここから出しません♡


 勝負下着を穿いたまま眠りについて良かったです。


 私の愛しい勇者様、もう逃しません♡


 

6月4日 雨


 昨夜は素晴らしい夜でした。


 早朝、少しヒリヒリしましたが私の治癒魔法にかかれば痛み等、直ぐに全快です。


 契約も無事成功し、新しい名前もいただきました。


 イザナミと言って、アキラさんの故郷で黄泉の国の女王、女神様と同じ名前だそうです。


 因みに真名は隠す風習があるらしく、皆さんの前ではナミと呼ぶそうです。


 私にとって好都合ではあったのですが、私の事を覚えていないのでいろいろ質問をしてきました。


 もう、あの頃の思いでを共有できないのだと思い知らされ、悲しくなって質問に答えませんでした。


 困った顔をしたお兄様はギルドの資料庫に泊まり込みで調べに出かけました。


 私は実体化をといてお留守番です。


 早く、帰ってこないかな くすん

 




6月6日 晴れ


 半分人間だった私ですが、封印されたとき、肉体は魔素となって消え去り、神殿の中以外では魔素が無いと受肉できません。


 普段は霊体化して必要な時だけ実体化して戦ったり、精霊魔法を魔力をもらって代わりに使ったり、教えたりするのですが、お兄様は


「せっかく起きたのに実体化し続けれないのは可哀想だ」


 と少しでも実体化が出来るようにパワーアンクルをつけながら、魔力の持久力を伸ばして常時私を実体化させてくれました。


「修行だから」


 と照れ隠しするお兄様。可愛いです。



6月9日 曇り


 今日はお兄様に綺麗な服をたくさん買ってくれました。


 メイド服、バニー服を買ったときは何か微妙な表情をしましたが、私はコレを気に入ってます。


 男の人か女の人かよくわからない店長さんがコレを着て主様とかご主人様っていえばお兄様を悩殺できると教えてくれました。


 早速試してみるとお兄様が吹き出しました。


 その夜はいつもより激しかったです♡


 店長さんは私の中で心の師匠となりました。


 明日は兎さんを試してみましょう。



6月11日 晴れ


 臨界者となったお兄様は向上心を忘れない方で、とうとう一日中実体化を維持できるようになりました。


 お兄様の魔力の質、量が向上していき、何時もお肌がツヤツヤになります。


 お兄様は【源呼吸】という特殊な呼吸法で疲れ知らずだった事も持続力向上の一因と思います。


 これでもっと長い時間愛してもらえます。



6月14日 晴れ


 今日はギルドで私の顔合わせということで登録に出かけましたが女狐さんが現れました。


 リンさんと言ってお兄様のご友人だそうですが、少し怪しいです。


 彼女は私の遠い子孫で、

 お兄様の子の子孫か、お母様の一族の末裔、クルトの民というそうです。


 でもお兄様は渡しませんよ!



6月15日 晴れ


 今日はよく、私の系譜の方に会います。


 昨夜は神殿でお兄様成分を充電してから王宮に向かいました。


 道中、リンさんの妹のアリシアさんと同行しました。

 

 この子も中々美人ですが、お姫様に色々と障害のある恋愛感情をお持ちです。


 その気持ちお察しします。 

 この娘とは仲良くなれそうです。


 そしてクラリスさん。


 私の母に生き写しの方です。


 先祖帰りというのでしょうか?


 まぁ私の方がスタイルは勝ちましたが・・・・・・それは病弱になってやせ細っていたからです。


 私の因子を体に受け継いだ為、無理がたたって体を壊しています。


 お兄様と同調し、私の力を分け与える【精霊化】してからの接吻なら癒せますが、其れをするとお兄様がこの娘の婚約者になってしまうそうです。


 お兄様は私が平穏に暮らせるように配慮して良心に苛まれながら、彼女を癒し、治療法を夜通し考えました。


 でも浮気は許しませんよ?



6月16日 晴れ


 昨晩、徹夜で治療法を模索し、錬金術と医療知識、白魔法、黒魔法を総動員して精霊因子を摘出し、着脱可能な刻印に変えて症状を取り除くという手法を考案し、即、自身の体に実験を施すお兄様。


 私がいるとはいえ、自身を顧みずに人を救おうとする行為は感心出来ません。


 実験は成功し、そのままクラリスさんの治療を始め、少しづつ摘出することに成功しました。


 お姫様やアリシアさんが目に涙を浮かべ、喜んでくれました。


 

 ホクホク顔で帰ると何だか人の幸せな気分を害する豚が現れました。


 いつの時代にもこう言う輩はいるようで、お兄様を殺して、私を自分のものにするなどという発言をした時、魔眼で命を奪い取ろうかと思いましたが、怒ったのはお兄様も同じようで瞬く間に豚と後ろのゴリラを素手で倒しました。


 やっぱりお兄様は素敵です♡


 

6月21日 晴れ


 クラリスさんの治療が終わり、元気な姿を取り戻しました。


 でもこれでお兄様はクラリスさんと婚約されてしまう。


 そう思うと胸が痛みます。


 そうやって悲しんでいるとお兄様が結婚は解消しないが、見送らせて欲しいとやんわり断りました。


 せっかく自由に生きれる様になったから恋愛も自由に生きて欲しいとの願い、ソレが最高の治療薬になるとはお兄様の言。


 豚君との婚約を解消され、お兄様との婚約は伏せて置いて、然るべき時に自分で決めてもらうという形に落ち着きました。


 国王はそれで納得しきれず、元帥まで娘のリンさんとアリシアさんを薦めて来たので逃げるように宮殿を後にしました。



 そして帰る際にお兄様は元いた世界に帰る方法を探すと決意を新たに宮殿を後にしたのですが、その手に私の日記が!!


 なんと今迄の私の心が思いが自動筆記で書かれる私と契約者しか読めないグリモアがお兄様の手に!


 宮殿の宝物庫から取ってきたらしく、元々、私の所有物ですが報酬替わりに拝借したそうです。


 取り返してくれたのはありがたいのですが、それはダメです!


 身も心も捧げましたが、日記はダメです! 恥ずかしいです!!


 日記も心と言えますが……もう、本当に止めてください!!!


 お兄様は意地悪して直ぐに返してくれませんでしたが、読まずにはいてくれたみたいです。


 お兄様のバカ



 


・・・でも大好きです♡


6月30日 雨


 先日、王家から近衛騎士か、空位の筆頭魔術師から入隊の勧誘が来たのですが、戦争の駒、道具になるのを嫌がったお兄様は、徴兵義務の免除、国内での武装許可を保持する傭兵、探偵事務所の【自由の槍】という組織の設立を王政府から報酬として要求し、国王は是れを渋々、承認しました。


 向こうは私たちを引き入れたかったようですが、戦争の引き金になりかねないと断りました。


 この世界の住人を異分子である自分が乱す訳にはいかない。


 何処かで聞いた言葉です。


 誰の言葉だったのでしょうか?


7月1日 晴れ


 この世界には【スキル】という技術があります。


 お兄さまは小学校教師になる筈だったらしく、幅広く学問を収めていますが、始めスキルとして顕現していたのは学校で身に付けたものだったのですが、新しい知識や技能を身につけた時、初歩のスキルを大幅に昇華することができるそうです。


 【魔改造】というスキルの恩恵らしいのですが・・・・・・


 恐らく、お兄様は無意識にこのスキルを忌み嫌っています。


 自身が学んだ技能、知識で身に付いたのなら兎も角、努力や研鑽、鍛錬の過程を省いて強化を超えて昇華する汎用性の高いスキルです。


 お兄さまの周りには多才な人が多く、負けず嫌いだったお兄さまは一芸に秀でたものではなく器用貧乏な人間になってしまったそうです。


 一流には届かなくても自身や他人を鍛え、指導する際に直ぐに二流まで教える事ができ、才能のある方は直ぐにお兄さまを追い越して一流になっていく・・・・・・


 才能という理不尽な壁に常に挑み、戦い方や発想、策を弄して試合に勝っていく日々。


 ですが、この世界はお兄さまの今までの人生を否定するような固有スキルを与えたのです。


 お兄さまは便利なスキルだ。この世界で生きていくのに有効なものだと表面上は喜んでいますが、本当に積極的に使っていたら、死都や私の神殿を攻略する際に、もっと強力な武器、防具、スキルを習得し、歴代最強の戦士にも魔術師にもなれたのに・・・・・・


 私の実体化、受肉する魔素も魔改造で私か自身を作り替えれるにも関らず、地道な基礎鍛錬やパワーアンクルで持続力強化の修行を行いました。


 何の苦労も無く、身につけた力は役に立たないし、つまらない物だ。


 今日はそのことを聞いて、お兄さまの心の内をしれたことが嬉しかったです。


7月3日


 お兄さまが神殿内の転移装置を調べて、何か実験を始めました。


 ポケ○ンだと・・・金銀だったら・・・・・・電源はどこだろう?


 と何やら私には理解出来ない単語をブツブツと独り言を言いながら何度も転移装置を作動したり、停止したりを繰り返して最近構ってくれません。


 少年の様に瞳を輝かしてるお兄さまを見ていると止める事も気が引けます。


 早く終わらないでしょうか?


7月10日


 自由の槍の事務所に変わった依頼が入りました。


 トゥールーズと王都をつなぐ街道に「白い悪魔」と言われる盗賊が現れるので討伐して欲しいと肥えた商人が依頼を持ちかけました。


 懸賞金が10億を超えるような大物だそうです。


 何やらきな臭いので、お帰り頂いて、女狐(リン)さんに相談に言ったら、実害は無いから放っておいても大丈夫だそうです。


 私もお兄さまも首を傾げましたが毒をもって毒を制すとだけ意味深に応え、それ以上教えてくれませんでした。


 お兄さまはそれで何処か納得し、私も見栄を張って分かったように頷いてしました。


 恥ずかしくて後で聞けません!


 素直に聞けば良かったです。



7月12日 晴れ


 自由の槍が仕事を取りすぎてレベルの低いハンター、冒険者から苦情が届く様になり、民衆がお兄様に依存し始めたことから、お兄さまは自分たちに頼らない様、彼らの実力の底上げと、この国の兵士や義勇兵の仕事を守るために、リンさんと相談し、死都奪還作戦を立案しました。


 三十の城壁に囲まれた都市内の魔物と魔素の除去をギルドメンバーのみで死都内の城門を物理的に塞いで、各、階層、区画を分断し死都内の魔物を駆除する計画です。


 人選はリンさんとお兄さまで選び、義勇兵、ハンター、冒険者で構成される駐屯兵団と自由の槍の合同作戦です。


 私も頑張らないと!


7月28日 曇り


 死都奪還作戦成功!


 街は大騒ぎでお祭りが催されました。


 出店が並び、お兄さまと周りとても楽しかったです。


 でも、最近 妖精の涙のノエルさんという方がお兄さまを訓練に誘ったり、食欲魔女のアニさんがお兄さまの焼き鳥をいつの間にか横に並んで食べたりしてデートという雰囲気ではなかったです。


 何だかライバル候補?が増えていきます。


 何とかしないと。



8月12日 晴れ




 今日は私たちの家の前でブリキのタライで昏倒した人形を拾いました。


 なんとお兄さまと同郷の方で ヨシツグ・タナカという人の使い魔だそうです。


 少々、変態さんみたいですが邪気は感じませんし、お兄さまに言うと怒られるかもしれませんが似た者同士という印象を受けました。


 お兄さまの国の男は皆こうなのでしょうか?




 ヨシツグさん曰く、他にもお兄さまと同郷の方が各国に現れ、それぞれ力をつけているそうです。


 色々情報交換して、お兄さまと気があう人?だったのですが、話の中で、お兄さまが自分を此処に召喚した者に対する激しい怒りを表し、お兄様の心の内をまた一つ知りました。


 でも、召喚されなかったら私は今もあの暗い神殿の中で眠っていたのかと思うと全て肯定もできませんでした。


 どうすればいいのでしょう。



8月13日 雨


 暫く、ガリアを離れ、諸国に情報収集と転移魔法の拠点、マークを付ける旅に出ようとお兄さまが提案しました。


 昨日のヨシツグさんの件もあるのでしょうが、私としては問題ありません!


 二人旅です。


 邪魔者もいません!


 最近、怪しくなってきたアリシアさんとクラリスさん、ノエルさんからお兄さまを離せます。


 リンさん・・・彼女は妹に遠慮でもしているのか動きはありません。


 アニさん……この娘だけは読めません!

 気づいたら隣にいたり、お兄さまに、ご飯をたかりに来ます。 

 

 この前も合同訓練の時に王城の食堂で猛威を振るい、料理人が倒れたそうで、彼女の為に新しく食堂が建てられる程です。


 まぁ大丈夫でしょう。 

 彼女の相棒であるガコライさんには頑張ってもらいたいものです。


 ああ、明朝出発だそうです。


 お兄さま・・・・・・いえ!是れは最早、婚前旅行ではないのでしょうか!?


 表では主様と呼び、心ではお兄さまと読んでいる私ですが、ソロソロ、「あなた」とか「アキラ」とか親密に呼ぶチャンスでは!?


 このチャンスモノにしないと!


 他の娘たちに一気に差を広げるチャンスです。


 ふふふ 早く明日にならないかな?


 8月15日 晴れ


 今日はアキラと婚前旅行 初日!


 私の転移魔法をもってすれば国と国との距離なんてあって無い様なものです。


 国境付近に転移を阻害する結界なんてありましたが、アキラの【源呼吸】で気配と魔力を一切立って隣国のポルトガに潜入しました。


 ポルトガには転移、転送の為のマーキングの設置とヨシツグさんの情報確認、水の大精霊の神殿の調査にきました。


 私と同格の大精霊・・・・・・美しい女性の精霊だそうですが浮気は許しませんよ?


 今日は早めに宿をとって明日の為に英気を養わないと♪


 

8月16日 晴れ


 今日は朝から絶好調でした♪


 アキラは何だか(やつ)れてましたけどヘコタレずに調査開始です。


 なんと早速、アキラの同郷らしき人を見かけました。


 ワタルという日に焼けた青年です。 

 住民からは、なかなかの好青年と評判です。


 遠巻きに観察すると浜辺で海の家?なる食堂を開いてヤキソバというアキラがたまに作るパスタ料理を売っていました。


 周辺の人に聞いてみると、船がこの前の嵐でボロボロになって港で修繕中、皆さん、修理代の為に海賊業を一端休んで、小舟で漁に出かけたり、お店を開いたり、ギルドで出稼ぎに出てるそうです。


 海賊と言われていても周辺の人に取っては海の魔物を退治して、周辺の漁師や行商人から頼りにされる海のエキスパートだそうです。


 アキラも情報収集を行っていたのですが・・・・・・


 女、子供に怖がられて落ち込んでいました・・・・・・


 本当に初対面キラーです。 少しさみしげな背中で浜辺で佇んでいました。


 でも今の所は、競争率は低いので安心です。

 

 心配しなくても私はアキラの事を今も昔も一筋です♪



8月18日 曇り


 今日は海底都市の探索です。


 海に顔を沈めると沈んだ都市が見え、サルベージすることで遺産や金塊などが手に入り其れを収入に海に出かける人もいるそうですが、小舟でその近海に近づくと、人魚や魔物、海の亡者にひっくり返されて引きずり込まれるそうで、普段は海賊戦か軍艦で行うそうです。


 海底都市は海に沈んだ古代文明の街で巨大な建造物が塔や城の様に建ち転移装置を作った文明、古代人の遺跡の一つです。


 海底に沈んで居住区は機能していませんが、地下には生きた施設があるのではということで素潜りで潜入です。


 アキラは潜水系のスキルを習得していませんでした(水遁の術は水の中に隠れるスキル、水蜘蛛は水の上を走るスキルだそうです。)が意地でも【魔改造】は使わず、黒魔法の【風の壁】を周囲に展開し、空気の潜水服を作り潜水開始。


 口移しで酸素を送ろうと画策していたのに残念です。


 海中の魔物も道中(海中?)襲いかかってきましたが陸と違って人目がないので私の魔眼スキル【呪殺】で睨み殺して上げました。


 対魔力の無い海の魔物には効果覿面です。


 しばらくして地下に通じる都市の入口に転移マーカーをつけて、今日は帰りました。


 明日から海底都市の地下を探索です。


 


8月30日 雨


・・・・・・古代人が残した碑文と古代文明の遺産が見つかりました。


 刻まれた文字はアキラの使う【透視眼・改】で読み取りました。


 内容はアキラは教えてはくれませんでしたが、顔を蒼白にし、怒りに震えているようでした。


 聞いても歴史の事しか書いてなかったと言いましたが、多分嘘です。


 いつか話してくれるまで待ちましょう。



9月5日 晴れ


 今回の目的に水の大精霊に会うことを検討していたのですが、情熱的で嫉妬深い性格で私たちの様に夫婦が会いに行ったりすると海が荒れてしまったり、海底神殿に行ったきり帰ってこない者が多く、神隠しの様に何十年も経ってから当時と変わらぬ姿で舞い戻ったというはた迷惑な仕様、しかもそのあと老人になってしまったということです。


 契約していれば老人になることもなかったのでしょう、つまり契約しなければ時間に取り残されすべてを失うということでしょう。 なんと悪辣な!


 まぁ私の神殿も大概でしたが手に入る力を考えると此れくらいやはり此れくらい当然なのでしょうか?


 ですが引き下がる訳には行きません。


 このまま海賊王かポルトガの誰かに契約される懸念があったので、出口を塞いでしまおうというアキラが水の大精霊の海底神殿の入口を瓦礫で塞いで、魔改造で溶接してしまいました。


 う~んいいのでしょうか?


9月7日


 大精霊(女の子)に泣かれました。


 あの後、人語を話す海亀がやってきて水の大精霊が海を荒らさないし話も聞くから神殿を塞いでいる岩を退けて欲しいと涙ながらに訴えたそうで亀についていき、封印を解き、海底神殿に招かれました。


 主様は嫌な予感がするといい、何時でも脱出できるようにと思念波で伝え、水の大精霊に会いに行きました。


 客間に通されると神殿の主、水の大精霊が待っていました。


 水の大精霊は海龍の人魚で珊瑚の角、青白い肌、人魚の足を持つ美しい女性でした。


 幼女でしたけど・・・・・・


 名前をアクアちゃんといい、ヒクッ ヒクとアキラに怯えながら客間に正座で座っています。付き人の人魚の女官の袖を掴んで私たちを涙目で睨んでいます。


 か かわいい! アキラ! お持ち帰りしてもいいでしょうか!



 閑話休題


 アキラと契約はできないが、協力は惜しまない、嫉妬や癇癪で人に迷惑をかけないと約束してくれました。



 「うう 怖かったのじゃ 最近の人間はああなのか?」


 「いえ、主様が特別なだけです。 それに本当に優しい方なんですよ。」


 顔は怖いんですけど、基本はお人好しで優しい先生です。

 

 まぁ彼女の恐怖も理解できます。


 神殿の中から自分の婿?候補が来るとワクワクして待っていたら、夫婦だったので、癇癪を起こそうとしたら急に入口を封印され、しかも【魔改造】によって魔力まで封印する岩に改造される徹底ぶり。知らなかったとはいえ子供を叱るってレベルじゃありません。


 この後、久々の客、それも同格の大精霊も一緒ということで宴を開きたいとアクアちゃんが提案し、私も、もう少し彼女と話をしたかったのですが、アキラは土産もいらないから直ぐに帰る!と私の手を引っ張って直ぐに転移魔法で帰りました。


 そしてポルトガの港に着くと、何だか肌寒い季節に変わっており、港の海賊船の修繕もおわっていました。


 何故?

 

11月4日 雪


 アキラの故郷にウラシマ・タロウという伝承があり、今回の出来事と同じ状況だった事、契約に失敗した生還者が老人になった事から、海底神殿内の時間の流れと持ち出されるアイテムを全て警戒したおかげで何とか2ヶ月という短い期間で済みました。


 伝承上では100年単位での時間が流れていたそうなので危ないところでした。



 でも、もし100年たっていたら恋敵もいなくなり私の一人勝ちでは?


 いえダークエルフ(ノエル)さんがいましたね。


 ハッ いけませんそんな黒い事を考えるなんて!


 アキラは知り合いを全て失くす形で召喚され、誰も自分の事を知らない孤独感に襲われたんです。


 そんな そんなことを考えるなんて!


 でもその時、彼の事を知るのは私だけ・・・・・・私だけが・・・・・・アキラを・・・・・・


 ・・・・・・・・・♪


11月7日


 次の目的地を探る前にこの2ヶ月で起こったことを確認しました。


 ゲルマニアが帝国に落とされ、軍拡競争が激しくなり、現在ロマリア、ブリタニア、ポルトガが手を組み、ガリアにも協力要請の為、会談中で、異世界人たちの強さ、特異性が広まり始めました。


 情報通りならカグヤさんは自己防衛、正当防衛で戦っているそうですが・・・・・・

 戦争を起こしてまで彼女を手に入れたいというのはどうなのでしょう?


 英雄として躍進を続けていますが、敗れたとき、彼女はどうなるのでしょうか?

 聖女、英雄として祭り上げられた者の末路は悲劇で終わる。


 人に勝てない魔物を討伐した英雄を殺すのはいつだって人なのだから。



11月11日


 大国ロマリア教国


 アキラ曰く、彼の世界で言うイタリア、ルーマニア、ギリシャといった領土を含めた大国だそうだ。


 旧ガリア王国と旧ロマリア帝国との覇権を争った名残が強く、王国連邦随一の国土、国力を誇っています。


 ゲルマニアとルーシに隣接する国であったのですがゲルマニアが落ち、ルーシが戦時中の今、次に狙われるのはガリアかロマリアです。


 この2ヶ月の間にガリアはゲルマニアが落とされた事で不干渉条約を旧ゲルマニアの大使館で、5将軍アリアと締結。


 魔石の産出国として補給地として各国から狙われていたが、ガリア周囲を囲むように配置されたダンジョンがガリアの領土拡大を抑制していたのと同時に、軍隊を引き連れて攻め込むには難しい立地、加えてアキラと私の可愛い弟子のクラリスが戦線復帰したことで、今の異世界人に匹敵する戦闘力を有していますし、アキラさんがガリアを去った際に残した置き土産のガリア兵、駐屯兵団の練度が高くなっていることもあり、迂闊に攻め込むより、ゲルマニアを拠点にロマリアを攻め込み、ロマリアの首都から北上する形で攻め込むだろう・・・・・・というのがアキラさんの見解です。


 そして現在の光の大精霊・・・・・・


 太陽神、光の大精霊、もう一人の精霊姫、女神ルー


 リッチと化した勇者の妹。


 アキラ・・・いえ、アキレウスお兄さまの婚約者・・・・・・


 千年前の私の恋敵


 もう私が勝ちましたけど!


 千年前の戦争で互いに兄を失った同じ境遇の娘なんですけど今はどうしているのでしょうか?


 何度も黄泉の入口に勇者の亡骸を取り戻そうと出兵したそうなのですが・・・尽く失敗し、一時はロマリアの十字教も低迷期に落ちかけましたが、聖女や英雄を多く輩出する国でもある大国が一人の英雄に長く執着する事もなく、歴史を都合のいいように改ざん、隠蔽するなどして何とか持ち直したそうです。


 どんなにねじ曲がった歴史になっているか少し楽しみでもあります。


 彼女のグリモアも聖書として広まっているそうですが・・・・・・果たして?



12月8日


 旧ゲルマニア、ロマリア国境付近 


 今日は万年雪の山頂に登り、マーキングをつけた後、雪だるまを何体も作り、かまくらの中でお鍋をつついて舌鼓を打ちました。


 海底洞窟に潜る中、海底火山にもマークをつけたので、土、炎、水、氷、雪、武器と転移で引き寄せるモノにバリエーションを付ける当初の目的と世界情勢を調べる事、他の大精霊との接触も順調なのですが、火の大精霊はカグヤ皇帝に、闇の大精霊はアキラに、水の大精霊・・・彼女は永久欠番では?光の大精霊の契約者は代々、教国の法王か聖女、勇者が名代として契約するそうです。


 土、風、元素に属する大精霊ですが・・・・・・風はブリタニア、土はゲルマニア、元素は四大と呼ばれる火・風・水・土の大精霊の長とされる精霊王ですが彼だけ神殿が存在せず、契約者も歴史上、存在しないので捜索は困難です。


 やはり、海底神殿で時間をロスしたのが痛かったです。


 そうすれば土の大精霊の契約に漕ぎ着けれたのかも知れないのに・・・・・・


 まぁ済んだことは仕方ないです。


 そして何故、ロマリアに行くはずだった私たちが此処にいるのかというと・・・・・・


 光の大精霊がいなかったのです。


 クルトの民を裏切った太陽神 光の女神 ルーがいないのです。


 契約媒体である聖剣、聖具が機能している以上、生きてはいるのでしょうが一体どこにいるのでしょうか?




12月24日 雪


 聖夜祭、年末までの一週間と元旦を祝う十字教、クルト教通じての祝い事。


 家族や恋人など、愛する人、親しい人と過ごし新たな年を祝う期間。


 1000年前のあの戦い・・・・・・闇の勇者のお兄さまと光の勇者ルークスが戦い、命を散らし、私とルーが悲嘆にくれたあの決戦。


 ガリアとロマリア、両者の英雄の死を悼み、彼らの魂を慰める為の慣習です。


 お兄さま、いえアキラ見ていますか?

 敵であった者、味方だったもの達の子孫は、あなた達の事を忘れません。


 この地の何処かでルーも祈っているのでしょうか?


 貴方の兄上の魂はアキラが天に還しました。


 貴方が愛したアキレウスはアキラとなってこの地に帰ってきてくれました。


 今、何処にいるのでしょうか 義姉さん。



1月1日 晴れ ルーシ


 新年を祝う日ですが、聖夜祭の前にルーシは帝国に敗北、異世界人の通称鉄人を引き渡すことを条件に降伏し、ゲルマニアのような属州という末路は辿らず、国家の体は守られましたが、敗戦という事実に変わりはなく、国民の顔から笑顔は消えました。


 其れを憂いたアキラが精霊魔法で手乗りドラゴンと小人の剣士を造り、人形劇を広場で行いました。


 初めは子供連れの家族が、街歩く大人が次々と観客が増えていき次第に手乗りドラゴンや小人も大きくなり広場すべてを使った演劇に変わりました。


 アキラの奏でる演奏の音量を上げ、演出の為に振るわれる魔法の光が上がる度にあがる歓声、観客のリクエストやアンコールに応え、劇を続けるアキラ・・・・・・


 子供達に笑顔を・・・


 その信念を体現する愛しい人の隣にいることが誇らしくなった一日でした。


1日14日


 ロマリア方面軍の準備がチャクチャクと進む帝国軍。


 それに呼応して王国連邦はガリアを陥落して、戦力の補充を行うと見て、アキラはガリアの帰国を決意しました。


 海底神殿の件で戦乱を未然に防げなかった私たち、もう戦乱を起こさせない。その決意と共に、先日の手乗り黒龍を巨大化させて私たちはガリアに飛び立ちました。


 何事も起こらなければいいのですが。



1月15日


やはり、王国連邦が内乱を宰相を通じて起こしてしまいました。


 アキラが残した種が芽吹き、練度が上がった駐屯兵団と訓練兵団の活躍によって一般市民の被害はありませんでしたし、人的被害は皆無で反逆者はアキラの一番弟子のアリシアとアキラの手によって捕縛されましたが、アキラは自分がこの世界にかかわらなけれな別の結末もあったのではと苦悩することになりました。


 でも貴方のおかげで救われた人の笑顔を決して忘れないで下さい。





2月14日



許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない


 ドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテ?


 ナンデ ホカノヒトト アイシアッテイルノ? ナンデ アキラヲ コロソウトシタヒトガ アキラニダカレテイルノ?


 どす黒い感情が私の中から溢れ出しそうになりました。


 あんまり怒っていない風に装ったけど本当は苦しかった。 辛かった。


 人間の死闘を繰り広げた後に起きる保存本能だと理解してはいます。


 でも心が痛いんです。 お兄さまが婚約し、ルーとの初夜の日の時を想った時と同じ痛みが私を襲いました。


 今迄、私だけのアキラだったのに・・・・・・


 カグヤは私の事に気づいて即攻でアキラを奪いに掛かりました。


 彼女もアキラの本質と戦闘能力の高さに気づいてアキラを手に入れようと本能からとった行動なのでしょう。


 

 人の寿命など一瞬だという諦めも彼女が火の大精霊との契約者の為、時間という壁も乗り越えられてしまう。


 

 私だけを見て欲しい。


 アキラはそんな私の心の内に気づき優しく抱きしめ、愛してくれますが、その愛を私だけに注いで欲しい・・・・・・


 そうだ・・・・・・アキラが戦えないほどの大きな怪我を追えば、カグヤはアキラに興味を失くすだろう。


 それともまた、神殿に閉じ込めればもう邪魔者は入らない。


 アキラをリッチに変えてしまえばもうアキラは私だけのモノになる。


 黄泉の入口から出られなくなるリッチにしてしまえば・・・・・・


 突然降って湧いた素晴らしい考えに私は安堵をえた。


 フフフ 待っててくださいねアキラ♥

長い、ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回、後日談?

久々にアキラのターンです。

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