学園ダンジョン βテスト
はい、本編開始です
学園ダンジョンβテスト始動です。
この王立士官学校の教育水準はとても高く、現代の算術、語学、歴史、錬金術、薬学、などは現代日本と遜色ないレベルになっています。
学力水準をあげて身分差の少ない社会を作り、人材発掘、国力増加の為に、国王と渡辺氏が教育改革をしていった結果なので、一瞬、元いた世界に帰ってきたのかという錯覚を覚えたほどっす。
元は教職に就く人だったそうッス。こんな先生なら学校の授業ももっと楽しかったかも知れないっす。
この学校にいると望郷心が湧き出てきて涙が溢れそうになったッス。お父さんやお母さん、兄者も今頃、心配してるかな? 帰ったとき時間が経ってないと嬉しいんすけど。
クラスのみんなもお祭り騒ぎが好きなバカな男子高校生を彷彿するのもいれば、貴族たらんとするものや奨学金で入学した生徒たちは真面目派もいるっス。 でも暗くはなく、毎日が楽しい日々っス。
ちょっと怖いけど本当は誰よりも優しい風紀委員ジーク君、学校一のラッキーマンにして飛び級入学の魔法の天才児ケント君 真面目な副会長 アリシアさん、学級委員長でこの前の取材に協力してくれたダニエラさん、そして私の大親友にして義理の姉のクリスタ。 たくさん友達もできて学園生活を満喫しながら、故郷の家族や元いた学校の友達を思う日々っス。
「誰ひとり死なせたくないっス」
「今から君たちには殺し合いをしてもらいます。」
ちょ!! バトロワ!?
いきなりの死神の宣言に驚く生徒たち当の本人は一度言ってみたかったのかとても満足そうな顔をして講堂に立ってドヤ顔してるっス ムカつく!!
全校集会があって私たちは講堂に集まってたんすけど。いきなりの言葉に驚き、騒めく。
「アッハッハッハ 冗談冗談 つい講堂や教卓に立つと言ってみたくなるんだよね このセリフ。」
本当にこの人、教育改革を行った偉人なのでしょうか? さっきまで尊敬してたのに。 私の中の尊敬像が、かなりぐらつきます。
「まぁあながち間違ってないかも ぷくくく」
どっち!?
「この前のバカ人形の戦いを見てた生徒は薄々感づいていただろうが、この学園の廃棄された拷問所、懲罰房、地下施設を利用して、学園ダンジョンが完成した。 俺とルーの設計したダンジョンだ。君たちにはそれのβテスターとして入ってもらいたい。」
ダンジョンを作った!? ダンジョン・コアと呼ばれる現代では精製不可能な巨大な魔結晶で形作られる古代人の遺跡 コレを作ったと言いましたかこの人!?
「最近追加された歴史書や生物学などに乗っているように、ガリア東部の天然ダンジョン【魔の森】を俺とカグヤ皇帝が消し飛ばした上、飲み込んだからな、その時にダンジョン・コアも回収してこの学園の地下修練場、懲罰施設を利用してお前らの為の訓練用のダンジョンを作ったんだ。もちろん安全措置もとってある。そのダンジョン内で死ぬことは無い、ヒットポイントが0、つまり致命傷の攻撃を受けた瞬間、即座に治癒魔法がかけられ、一階層の入口に転移される仕組みだ。 是れはクルトの女神のナミの加護を参考にして作られたものだ。 感謝するように。」
そう言うと渡辺氏の影からナミさんが現れて笑顔を向ける。
「みんなー頑張ってねぇ~♪」
『おっしゃぁぁぁ!!!!!!思う存分怪我すんぞォォォォォォォ!!!!!!!』
馬鹿な男子たちが咆哮を上げてるっす。というかうちのクラスの男子生徒っす。
こういう馬鹿を集めたクラスなんすか? というかあれらの同類にされてるんスか私!?
ちょっとショックッス。
「ダンジョン内での収集したアイテム、素材は学校で買い取ることも出来るし、自分たちが使ってもいい。手に入れた君たちの物だ。 安全(笑)にレベルを上げることが出来るから修行にもなる。レベル設定は現段階では最下層でBランクだが、上層部は比較的雑魚モンスターしか設置しとらん。油断せず落ち着いて攻略すれば恐るるに足らん(多分)だろう。」
ダンジョン内で収集したアイテムを好きに使っていいことやダンジョンを制作する腕前、太っ腹な考えに生徒から拍手や称賛が送られるが、私は教師陣が生徒に同情の念を送っているのが気になるっス。
「この学園ダンジョンの成績、収集したアイテムや単独、集団での攻略・突破階層は成績にも考慮されるので、君たちがこの学園で学んだ知識、知恵、技能を活かして攻略に臨んでくれ。 私からは以上だ細かい説明は各クラスに資料を配布するから目を通す様に。」
これが、後に後世に広く知れ渡る黒い死神・白い悪魔の合作ダンジョン 『地下魔王城』と呼ばれるとは彼らはまだ知る由もなかった。
この二人が手がけたダンジョンが只のダンジョンの筈がない!




