アキラ、王宮での一日 後編
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夕方
お茶会も終わり、美味い茶菓子を食し、クラリスの無邪気、純粋、癒しオーラを浴びて心の刺さくれを抜き去った甘美なひと時を過ごしたあと、俺は現在、来賓にあてがわれるゲストハウスでガリアは愚か世界を震撼させた白い悪魔の異名を持つ毒婦、ルーと一緒にチェスをうっている。
国家に帰属しない組織、自由の槍
ルー達を引き入れたとき、彼女たちの名誉を回復し、無罪放免と職場復帰を願う旨を当てられ、内乱で空白だった宰相の席をルーに当てるという案を出したのだが、ルー以外の悪魔の巣のメンバーが「世界征服に乗り出すから駄目!」と反対した。
国王とリィーンは「面白そう」とGOサインを出したのだが、本人は今は「世界征服」より、自由を謳歌したいといい俺の助手に落ち着いている。
といいますか野望でかいな!と突っ込むべきなのかもしれんが彼女に限っては実現させかねないのが恐ろしいところだ。
「そうなると私の前に立ちはだかるのはアキラとカグヤの二人になるな フフフ。」
これである。
職務中は俺に鉄拳制裁を加えたり出席簿で俺を殴ったりする彼女だが、オフの時は穏やかで人懐っこい女性へと変わる。(逆じゃね?)
今はオフモード?らしく俺と将棋を打ちながら他愛もない話をしている。
「王手!」
「グワ!負けた。上達早すぎ!」
「フフフ、やはり私に戦略的勝利しようなど無駄な足掻きだよ アキラ。」
以前、余りにもチェスに勝てないので、将棋盤と駒を作り、勝負を挑み、馴れないゲームで勝ちをもぎ取るという大人気ない所業にでたのだ。
あの時のルーは顔を真っ赤にして悔しがり、一晩中ルールを覚え、チェスの戦法も取り入れ翌日、眼をいつも以上に真っ赤に染め、隈を作った彼女の前にあえなくリベンジされるという結果に終わった。
で、現在4勝5敗そろそろ勝つのも厳しくなってきた。俺も勉強しなおさないと。
「昼間はあのセイフィートの末裔と戦って勝ったそうだが・・・また妙なスキルを作ったな。」
駒を並べ直しながら(あ もう一局やるの?)ルーが昼間のことを話題に出す。
「ああ 【名古屋撃ち】? 只の【緊急回避】からのゼロ距離射撃のカウンターだぞ?」
「ハッタリで強力なスキルと思わせるのは君のいつもの手だな。五将軍との戦いの時に使っていた空蝉や変わり身という【忍法】というスキルだろう? 極東の島国の大和人の間諜にその手のスキルの使い手がいると聞く。NINNJAとかSINOBIとかな君たち異世界人達も大和人の特徴、性格、思想が彼の民族の特徴に合致している。」
「ああ、俺たちの国の人間はみんな忍者の末裔だから。」
「本当!? やっぱり!!」
ルーが興奮して立ち上がる。 なんだこの西洋人にありがちな忍や侍に対する強烈な憧れは?
面白いからこのまま誤解を解かずにおいてやろう。
「あの国は情報が入ってこないから。黄金の国、神々の国、矢の国と色々聞く。知っての通り私はブリタニアやポルトガ、帝国で人気の大和国の物語や舞台演目の大ファンでな?アキラも以前、吟遊詩人をやっていただろう?アレはもうしないのか?」
「あ~やっぱりあの時、ベル坊と一緒にいたのルーか。 そうだな~今は資金集めも終わったからやってなかったけど。昼の事もあるからまた劇団に顔を出すか。その手の依頼が来た時に脚本でもたてようか?」
「スキルに【文才】と【速記術】があったろ 今、書いてもらえないか?」
「やだよ めんどい。」
他の七英雄達も当時、召喚されたばかりの頃は資金繰りにいろいろ苦労したらしく、中でも田中のバカとブリタニアの悪魔使いは以前あった日本のサブカルチャーを利用して一山当て、特にブリタニアのとある街はアキバやニホンバシ化している。
電気街ではなく、夢と魔法の世界だ。 あらゆる魔法使い、絵師、芸術家、技術家がその街に集結しており、ここからあの腐女子のバイブルが世界中に広まりつつあるらしい。
飛んだルネッサンスもあったものだ。近々、王国連邦やガリアでも同じ様に広まりつつある。
停戦したことにより、その文化が一気に流れ込んできた結果だな。
ルーは腐属性では無い様だが、ホモが嫌いな女はいないという格言がある以上油断ならん。
目覚めさせないように、自由の槍の紳士同盟の一員(クリフは議長)が目を光らせている。
「アキラはもろNINNJA!って感じだよね~全然忍んでないけど。」
そう言いながらまたパチパチと打ち合う。
「こんだけ有名になるとな。どっちかというと以前のルー達やギルドナイトの方が忍者らしいな。」
「ふ~ん あ 他にも悪魔使いっていう七英雄が作り出す幻獣とか見てみたいんだけど。」
ああ あの英雄ね? 腐女子の文化を!俺の肖像権を無視して薄い本に載せて!その文化をブリタニアから発信したやつな!!
ト○ロとか猫○ス、モ○の君をモチーフにしたとしか思えん魔物を召喚、使役していたという情報が田中かた入っている。このことから俺が使役している黒い竜と同様に、ダンジョンコアを利用して生み出した産物だろう。因みに俺の黒龍はモンハンのミラをモデルにしてる。
「いや~アキラたちの持っている文化には興味がつきないよ。このご時世、娯楽も少ないしね?」
「遊ぶ余裕がなかったからだろ? だから俺が子供たちにおもちゃを作ったり、紙芝居をしてたろ。 飛車貰い!」
「あ゛ 待った!」
「待った無し。」
「ぐぬぬぬぬ だから我々のような紳士淑女の為の娯楽があってもいいと思うんだよ。」
「いま作ってるダンジョンが完成したら何か大衆向けの娯楽でも発案するよ。」
「本当か!? それは楽しみだ。 お 飛車を貰いだ。 お返しだね。」
「残念 囮だ このまま角で一直線。 王さんがら空きだ。」
「え? ああ!!」
「指揮官たるもの常に冷静でアレ。油断大敵だな。」
「ぐぬぬぬ 嬉しさのあまり不覚を取るとは。」
「戦場じゃなくてよかったな? まぁ本当の戦場ならルーに勝てるやつなんて滅多にいないが。」
「フン 情け無用だ。 それでダンジョン作成といっても学校の小童達向けのダンジョンなんだ。あの黄泉の入口のような鬼畜要塞にはしていないだろうな?」
「ちゃんと訓練用に設定してある。 命の危険もない。まぁ精神に来るようなトラップは散々仕掛けてあるがな クックック。」
「最終調整をアキラに任せたのは失敗だったかな。」
「それ以前に白い悪魔と漆黒の死神の合作ダンジョンなんて恐怖以外の何者でもない響きだが・・・そのイメージに応えれる素晴らしい出来だよ。」
カグヤとの決戦の時に【魔の森】をダンジョン毎、飲み込んだ為、ダンジョンコアを手に入れたため、王立学園の地下に訓練用のダンジョンを作ったのだ。
クックック ああ早く勤務日にならないかな? 彼らの驚きの顔が目に浮かびそうだ。
こうして俺の王宮での一日は過ぎていった。




