アキラ、王宮での一日。中編 (バグ技)
昔懐かし バグ技 公開!
城内では午後は戦闘訓練で、近衛兵団、駐屯兵団、訓練兵団の合同訓練を行なっている。
俺も週に一度は参加し、その間ナミはクラリスの精霊魔法指導や、文官達に歴史の指南をしている。
彼女も四六時中俺と一緒というわけでは無いし、クラリス等と若い女性達や、女中達との会話やお茶を楽しんでいる。
華やかな一時を過ごしている間に俺は汗臭い男たちと訓練をしているのだ。
・・・・・・なんてな!
帝国とこの例がある様に!士官学校に女性がいる様に!騎士団、兵団にも女性はいる!!
男子校や男子クラスを経験した紳士諸君は理解を示してくれると思うが、密室の中ですし詰めにされた男子クラスは暑苦しい! 臭い!! 体育の後なんか地獄だ!! 換気は必須!
そんな中、女性が一人いるかいないかで大きく変わるんだ!(力説)
各部隊の女子の数だが近衛兵団<駐屯兵団<訓練兵団となる。
ガリアはダンジョンの天然の防御網と練度が高く、軍事に人数を割かず、軍縮する一方、兵士一人、一人の練度が途轍もなく高い。 同じレベル100の兵士でも、近衛とハンターでは大きな力の差が出るのだ。
正に少数精鋭の布陣である。
まぁ今現在、近衛の半数が先の内乱で失ったので、そこに俺や自由の槍が補い、近衛兵団に女性を引き入れようと、あのギャルゲー戦隊(笑)とヤンデレ女帝との戦いで学び、人材発掘として訓練兵団、駐屯兵団から登用している。
つまり華がなければ俺も訓練等に参加しないよいうことだ!
閑話休題
まぁ一撃必殺を旨としている俺だが基礎をおろそかにせず邪道に傾き過ぎずに正道の剣術をここで学んだり、戦ったりして研究しているという目的もある。
みんなに有用な戦術指南をしたり、模擬戦を行ったりしているが、毎回俺に模擬戦をしかける猛者が何人かいる。
「ん アキラ! 今日も一番よろしく頼むぞ!」
銀髪のショートヘアに小麦色の肌に珠のような汗を光らせ、剣を構えるダークエルフのネェちゃんのノエルが懲りもせずに俺に挑みに来る。
七英雄と呼ばれる前から、この模擬戦の誘いは続いており、七英雄となってからも変わらず俺と戦いたがる。
ノエルとは通じるところもあるし、断ったこともないが。
「クックック いいだろう ルールは?」
皆が思い思いに模擬戦を木剣と盾で切り合ったり、木偶相手に切りつけたり、素振りを行う中、俺とノエルの模擬戦を聞きつけ、興味を持って、自主練が一時止まる。
「ルールはなんでもアリ、剣有り、魔法有りで、武器破壊、気絶、有効打、降参で勝敗を付ける。 武器は訓練用の木剣でいい。アキラが作った【スポチャン】より緊張感が増すだろう。
制限時間は10分だ。」
「OK! それで始めようか。」
俺たちは互いに距離を取り、其れを兵士たちが囲んで試合場が完成、特に今季から士官学校に入学した訓練兵達も俺の戦いぶりを見れると思って純粋な少年少女の様に瞳を輝かせている。
駐屯兵団のNo.2対七英雄という好カードだから当然だ。
開始線に立ち、お互い構える。
ノエルは木剣を正眼に構え、俺は半身に構え、木剣を右手に持ち、縦を前面に押し出して構える。わかりやすくいえばモンハンの大剣の構え、片手剣のガード斬りの構えだ。(分かりやす!)
「はじめ!」
開始と同時にお互いが無詠唱で魔法【雷撃】を放ち、ノエルは大剣の腹で、俺は盾で防ぐ!
先ずは小手調べに不意打ちで魔法攻撃で牽制したが、考えることは同じだったようだ。
魔法戦・技量はやはり互角。ならば銃や魔法等の遠距離攻撃は無意味!
互いに距離を全速力で詰めて自身の得物で切り結ぶ。
ノエルは、大剣の重さをまるで感じさせないスピードでの猛攻、俺は持ち前の敏捷性による抜き足、送り足を使ったフェイントで翻弄し手数で攻める。
カンストクラスのスピードの持ち主が使うとマジで「残像だ。」のセリフが使える分身になる。
しかしノエルは其れに翻弄されずに大剣ではなく、足に魔力を込めて地面を大きく踏みつける。大地が揺れ、たたらを踏んでしまい、俺の動きが僅かばかり止まる。
【震脚】
東洋の拳法にある足技のスキルだ。
その上魔術の強化と地属性魔法が組み合わされば、地震に近い揺れが起き、分身が消え、俺の動きが止まるのは道理だ。
その隙をついて【震脚】の踏み込みからの強力な【突進】をかけさらに俺がいつしか今は亡きバカ王子の護衛の剣を手刀で叩き切った【武器破壊】ができぬように大剣の周りを魔力で鬼の金棒状の突起を生やし【白刃取り】を封じる【魔法剣】を使う徹底ぶり。
何度も戦った故に対策をねってきているノエル。
誰もがノエルの勝ちを確信したが光る鬼の金棒と化した木剣はアキラをすり抜けたかのように避けられる。
その場の誰もがこれには驚いた。【残像】【分身】を封じられた状態で高速で上半身の動きのみでおこなう【緊急回避】を行い、上体をそらして攻撃をやり過ごし。ゼロ距離、つまりノエルの懐に入り込んでのカウンターを叩き込む。
「侵略者遊戯 直伝【名古屋撃ち】!!!!」
「きゃう!」
可愛い悲鳴を上げて倒れふすノエル。 勝負ありだな。
物質透過と錯覚するほどの回避能力、とそこから回避不能のゼロ距離射撃のカウンター【名古屋撃ち】インベーダーという喫茶店に設置されたシューティングゲームで敵の攻撃をすり抜けるバグが有り、其れを参考に考案した昔懐かしシリーズのバグ技である。
ノエルも電撃魔法を直に受け、両手が痺れて武器を掴めないでいる。
「ん 手がしびれて武器が持てん【麻痺】してるな。 私の負けだ。」
「ああ 今回は俺の勝ちだが、あの【震脚】は良かったぞ。 惜しかったな。」
「ん まだ改良の余地アリだ。」
倒れたノエルの手を掴んでやり、立ち上がらせる。
歓声が上がり、見物していた騎士やハンター、士官候補性が拍手で両者を称える。
「くぅぅぅ もう我慢できん、アキラ殿次は余が相手じゃ! 」
『国王陛下!?』
突如、乱入してきた国王に、俺とノエル以外の全員がその場で跪く。
「あ~よいよい、楽にいたせ。」
そう言われて、立ち上がり、場が一先ず落ち着くが、この親バカ国王、クルトの魔剣を腰に差してやがる。
目がマジだ。
「ふっふっふ。 久々に激ってきおったわ。アキラよ余が勝てばクラリスに婿入りしてもらう。お主が勝ったら、クラリスを嫁にするがいい。」
いや、それ同じじゃん。勝っても負けても結果は同じじゃん。 何それ 山賊ルール?
「さ~今宵の余と魔剣は血に飢えて・・・「お父様?」 ハッ!?」
どうやらギャラリーは王様だけじゃなかったようだな。クラリス、ナミ、アリシアの三人が来ていた。
「ク・クラリス なんだ?ナミ様とアリシア嬢とお茶会ではなかったのか?」
「つい先程、終わりまして偶然ここを通りかかったんですよ♡」
「そ、そうか ナミ様! いつも娘が世話になる。」
「いえいえ~♡」
後ろ手にクルトの魔剣をクラリスの死角に隠し、冷や汗を流しながらやり過ごそうとする国王。
嘘みたいだろ・・・・・・国王なんだぜ?アレ。
「それとお父様? 余計な真似をしたら・・・・・・許しませんから」
笑みとは本来攻撃的なものである、この格言がこの場の全員の脳裏を過ぎる笑顔でした。
俺はどうやらとんでもない者を起こしてしまったらしい。
俺以外でナミと契約し、【精霊化】を使いこなせるようになったこの国の最終兵器王女となりつつあるクラリス。
うん彼女が黒○号に跨って覇道を唱える姿を幻視してしまった。
国王も娘には弱く、乾いた笑いを上げながら執務室へと帰っていった。
「ア・アキラ様、私、ナミ様とアリシアから先ほど焼き菓子を教わりましたのどうかご一緒にいただきません?///」
顔を赤く染めながら照れて、手元にある焼き菓子を見せるクラリスなんだドキがムネムネするぞ?いろんな意味で!!
「あ ああ いただくよ でも、ここじゃなんだし、茶室で一緒に食べようかな? というわけでスマンなみんな俺はここで上がるわ。」
「ん 私も、もう一人で立てる。スマンな肩を貸してもらって。」
ノエルがそう言って離れると同時にクラリスが俺に寄りかかる。
ソソクサと修練場からクラリス達を引き連れ出て行く俺。
後ろから安堵のため息が聞こえたのは気のせいではないだろう。
余談だが、そのあと食べた手作りの焼き菓子の味だが、味がわからなくなるんじゃないかとか定番のように激マズかと思ったが結構うまかった。
クラリスは着々とカンストの道を歩んでいます。




