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異世界攻略のススメ  作者: 渡久地 耕助
蒼炎の七英雄

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五将軍

ネタ回 短め。


2014/10/16 加筆修正。

  

 

 とある少女は生まれ育った場所でこう例えられた。


 ――日本刀の様な少女だと。


 武器としての鍛えられた鋭さと美しさを兼ね備える半生。


 少女は美しく、そして強い。


 異世界人だからでも、魔法やスキル、レベルという様な

 付け焼刃の如き薄い強さでは断じて無い。


 正に鍛冶師が心血と魂を込めて鍛え上げた最強の一振りの刀。


 魔力やレベルという要素が元々の人間の強さが素体になる以上。


 彼女が最も強いのは当然だった。


 武家の分家の生まれだった。

 鍛錬を惜しまず、人が持てるであろう能力と技能を鍛え上げた。

 純粋に、鍛え続け、鍛え過ぎた(・・・・・)


 やがて世界から追い出されるように、異世界へ召喚された。

 枷の外れた少女が神域へと到るのは時間の問題だった。


 蒼炎の戦女神 伊藤カグヤ 

 それが少女の名前。

『最強の七英雄』という銘の刀。   


 対するは天に叛逆する技を持つ『新星』。


 ◆◆◆◆◆ 


 アリアは部下を転移結晶で逃がしていた。

 国境近くでの奇襲、威力偵察の部隊が七英雄と将軍を残して全滅。


 その事態を知って、彼女が動かない筈が無かった。

 もう一人の大精霊の契約者にして最強の七英雄が来ないはずは無い。


 ――完全な不意打ちで無かったのも功を奏した。

 炎の直撃を受けたが、熱いで済む位には彼も成長している。


 ―事前に炎に耐性のある装備を用意していた。

 

 ―彼は致命の一撃から離脱できる転移魔法・敏捷性・反射速度を持っていた。


「何故、貴女が一人で此処に来てるのですか?」

「心配だったモン。」

「留守番の出来ない子供ですか!?」

「ホ、ホラホラ、死神が生きてるよ? 集中、集中~」

「……後でお説教ですからね。」


 ――燃える炎の音と共に聞こえる天女の軽口を耳にしながら彼は立ち上がる。


 怒りつつも彼女は微笑む。

 先ほどの緊迫感も戦慄も今の女将軍(アリア)には無い。

 それ程の安心感を与える援軍が来たのだ。


 ――彼は口を開く。

 

「熱つつ、髪が焦げてパンチパーマになるとこだったわ」

 

 ――口調、足取り、共に軽い。

 

 ―彼もまた、別格。

 

 彼女と同じく、神の名を冠する七英雄。


 蒼い炎の海から軽口を叩きながら這い出る死神。

 服は焦げ、皮膚は所々に火傷の様に腫れている。

 この日、初めて受けた傷。 


 しかしその傷も消えていく。

 歩く度に、一呼吸する度にその傷は癒えていく。

 死など既に超越している。


 そう言わんばかりの不死身性を見せる。


「見てのとおりですアリアさん。

 彼に点や線での攻撃は無意味。

 やるなら意識の外から攻撃か、面による攻撃が必要です。」 


「正解。因みにそこに転がってる鉄人君の地面からの攻撃は失敗だったな。」


 ケラケラと笑う死神、対して微笑の戦女神。


「始めまして、渡辺・アキラだ。よろしく。」

「伊藤カグヤと申します。こちらこそ、よろしく、渡辺さん。」


 ここに神の名を冠する英雄達が邂逅した。


 ◆◆◆◆◆


(おいおい、威力偵察じゃなかったのかよ!)


 内心焦りまくる俺。

 まさかの二連戦だよ。


 気分は疲労困憊の後に七武海の連戦をする羽目になる三刀流剣士である。


 こういう事態を避けたくて、他の部隊の娘達を捕らえたかったのに……

 流石は五将軍の一人だよ。

 エルフ耳は伊達では無いな。

 ファインプレーだよ、ホント―― 


「待てー!!!」

「……は?」


 声の方を向くと空から金髪ドリルの女の子が振ってきた。

 いや違う。

 青いドレスを纏った金髪縦ロールの美女を筆頭に複数の女性が空から降ってる。


 ――新手の戦乙女だ。


「天然!」


 降り立った金髪ドリルが着地と同時に叫ぶ。

 呆気に取られる前に二人目が来る。


 今度は次に鉈を背負った蛇のような妖艶さを持つ女傑が降り立つ。


「人妻!」


 ああ、人妻だからか、というか自分で宣言するの?


 二度ある事は三度ある。

 今度は白衣を来た少女が無人機の機械人形に乗って降り立つ。


幼女ロリ!」


 最後に降り立ったのはメイド服に身を包んだ覆面戦士だ。

 はっきり行って不振人物以外の何者でもない。


「……クーデレ!」


 クールとは程、遠い格好だが、彼女の名誉の為に敢えてスルー。


 これで終わりかと思ったが降り立った四人に加え、カグヤがアリアを無言で見やる。


「うッ ツンデレ!」


 やはり打ち合わせをしていたのか、

 視線に耐え切られず顔を真っ赤にして己が属性を叫ぶ。


「「「「「五人揃って……戦乙女戦隊 ヴァルキュリア!!!」」」」」


 叫びと同時に彼女たちの後方で爆発が起きる。

 恐らく、カグヤが起こしたものだろう。


「………」


 世界が停止したかのような沈黙が場を支配する。

 カグヤは満足そうにウンウンと頷いている。


 ---

 赤 アリア       赤毛、赤鎧の大剣豪    ツンデレ

 青 カグヤ       蒼炎の戦女神       ヤンデレ

 黄 エレノア      金髪縦ロール       天然

 桃 ヴィルヘルミナ   桃髪錬金術師       ロリ

 緑 アデーレ      緑青の大蛇の鎧      人妻

 黒 ユイファン     無表情覆面メイド     クーデレ

  ---

 【魔改造】の観察眼が俺にいらん情報(ステータス)を頭に送る。


 何なんだろうね この状況は?

 状況は帝国幹部会の五将軍総出の上に七英雄のカグヤに囲まれている。

 なのに場の空気が違う意味で死んでる。


 仮面ライダーの次は戦隊モノですか?


 つか青でヤンデレなのか?

 戦女神は。


 彼女の将来の旦那の幸福を祈ろう。


「……壮観ですね。こんな美女達に囲まれるなんて。」


 とりあえず先の妄言はスルーしておくことにしよう。


 カグヤがいい表情で、満足げにしている。

 このネタを考えついたのは十中八九彼女なのだろう。


 だが他は概ね満足しているのか納得している。

 ツンデレだけ、顔を真っ赤にしているのは触れないで置こう。


 誰か早くシリアスに戻してあげて?

 アリア嬢が羞恥で真っ赤になってますよ? レッドだけに。


「ご機嫌よう。ガリアの死神とお見受けします。

 私、ヴァルキュリア帝国 五将軍 エレノアと申します。」


 金髪ドリル(イエロー)が咳払いしながら挨拶する。


 覆面メイドが「同じく ファン」

 大蛇の鎧をきた女傑が「同じく 鮮血のアデーレ」

 機械人形の無人機に乗った幼女が「おなじく ヴィルヘルミナです~。」


 ふん 登場の仕方は兎も角、どいつもこいつも超一流。


 最大戦力の蒼炎の戦女神カグヤを筆頭に、帝国最強の女傑が勢ぞろいしている。


 あれ?もしかしなくても俺、絶体絶命? 

 詰んだ?



シリアスから一転、コメディにw

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