死神VS鉄人
連続投稿だ!!
旧作よりも両者強くなっています。
2014/10/16 修正……というより改稿に近いですね。
裏技
便宜上、そう読んでいるスキルを俺は習得している。
魔法を使わずに非力である筈の人間が磨き上げた科学技術と知識が俺の強さの秘訣でもある。
白魔法は医学に精通していれば、回復力が向上する。
黒魔法は科学や物理学に精通すれば威力が高まる。
俺の【錬金術】【調合】【料理】等もこの世界からすれば革新的ともいえる発想が既にある用に、現代知識とスキル、魔法の親和性は非常に高い。
スキルや魔法の威力・効果が桁外れに向上する。
俺が宝剣を何本も作成し、湯水の様に使い捨てる事が出来るも現代知識とゲーム知識に依る所が大きい。
ゾンビに回復薬をかけて殺す等、本来の仕様用途とは異なる使い方をするのはゲーム知識を使った裏技だ。
第一の裏技【銀弾】
存在概念崩壊の法則
亡者系、霊体系、悪魔系、吸血鬼系、虫系、植物系、鉱物系の魔物を、
武器や魔法、スキル、アイテム問わずに使い弱点を突き、一撃で存在概念を崩壊させて消滅させる。
さっき使った宝剣の弾丸も裏技だ。
第二の裏技【複製】
アイテム無限増殖の法則
古代遺跡にあった量子転送装置を解析、改造。
対象の情報を読み取り、構成材質、魔力の含有率、蓄積情報、元素結合パターン全てを再現し複製品を作成。
足りない物質は地属性、水属性魔法の容量で魔力を物質に変換して補完して複製品を無限に作り出す事もできる為、100%自前の魔力のみで作る事も可能。
材料を揃えて複製したものは【物質型】
魔力のみで複製したものは【幻想型】
物質型は素材などのコストが掛かるが消費魔力は殆ど無く、品質、完成度が高い。
幻想型は素材なしで作成できるが、魔力消費が激しい。
物質型は元素記号や化学式を知り、人間、生物の元素、構成材料を知っていれば、
貴重な素材であるドラゴンの牙、鱗を牛や犬の骨で
オリハルコンや宝石を屑鉄や木炭で代用して作成する事が出来る。
だが、幻想型の複製品は【形を持った俺の魔力】
精霊魔法、スキルに応用が利きく。
透明化させる事も意のままに操り、射出、爆発も出来る。
作り出したアイテムは召喚魔法・転送魔法を使い、影を通して呼び出せる。
自分自身の手で再現・獲得した技術。
天から授かった才では無く自信の手で編み出し、掴みとった技能。
そして蓄積された思念や情報すら読み取れるという事。
つまり装備した達人の技量すら習得する事も出来る。
ポーションなどの回復薬の生産体系も整える事が出来る。
魔力のみで生物もコピー出来る。
幻想型のコピーは思念体、幻獣として、成功した。
内戦の時に騎乗した黒いドラゴンも竜の素材。
つまり遺体に残された思念を元に複製、魔力で構成された肉体を持つ使い魔だ。
断じて天から受けた才では無い。
いわば、神への反逆者の業。
人間の知恵と知識で生み出した【悪魔の技】だ。
奇しくも今回の相手は現代科学を越えたSF兵器を駆使する七英雄 鈴木ゴウタロウ。
未来の知識、技術、夢を詰めた技術
俺が見定めてやる。
◆◆◆◆◆
「俺が相手だ」
鈴木氏が前に出る。
鉄人、鍛え上げ得られた肉体。
コレだけでも脅威だが、先ほど腕に展開した駆動鎧。
おそらく状況に応じて様々な装甲に換装して戦うタイプか。
「変身」
何の動作も行わず、変身しやがった!
クソッ!
ポーズとか取ろうものなら変身を待たずに速攻で倒す算段だったのに!!!
一瞬でアイアンマンかロボコップの様なスタイリッシュな駆動鎧を鉄人は装備する。
白銀の鎧、フルフェイスのライダーヘルメット。
文字通り【鉄人】がようやくその全容を見せた。
ん? 変身が完了した途端、アリア将軍が剣を収めた。
あ、これ変身中に攻撃してたら彼女がフォローに入ってたな。
だが、剣を収めたという事は、まさか……
「一人で戦う気か?」
「一人で十分だ。」
瞬間、鈴木氏の姿が高速で動き、姿が消える。
「ガア!?」
だが、遅い。
背後から飛んできた鉄人の拳
俺は首を傾けてそれを躱し、裏拳で鉄人のヘルメットを叩く。
そのまま、振り返りざまに後ろ回し蹴りで胴を蹴り飛ばす。
「目の前で消えた奴が現れるのは大体ここだろ?」
お約束だ。
いや、鉄人の動きは視えていたし、察知もできた。
斥候職、アサシン相手に不意打ちが通用するとでも思ったか?
その上、速度に関しては……
「俺の方が速い」
先程の外した正拳突きも拳圧で大地を抉っている。
破壊力は圧倒的に俺を上回っているのだろう。
当たらなければどうという事はない。
武器を使わず、接近戦を選択したのは、俺の宝剣射出攻撃を見て遠距離戦は振りと悟ったのだろう。
――正解だ。
追い打ちに虚空と影から幾本も幻想剣を取り出し連続で射出する。
「剣弾《》!」
大量の剣が鉄人に向けて影から射出する。
あの鎧の防御力を突破できるであろう攻撃力・魔力を秘めた魔剣の嵐だ。
いや、その前に……
何を叫んでんだ俺は~!?
なんだこれ? なんかこ~ 死にたい……
剣弾って何? 中二病? もう俺今年で24よ? 異世界の空気に毒された?
「ライダーパーンチ!」
――鉄人が拳を突き出し、拳圧による大砲染みた衝撃波で剣の軌道を逸らし、弾く。
!?
いい人だあの人!!
俺に気を使って技名叫んでるよ!
うん、でもいい人でも容赦はしない。
「躱しても当たる~」
外れた剣が空中で旋回、或いは停止して鉄人に再度襲い掛かる。
射出したのは物質型だけでは無い。
幻想型の複製剣も同時に射出している。
そして後者は俺の魔力で作られた為、魔法の応用で追尾、操作出来る。
おお、必死で弾いています。
まぁ俺の二つ名が死神だから、一刺しすれば絶命する攻撃と勘違いしているのだろう。
威力が高い剣だが概念崩壊の法則【銀弾】は使用していない。
問答無用の即死技は使うつもりは無い。
でも弾いたのは失敗だ。
「爆ぜろ。」
飛び交っていた剣、弾かれ地面に落ちていた剣も一気に爆発。
高熱の気化爆弾となり、鈴木氏の周囲の空気をも焼き払う。
幻想剣は俺の魔力で作った魔法弾を押し込めたようなものだ。
矢の様に放つことも、爆発させることなど造作も無い。
剣の投擲、爆風、高熱、剣の破片、窒息の五重苦の過剰殺傷攻撃。
だが煙が晴れると其処に鈴木氏の姿は爆心地に無かった。
当然、粉々に吹き飛んだ訳では無いだろう。
十中八九生きてるだろ、コレ。
「貰った」
案の定、生きていた。
左腕を巨大ドリルに換装し、地面を掘り進み奇襲。
右腕を大砲に換装し、地中で臨界点にまでチャージした魔力砲を地中から打ち込んで来る。
俺の足元から極光が飛び出し、光の柱が空の雲を天を割る。
爆心地はクレーターの様になり鈴木氏が一人立ち尽くしていた。
アリアと鈴木氏が勝利を確信しただろう。
まぁこうして俺の実況というか思考が続いているんだから俺は生きているし失敗している。
「GYAAAAAAAA!!!」
「――な!? ドラゴン、一体何処から!?」
俺の影からだ。
影に飲み込んだドラゴンを読み取り、魔力で【複製】して作り出した俺の使い魔だ。
魔力さえあればダース単位は余裕で作れる。
影から大量に襲いかかるドラゴンという質、量共にずば抜けた暴力、それも奇襲。
流石の鈴木氏もスクラップ寸前の姿へと変えた。
『十分どころか、一分でもなかったな。』
SF兵器の性能の一割も引き出す間も無かったな。
魔力で編んだ剣と魔物で制圧できるとか……見所は拳圧の衝撃波くらいだな。
鎧も防御力は中々だけどそれだけだ。
今後に期待だな。
さて、残りは……
アリアが助けに駆けつけるが所を狙って罠を発動させる。
……が、バックステップで即座に後退する。
その瞬間で地面から物質型の槍がダース単位で地面から射出される。
おかしい……動体視力では間に合わない速度で射出したのに、回避された。
『やはりその危機回避能力は勘の鋭さ、直感か。
……それとも鍛え上げた剣士の悟りという奴かな?」
「――ッ!」
俺の推測は当たったらしい。
アリア将軍の表情に驚愕の色が浮かぶ。
ある種、俺の天敵だな。
不意打ちや狙撃をしても彼女はその直感で回避するだろう。
影を通して地中から地表へと這い出る。
土遁の術! なんちって。
いや転移して回避しただけなんだけどね。
ほら、地中って影っつか暗闇の固まりだし。
地中からの奇襲というのは斥候故に察知できてたから。
影分身を自分の前に作成、分身の影と鉄人が掘ったであろう爆心地に穴を見つけそこに転移。
後は見てのとおり、不意打ちで鉄人を【幻想種・複製獣】を大量召喚し砂にする。
そして何事も無かったように現われる。
「彼らには殺さないよう命じてあるから心配しなくてもいいよ? ホラ?」
飛竜の叫びが収まり、鈴木氏のうめき声が聞こえる。
まだ生きていることが分かる。
「何故無傷で、其れに我らの竜を……」
いや自前の魔力で作ったクローンだけどね。
君達のドラゴンは俺のダンジョンで生け捕りにしてます。
「ネタバレはしない主義でね。すぐ答えを知りたがるのは先生感心しないな~。自分で考えな?」
さて、降伏勧告でもして、お国へ帰ってもらおう。
「まぁ それは残念です♫」
瞬間、俺の視界が今度は蒼く染まった。
……またかよ!!
◆◆◆◆◆
~アリア視点~
私やアキラの声ではない第三者の声が響いた瞬間。
魔の森から死神に向かって蒼炎が一直線に飛んで行く。
蒼炎による一撃により死の体現者は意図も容易く吹き飛んでいく。
同時に竜たちも仮初の命が消えのか魔力となって朽ちる。
「ふふふ 今のはメラゾーマでは無い、メラだ。」
その声と蒼い炎、霊圧、姿には見覚えがある。
蒼炎の戦女神。
魔の森を両断する豪火球を撃ち放った最強の七英雄。
イトウ=カグヤ。
私が仕える女神の如き皇帝が笑顔で降臨した。
「さぁ、今度は私と殺りましょうか♫」
~アリア視点 了~




