表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界攻略のススメ  作者: 渡久地 耕助
蒼炎の七英雄

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/238

前哨戦

旧作とは少々、展開を変えていくつもりです。


2014/10/15 加筆修正。

 

 予想通り、東隣りの帝国の部隊がガリアに近づいてきていた。

 本来なら国境の兵士に任せるのだが、相手が異世界人である以上、俺が出る必要がある。


 俺が原因で彼らが来たのだ。

 この戦いだけは俺一人で戦わねば成らない。

 

 無理いって砦には俺しか居ない。 


 魔の森の上空に竜騎士の部隊。

 その中にずば抜けて高い戦闘力を持った奴が二人。

 

 その内、一人は明らかにSF染みた服装だ。

 ライダースーツなのだろうが、装飾が現代か近未来的な印象を感じる。

 顔は東洋人、竜騎士にも東洋系は居るがその男を見た時、異世界人だと俺は察した。

 

 七英雄は一人、帝国の傘下に入った。ルーシの鉄人 鈴木ゴウタロウだろう。

 竜騎士の隊長は 凄腕、恐らくシンの伊藤カグヤの直属の部下だ。

 体剣を持ったエルフと言う事は、戦乙女の六将軍の大剣豪アリアだろう。


 睨んだとおり、その二人が俺のステルスを見破る。

 って、よく考えたら無人の砦を見たら警戒もするか。  


 ステルスを解除し姿を現す。 


「おー鈴木君。やっと来たのか。」


 遅いよ。

 君が来るのは分かっていたという呈で話しかける。


 突然現れた俺に向こうに動揺が走るが、鈴木氏とアリア将軍は動じない。


 鉄人はレーダーかサーモだろうな。

 アリアは直感か、俺の霊気を感じ取ったな。

 彼らのレーダーから逃れる為に今後も修行と研究をしないと。


「なんだい?鈴木君?今日は又、たくさんの女の子を連れているんだね。全くご同慶の至りだよ。」


 わざわざ元いた世界の小説のセリフで話しかける。

 加えて面識があり、ルーシと通じているかのようにブラフを仕掛ける。

 

 俺も異世界人だと伝えると同時に帝国とルーシに亀裂を走らせる言動を続ける。


 有名なセリフだが、もっとわかりやすいのが良かったかな?

 ジ○リとかどうかな。



「自己紹介の必要は無さそうだな、ガリアの英雄さん」


 おお、動揺しないし惑わされない。 

 流石に一国を代表する英傑の一人だ。

 日本出身なのに場慣れしてるな。 

 でも、俺のフリに乗ってこないところを見ると、オタクではないっぽい。


「そうそう教授に就任するそうじゃないか?まずは、おめでとう。」


 ほう? これは予想外。

 異世界ネタに反応しなかったのは少々さびしかったが俺の就職状況を調査済みか。

 あの、暗部が跋扈するガリアで俺の事を調べるとは帝国の諜報機関も優秀だな。


 いや、どうでもいい情報だから泳がされただけかな?


「ありがとう。と言っても就任するのは来月からでね。

 それに教師を飛び越えて教授になるとは思わなかったよ。」


 後ろの戦乙女達は儀杖、槍を手にし飛竜の気配から俺を警戒している。

 その気になれば巨像の時のように空中戦を挑めるが今回は必要ない。


「今日はそのお祝いに?」

「ああうちの陛下からな。それと言伝も預かっている。」


 

 君が此処に居たので丁度良かった色々手間も省けて助かったよ。


 ほう、それはお疲れ様です。

 でも、その野太い声でラブレターの朗読は止めてね?

 できれば隣の綺麗なお姉さん方がやって欲しい。



「その手間を省くために国境警備隊の人たちに休暇を取ってあげたんだ。感謝しなよ。」


「単刀直入にいう。東に来ないか? そうすればガリアに手は出さない。 

 聞けば自由の槍は国家に帰属しない傭兵会社だそうじゃないか。

 主を定めぬ騎士の通り、東は君を雇うと言っている。

 何も問題は無いだろう……帝国には君を雇い入れる報酬も用意できる。」


 ……確かに俺は自由の槍は徴兵義務も無い。

 

 王権から独立した組織で元々は異世界人と合流する為に立ち上げた組織だ。

 今は大戦を潰すために、黒幕を潰すために動いているが強大な国家で、かつ同郷の人間がトップの国に


入るのは悪い選択肢では無い。


 向こうにつけば早期に大戦を終わらすことも可能だろう。

 だが、それでは黒幕の思うツボだ。

 

「女神様からのご招待とはね……俺も捨てた者じゃないな。」

「それで?返答は?」


 これが、合図だな空気が変わった。

 彼も、俺の答えは知っているのだろう。

 

 次の俺の言葉次第で戦闘が始まる。

 

 ここで冗談かますのもありだな~。 

 どうしよ? 


 笑いの神様が、ボケろと耳元で囁くが今回は止めておく。

 うん♪俺は空気の読める男です。


「だが断る。」

「残念だ。」


 言った瞬間、上空で控えていた飛竜がブレスを吐き、騎乗していた竜騎士が魔法を放ってくる。


 その瞬間、俺の周囲の空間が歪み宝剣、宝具、魔剣が現れる。


 ブレスを引き裂き、魔法を貫く閃光となって飛竜に突き刺さる。


 竜騎士の数は13、アリアを除く12の竜に被弾し、地に堕ちていく戦乙女。

 体勢を立て直し、転移石を使って脱出を試みる者様々だ。

 だが、逃がさない。

 

「逃がさん 【闇撫】」


 俺の影から無数の黒い腕が伸び、彼女たちを捉える。 

 捉えた順に彼女たちを影に引きずり込みんでいく。


 まるで悪霊があの世へと未知ずれに引き込もうとする様な光景だ。

 

 かなりの恐怖映像だ。

 俺が小学生の時にこの光景を見たら間違いなくトラウマになるな。

 

 「止めろぉぉぉぉぉ!!!」


 唯一無事だったアリアが怒号を上げて見事な竜さばき、剣さばきで闇の手を切り裂く。

 他の隊員を救おうと必死だ。


 殺す気は無いが、向こうは攻撃してきたのだ。

 止めろと言われて、はい止めますとはいかない。


 まぁ傍からから見たらこの魔法、俺の所業、完全に悪役のそれだよな。

 飛竜を影に12体飲み込み、次に影で拘束した戦乙女たちを引っ張り込む。


「ハハハハハハハ! さすがの私も、 こいつは食いきれんかもしれんなアッ!」


 ノリノリで某吸血鬼のオッサンの真似をする俺。 

 演出過剰かな?


 そうして高笑いしていると俺の視界が光に包まれた。


 まぶし!

 え、何事?

 俺の視界が真っ白になった!?


 俺のおこづかい、半額になってない?

 大丈夫!?

 

 ◆◆◆◆◆

 

 ~アリア視点~


 私は、ガリアの英雄の神経を疑った。

 私と剛太郎を除く竜騎士を一瞬で仕留めた宝剣、魔剣を無動作で同時に高速射出する魔弾。


 名工の一生に一度の傑作の剣、長い間王家に伝えられたきた聖剣。

 そのすべて弓を使わず射出する絶技。


 その上、闇属性の精霊魔法による黒い腕がクラーケンの触手のように幾本も伸び、

 彼女たちを自分の影に引きずり込み喰らい尽くしたのだ。


 こいつは人間ではない、人の形をした魔物! 魔王だ。

 影に飲み込まれ部下の悲鳴が、あの男の笑い声が耳に響く。


 一人でも多く、部下を救う為に行く手を阻む、影を切り裂いていく。


「全員目を瞑れ!! 【閃光弾】」

「な!?」


 魔王の驚愕の声

 スズキ殿の右手に何時の間にか鋼の小手が換装され

 掌から閃光が放たれる。

 光は瞬く間に影を、闇を吹き飛ばし部下たちの拘束を消し飛ばす。


 「今だ!!」

  我に返った部下と私が仲間を回収し、

 彼女達の装飾品に仕込まれた転移魔石を砕き、転移魔法で帰還させる。


「へ~、閃光弾で影を吹き飛ばすとはね~少しは予習してきたか~。

 感心感心。魔物とちがって“思考する敵”なだけあるわ~。」


 お兄さんびっくり…と棒読みで感心しながらカラカラと笑う死神。


 騎竜は全滅。

 しかし部下は全員、助けた。

 

 しかしスズキ殿が居なければ、部下は全員あの男に食われていた。

 その事実に戦慄する。


 英雄というより死神、怪物と云われるのも納得だ。 


 だが勝機が見えた。

 スキルで透視する事は叶わなかったが強い光はあの拘束魔法を掻き消すし、私の剣も通じる。

 

 剣を射出する攻撃も私とスズキ殿なら見切れる。


「そして自身の剣に結界、黒魔法や強化では無く魔法障壁を纏わせる魔法剣かぁ面白い運用方法だね。」


 一目見ただけでこの剣を見破るか!


 魔法障壁という防御魔法を剣に纏い霊体をも切り裂くことができる技術。

 攻撃が最大の防御の逆。


 防御は最大の攻撃を体現する攻防一体の魔法剣。

 あらゆる攻撃魔法を防ぐ盾はあらゆる攻撃魔法を切り裂き、防御魔法を貫く。

 

 この剣なら死神に届く。


「さて、ここからが本番だな。」


 そして死神が初めて、その場から動き出す。

 勝負はこれからだ!


 ~アリア視点 了~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ