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異世界攻略のススメ  作者: 渡久地 耕助
難攻不落

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生徒の癖に生意気だ4WD

 アキラとアリシア、そしてルーが修羅場や昼ドラを演じている頃…

 迷宮では守護者と生徒たちが激戦を繰り広げられていた。


 学園迷宮 21階層


 アリシア、フィオナが持ち帰った情報が生徒たちに共有する前に、入れ違いで21層へと到達した一団がいた。

 そして王立学園は冒険者を育成する機関では無く、軍人、騎士を育成する軍事機関である



「目標!! 王立学園の制服を着た黒髪のエルフ!! 味方と間違えるなよ!!」

「「「―――応!!」」」


 つまり人海戦術(レイド)も立派な迷宮攻略である。

 21層の入り口に続々と士官候補生達が数の理を持って攻略に望んでいた。


 4~6人のパーティ編成で強力な魔物を相手取るのは珍しいことではない。


 相手の魔物がより強力なら、更に人員を増やすのは当然の流れだ。

 数の利で攻略するし、事実死都の攻略もこういった大人数で攻略されている。


「わ~、お団体様のお越しだ~」

「放ぇぇぇぇぇぇ!!!!」


 士官候補生と守護者が再度、激突した。


 - リーパー -


 いや~恥も臆面もなく、集団の利を使ってきたね。


 20層までの道程で消耗して人たちを21層の中央辺りで適度に倒して通せんぼしていたんだよね。

 そしたら、生き残りが21層の入り口に陣を敷いて、後続の生徒達と次々に合流。


 消耗した部隊を補給、回復させた後、レイドを組んで挑んできた。


 目に見えている人数は20人かな?

 何人かはステルスで隠れているのだろう。

 成る程、こういう戦い方もあるんだね~。


 まぁ面白いから放置してたボクも悪いんだけどね。


「でも、ボクの為にこんなに集まるなんて、学生って暇なんだね~」


 って…今は授業中か…じゃあ暇な学生じゃなくて勤勉な学生かな。


 ボクの軽口の返事は魔法の雨だった。

 こんな幼気なボク相手に次々と魔法を打ち込むなんてなんて非道い人達なんだろう。

 さっきの女生徒二人といい本当、思い切りいいね。


 攻撃手段も悪くはない。

 連続転移による回避は点や線の攻撃を回避するのに役立つが、面での攻めは回避出来ない。


 加えて詠唱の隙や威力を数で補強している。

 単純だからこそ、強力だ。  


「でも、塵が積もった所で塵は塵、山とは違って吹けば飛ぶんだよね。」


 魔法が途切れた瞬間を見計らい、衝撃を飛ばす。


 一定の筋力、気力があれば斬撃や拳圧を飛ばすことが出来る。

 だけど、ボクが飛ばすのは剣閃(せん)でも拳圧()では無い。


 ならば、ボクも本当の面での攻撃を見せてあげよう。


「双頭・風壁掌!!」

「「「うわぁぁぁぁぁーーーー!?」」」


 風の衝撃波が小生意気な生徒たちを吹き飛ばす。

 拳ではなく、掌底

 拳圧だけでは無く、風圧の魔法障壁も飛ばす面での攻撃。


 それの両手版だ。

 威力も単純計算で倍率ドン!! 


「ーーーッ!! 奴に反撃の隙を与えるな!!」

「「「了解!!」」」


 うん、指揮官の子は中々優秀だね。

 確かに魔法や衝撃波に盾を構えて完全に防御に回られたら厄介だ。


 しかも、正面ではなく、左右からも攻撃が飛んでくる。

 鶴翼の陣になって魔法を放ってくる。


 霊剣・日立で魔法を弾き、切り裂き、打ち返しているけど此処までの弾幕だと反撃しにくい。


 うん、というか本当に反撃の隙が無くなった。


 数の暴力は偉大だね。

 仕方ないな~。


「錬金術・土槍陣形(アース・ファランクス) 錬金術・死都結界(アース・ランパート)


 錬金術で地面を槍衾と障壁に錬成。

 質量を持った障壁が魔力を防ぐ。



「防御に回ったぞ、このまま魔法弾を打ちながら、前衛組は突っ込め!!」

「待ってましたぁぁーー!!」

「足を止めるな、後ろの味方を信じて突き進め!!」

「あの壁を破壊しろ!!」


 ボクが守リに入ったのを好機と見て盾になっていた前衛組が攻勢にでる。

 魔法攻撃が放物線の機動に変わって突っ込んでくる戦士たちを交わして障壁を攻撃してくる。


 そして、戦士たちは目の前の槍衾を物ともせず、破壊していく。

 なんて攻撃力だ。 


「オラァァァ」

「ドララララララァァァァ!!」


 ガツンガツンと物理衝撃や魔法攻撃が周囲に錬成した土槍を砕き、結界が破壊された。


 そこで、後衛組も魔力が尽きたのか、魔法攻撃が止まる。


 だけど、ボクの障壁を完全に破壊する事には成功したようだ。


 むき出しのボクが姿を晒してしまう。

 好機とばかりに、相手に剣士達が躍りかかる。


「勝ったァァァ!! ファイア・スラッシュ!!」

「うォォォォォォーーー!!! オーラバースト!!」

「ブラッディファング!!」

「ダークブロウ!!」


「そ、そんな馬鹿な!!」


 剣閃が拳撃がボクの体を何度も通りすぎる。

 回避する隙を与えない物理攻撃の嵐。

 ボクの驚愕の声など掻き消すかのように地面が抉れ、爆発する。


「……なんちゃって」


 必殺の連撃と確信していたのだろう。 

 だけどボクは回避できない攻撃を回避する近接用の裏技を持っている。


「【裏技・名古屋撃ち】」


 瞬間、ボクの間合いに入った前衛の生徒、全員が閃光と爆音と共に吹き飛んだ。


「「「う、うわあああああああああああ!!!???」」」


 吹き飛ばされ、死亡と判断されて、一階まで転送される勇敢な生徒たち。

 いや~頑張ったよ?努力賞かな?


 名古屋撃ちは絶対回避からのカウンターだ。

 殆ど、回避行動を行わずに攻撃を加える最も早い攻撃。

 何せ、紙一重で躱して攻撃するのが達人なら、躱さずに攻撃するボクは達人を超えている。


 ゼロ距離で放った魔法も火球や火矢も集団戦に使われる範囲魔法攻撃を至近距離から撃ち漏らし無く全弾当てる。

 攻撃に一切の無駄なく、最小限の魔力で最大限の魔法攻撃を行う。


 正に戦士や剣士の天敵ともなる裏技だ。


 そして、迷宮に死亡相当のダメージと判定され、次々と一階に転送される生徒達。


「接近戦なら勝機があると思った? 残念、ボクに苦手な距離は無いよ……ん?」


 気づくと転送されずに倒れ伏している生徒が要る。


 う~ん、やっぱり攻撃力不足かな。

 いや、素直にこの子達の実力か。


 プスプスと焦げた生徒たちが苦痛に呻きながらもつぶやき出す。


「ぐは、わ、我らの連携攻撃が。」

「ば、馬鹿な攻撃がすり抜けるなんて、精霊か?」

「この技は……まさガッキョ!!!!」


 日立を頭蓋に突き刺し、余計な思考を強制的に中断させる。

 全く、死なないという保険があるからか、考察する余裕が有るみたいだね。


「うん、考察よりも回復魔法を使って反撃するなり、自爆で道連れにするなりしなよ。」


 グシャ!!、バキっと未だ、息がある前衛組の止めを指す。


 契約上、ボクはここに挑む生徒は殺さないけど、

 代わりにトラウマを刻むくらいは死ないと。


 勿論、彼らは死なずに、転移で飛ばされてるんだけど。

 こんな甘い考えだと戦場では真っ先に死んじゃうよ。


 遠くで後衛組だった女生徒たちの悲鳴が聞こえる。


「はぁ、やっぱり未だ士官候補生(・・・)だね。これくらいで悲鳴とかこれなら冒険者の方がよっぽど………あれ? 指揮官が居ない。」


 ああ、でも、逃げた感じはしない。

 となると……


「おっと危ない。」


 虚空からの突如現れた攻撃を躱して、日立で一見、何もない空間を日立で打ち据える。


「ーーーぐ!?」


 隠行が解け、先程まで、指揮していた生徒が現れる。


「ほいっと!!」


 そのまま、柄を鳩尾に当てて相手を倒し、そのまま蹴飛ばす 


 三回程、バウンドして止まった所を瞬動で距離を詰め、日立の切っ先を倒れ伏した少年の首筋に当てる。


 仰向けになった少年はそれでも瞳に戦意を消さずにボクを見上げる。

 勿論、致死のダメージじゃないから転移は発動しない。


「仲間より少し遅れてステルスで追走してたんだね。ホント、何時の間に突っ込んできたのか気付かなかったよ。」


 でも、前線の子たちは予想外のスキルで全滅。

 ステルスで追走していたから、攻撃を切り替え、スキルの正体を観察する事に切り替える。

 ボクの反撃をやり過ごし、奇襲のチャンスを伺っていた。


 でも止めを指している一見、隙だらけのボクにそのままステルスで攻撃もしくは、そのままボクを素通りして22層へ向かう。

 ボクに攻撃したのだから前者だね。


 逃げずに立ち向かうのだから優秀だね。


「いい、隠行術だね。主様程じゃ無いけど……」

「ふん、何処かの副会長や教師が頻繁に使っていてな。見様見真似だ。」


 あ、主様とさっきのフェンリルの剣を持った娘かな?

 やっぱ師弟だけあってステルスの熟練度は高そうだ。


「へぇ~でも喋ってる隙に手首を治療しないなんて、もしかして魔力切れかな?」


 だとしたら、さっきの子たちもかな?

 本当に全身全霊、一擲乾坤を賭した突撃だったみたいだね。

 なら、止めを指す前に質問でもしてみようかな。


「一階に飛ばす前に名前を聞いとこうかな? あ、ボクはリーパーでいいよ?」


 危ない危ない、名前を聴く前に自分の名前を言わないと失礼だったね。 


「ジークだ。風紀委員長をしている。」

「じゃ、ジーク君、此処を通りたかったら、もう少し鍛えてから来てね~」

「いや、その必要はもう無いな。」

「え?」


 え、諦めちゃうの?

 諦めたら試合終了じゃなかったけ?


「時間稼ぎだよ、マヌケな死神が。」


 瞬間、ボクの視界が揺れる。

 あれ、視界が通りすぎている。


 あ、もしかしてボク、吹っ飛ばされてる。

 何で、一体誰が。


 瞬時に源呼吸で気力と魔力を回復し、動揺を消して即座に受け身を取る。


 外傷も同時に回復する。


 そして先程までいた場所に目を向ける。

 ジークの側に新たに現れた神官帽子を被った少女がいる。

 あの内包する魔力量に神気……聖女だね。


 かなり高位の白魔法を掛けて治療している。


「ジーク先輩、大丈夫ですか?」

「ああ、傷は癒えた。ありがとうよ。」


 そして立ち上がるジーク君。

 相当な手練、しかも伸びしろを感じる。


 でも攻撃したのは彼女じゃ無いね~。


「ふん、新武器のテストに来たんだけど、少しは骨の有る奴が居たようだな。」


 ボクの頭上から声が掛けられた。

 見上げると、少年が宙に浮いていた。


 そして【注視】する。

 これまた、聖女とは別方向に優れた力を持っている。


 魔女の系譜か、魔族…? 

 でも、姿は人間のそれだ。


 そして彼の周囲をグルグルと六個程、鉄球が回り、何やら強力な神気を感じる小手を装備している。

 

 あれか~ボクを吹き飛ばした得物は。


「あらら、これはまた生徒のくせに生意気な子が出てきたね~」


 日立に霊力を込め、全霊で闘う準備をする。


「ボクも君達の様に叩きのめし甲斐のある生意気な生徒が出てきて嬉しいですよ~」 


 ちょっと面白くなってきたかな。


 ◆◆◆◆◆


 その頃


 アキラとアリシアは必死な弁解で何とかルーの誤解を解き、死亡フラグの破壊に成功していた。



アキラ 残り死亡フラグ数 8

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