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異世界攻略のススメ  作者: 渡久地 耕助
運命と因果の旗

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203/238

疑心

祝!! 総合評価22,222pt

応援、感想、評価感謝!!

これからもよろしくお願いします。


加筆修正行ないました。

 美少女に求婚された!

 でも、俺には好きな人が!!

 下手すればドロドロな展開! 如何しよう!!

 死亡フラグが!!

 

 ……と、思春期の少年なら思うだろう。

 美女に告白(というか、求婚)されれば顔を赤らめ慌てる。

 流れに飲まれて正常な思考など出来まい。


 これが普通。


 だが、俺は普通でも思春期の少年などでは無い。


 思考も氷水を掛けられたかの様に落ち着いている。

 殺気とスキル、そして今までの経験からだな。

 泣きたくなるが、俺は彼女の正体にも感づいている。


「……話が飛躍しすぎですし今度は対価が大き過ぎますね。」

「へぇ、では何が等価だと?」


 俺の返事に笑みを絶やさず答えるサラサ。

 騙されるな。


 彼女は隣のリンと同じく一国の司法機関の長官だ。

 交渉事は向こうの十八番。

 俺の女性関係に関しても調べていない筈が無い。

 

 そんな人間が痴情の縺れで俺が死ぬ。

 そんな犠牲を強いる様な方法を挙げる様な事はしない。

 

 心を読めるという(サラサ)と最強の護衛という(タバサ)


 そんな強力な能力者にして権力者なら勝手に内部改革でも革命でも起こせばいい。

 なのに温い刺客を俺たちに放ち、情報まで伝える。

 普通なら協力者、新たな仲間だ。

 光明にも見えるだろう。

 

 だが異世界人に解決させようという思考とこのやり口に俺は覚えがある。

 

「死にたくなければ勇者では無く悪魔使い(・・・・)の故郷の座標を吐け。召喚者(・・・)サラサ。」

 

 俺も切り札をきるとしよう。


 ◆◆◆◆◆


 場の空気が一変する。


 先程までの冗談混じりの雑談や軽い殺気混じりの会食では無い。

 俺自身の濃い殺気と怒気が充満していく。

 

 俺以外の三人の女性が平然としていられるのは潜った修羅場の数から来る経験からだろう。

 俺の殺気に護衛のタバサが立ち上がりかけるが、サラサがそれを手で制する。


「『悪魔使い』?……今はブリタニアでは無く、ロマリアの事ですが?」

「しらばっくれるなら、それでもいい、俺の戯言を聞いてそれから返事すればいいから。」


 ワインを口に傾け、杯を乾す。

 

「確証その一、審問局が動いた時期が召喚者に宣戦布告したのと同時期。」

 

 マリアに勝ち、マリアの能力を使って宣戦布告した時期を境にロマリアからの攻撃が始まった。

 この時点でロマリアの深部に召喚者がいるという推測が出来た。

 若しくは、次の攻撃先はロマリアにして欲しいという意図が見えた。


「自国を攻撃させる意図が見えませんね?」

「そこで確証、その二、『ルーがロマリアを離れていた。』」


 ルーは国家元首より権力を持った女神、象徴だ。

 彼女は封印された勇者、若しくは彼の死体、遺品を回収しようと黄泉の入り口の攻略に熱心だった。

 勇者召喚や選定を行なうにしても初代勇者の遺品の回収は必須。

 召喚、選定の触媒にもなるし、S計画を進める為の貴重な資料にもなるのにロマリアは積極的ではなかった。

 これはロマリアという国家権力の中枢、もしくは深部に召喚者がいる事を意味する。」


 ルーが離れ、独自に国の息が掛からず、不当な理由で犯罪者として処分された人材を集めたのは

 

 先ず間違いなく召喚者の息が掛からない人材だったからだろう

 ルーに帰ってきて欲しいが為にロマリア内の粛清、内部改革をしたと彼女達は言ったが、それならルーが帰ってこない理由が無い。

 

「つまりロマリアは、未だルーに敵と見なされている。」

「……審問局(わたし)の信仰を疑いで?」

「信仰に関しては本物だろう?その能力で信仰心の熱い信者の精神と感応すれば偽信者が完成するだろう。疑われて当然だろう?」


 俺の発言で横に控えているタバサ嬢が困惑と怒りを同居させたかの様な複雑な表情を見せる。


 恩人と自分たちの信仰を面と向かって侮辱し罵倒したのだから当然だ。

 だが同時に、彼女の中の精神的柱(サラサ)が揺らいでいる。

 

 彼女の略歴をみれば当然の反応だろうが今は彼女に構ってる時間は無い。


「確証その三、君がロマリアで未だ生きている。」 

「……私がゼン達と共犯だと?」

「ほう?勇者を含めた七英雄三人、とそれに匹敵する八人目が敵になったのに勝てると?逃げ切れると?」


 彼女達の快進撃だけでは説明がつかない。 

 如何に強力な固有スキルや聖人としての戦闘能力、派閥があっても無駄だ。

 何故なら七英雄が最悪四人、召喚者の手に落ちていたのだ。

 彼女達を無力化するなど容易いだろう。


「いや、敵対関係だとしても、互いに手を出せない協定でもあるのだろう。」


 飽く迄、戦うのは盤上でだろう。

 棋士が駒を使わず、掴み合いなどする筈が無い。


「愛とか信仰心とかそんな戯言で魍魎渦巻く深部では生きれない、能力も戦力も向こうが上なのに何故、無事だ? 審問官では俺たち異世界人に勝てないと一番理解しているはずの審問局が何故、無事でいられる?」


 人の恋や想いも努力で勝ち取ったであろう結果、全てを否定する言葉。

 普通ならこんな事を俺は口にもしない。

 だが、相手も状況も普通では無い。


 異世界人の固有スキルには異世界人か、勇者、魔王でないと干渉出来ない。 

 魔改造ではマリアやヨッシーの固有スキルに干渉出来なかった。

 それだけでも強力なのに戦闘力が頂点に位置する奴等四人を敵に回して一国の一組織、それも敵対行動をしている組織が無事な理由。


 それは、敵では無いからだ。

 

「ラスト、やり口がマリアの時と同じだ。」

 

 極めつけが彼女(サラサ)の略歴だ。

 あまりにもサラサとマリアに似過ぎている。(・・・・・・)

 

 タバサの立ち居地は主を守る従者。

 マリアにとっての召喚獣、悪魔、魔物、英霊だ。


 共通点は固有スキルによる『精神同調』と『精神感応』異端審問。

 心神喪失者の心を取り戻す魔物に理性と知性を与える。

 女スパイ。

 ハニートラップによる戦争勃発。

 

 能力、職業、経歴、そして今回のやり口、全て似通っている。


 彼女も直接、手を下さず。

 痴情の縺れや俺とナミとの間の子作りさせる為に暗躍した。

 愛を引き金にして戦争を引き起こす。

 

 これは勇者のやり口では無い。

 勇者は飽く迄、自分と仲間を引き連れ正面から乗り込んで事を成す。

 魔王討伐でもこんな真似はしない。


 俺が勇者に掛けられたフラグや今の求婚もそうだ。

 これら一連の結果、俺の死に収束する。



 召喚者と異世界人が何かしらの関係性が出来る。

 使い魔を召喚する時も座標や対象が無作為で選ばれているようでいて、術者に最も相性のいい魔物が召喚される。


 火属性の術者ならサラマンダー。

 水属性なら水生生物といった様に。


 異世界人とそれを召喚した人間もこの法則は変わらないだろう。


 マリア曰く自分を召喚した僧侶風の女性。

 味方っぽい。

 この戦いに乗り気では無い。


 術者を庇う様な弁論も、これが関係している。


 とんでもない。

 このやり方は一番、性質が悪い。

 自らは手を汚さず、人の心を利用して破局させる最悪の手段だ。


 目の前の女こそ、聖女の皮を被りこの世界を戦乱に導く羊飼い。

 悪魔使いだ!!


「さて、これが俺が出したカードだ。等価交換というのなら、ここからが本当の対等な会合の始まりだ。サラサさん?」

 

 これで俺の勘違いならかなり痛いし寒いだろう。

 直感や確証から、そして今までの経験が訴える。

 

 目の前の女は間違いなく黒だ。

 

 そして俺の言葉にサラサはゆっくりと微笑んだ。

 

アキラ 現在フラグ数 ……2

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