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異世界攻略のススメ  作者: 渡久地 耕助
運命と因果の旗

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登校地獄

更新、諸事情で遅れました。

アキラ視点に戻ります。


本当は怖い○○なお話です。

 答え合わせをしよう。


 問題は勇者の攻略方法。

 条件は勇者を殺さず、殺されずに無力化する事。


 俺がこの条件を達成する解答に到る為の公式は二つ。 


 運命への抵抗。

 人を呪わば穴二つ。


 この二つは既に何度も検証したし体験済みだ。


 野球拳という、じゃんけんの確率の戦い。

 神と悪魔の運の底上げした俺とマリアの運気をものともしないカグヤの後だしを行える反応速度と動体視力。


 物理的に運命をねじ伏せる理不尽に全、俺が涙したあの夏の出来事。

 この苦い経験が、前者の方の運命に抵抗する為の布石を打つ手段。


 フラグ回避とフラグ折りが出来た。


 回避する方は予兆なり、基点が存在したし天の声みたいな予兆があったし、

 予測も出来るのなら未来を変える事は容易い。

 雨が降ると分かっていて傘や合羽を用意しない馬鹿はいない。


 結果、死を回避する為に態と自ら回避しやすいし対応できる。

 覚悟も出来るから、急な事態にも慌てず対応できる。

 利用して死の運命とやらの誘導もできた。

 

  保険でルーとナミに加えて妹弟子の方のクレアにも協力もしてもらった。

 一応、ルーとナミはこの世界において最も崇拝か畏怖という信仰を集める程の存在だ。

 聖人であるクレアもこの世界では重要人物である。


 つまり、運命が強い。


 彼女たちの存在が俺の「不運によって死ぬ」という事象を回避しやすい未来へと軽減してくれた。

 大仰に言ったが、実際は死なないで欲しいと願ってもらったり取り留めのない約束をしたくらいだ。


 映画なら異性との約束などそれこそ、死亡フラグだが、運命の強い彼女たちとの約束、それも神、悪魔、聖女との約束だ。


 ひっくり返って生存フラグが立つ。


 結果、回避不可能だったカグヤの攻撃を回避可能な攻撃へと変わった。

 止めがあの体術の授業だ。

 あの時、カグヤが本気で襲い掛かったら。

 つまり精霊化や得物を使えば俺は彼女の攻撃を受け流せず、死んでいた。

 息子に到っては荒引きウインナーか輪切りにされていただろう。


 そう、彼女が素手でなければ(・・・・・・・)


 彼女は名目上、狐の仮面を被り正体を隠している。

 バレバレだろうが、生徒として政治的な駆け引きや

 仕事をサボりたいという諸々の理由で正体を隠す為に偽名をして、仮面を被っている。


 だから、自分から正体を明かすような真似も、公言もしない。


 故に、精霊化は使えない。

 加えて体術の授業である為、武器も使えない。

 あくまで素手で俺に攻撃せざるを得ない状況を作れば回避する事は容易い。

 結果、死の因果(フラグ)に繋がる運命(ルート)は消えた。


 ここまでがフラグ回避とフラグ折りだ。

 こうなった以上、俺が事故死する未来が消失する。


 ここまでが、『運命の抵抗』

 つまり人事を尽くした分けだ。



 運命が俺を殺す事に失敗した以上、彼らは今度こそ学園内で確実に殺す手段に講じるだろう。


 だが、それも不可能だ。 


 何故かって?


 ここで、後者だ。

 二つ目の公式『人を呪わば穴二つ。』


 俺の魔改造もこれをよく表している。

 対象に蓄積した情報・魂を解析し干渉して改造する。


 村人という器に大量の技能、記憶を植え付け勇者に改良できる。

 逆に魔王から経験、記憶という情報を奪い去り雑魚(スライム)以下の存在に改悪も出来る。


 しかし器の限界を超える情報を注入すれば脳回路が焼ききれるし、

 肉体を酷使するように改造すれば当然崩壊する。


 必要以上に極度の自己改造を施すと反動が来る。


 魔改造を自分に使ってカグヤの武術を完全に追跡し模倣する事は一時的には可能だ。

 逆に長い年月を書けて磨いて完成した技術を短時間で習得する事は容易ではない。


 特別でも何でもない、小学生が一夜漬けで司法試験を一発合格できるか?

 一日筋トレしただけで、オリンピックで陸上十種競技の金メダルが取れるか?


 無理だろ。


 仮に拷問染みた詰め込み、鍛錬を行なっても知恵熱か筋肉痛を起こすだけだ。

 改造に耐えうる元のスペックが必要なのだ。


 簡単なスキルなら魔改造で既存のスキル、武器、身体能力を強化しても問題は無い。

 俺の素から持っている知識や素質、技術、肉体が近い未来に習得可能だったものならば、

 武器も強化に必要な鉱石などがあそろっていれば手順を飛ばし、改造して結果を先取りする事は出来る。


 だけど理論も知らず、手段も無いのに『異世界帰還スキル』は習得できない。


 仮に発現しても成功とは程遠く、知恵熱や筋肉痛などとは比べ物にならないリバウンドが待っている。

 廃人になるか、再起不能の障害が起きるだろう。


 闇の大精霊というこの世界の生き字引きであるナミと同調する精霊化

 闇の召喚獣(アキレウス)が習得していた技術を再現するのが限界だろう。 


 何がいいたいかというと強力なスキルには必ずリスクが存在するし万能の能力では無い。

 それが攻撃の意思を持って放ったのなら、失敗は死のリスクが起きる。


 剣術も殺意を持って剣が空振れば、殺意を持った反撃が襲いかかる。 

 魔術も当たらなければ、放とうとした相手に殺される。


 そして仮にだが……失敗のリスクがないチート性能の武器。

 『投げれば絶対に相手の心臓に刺さる槍があったとしよう。』


 回避も防御も出来ない、正に一撃必殺の槍。

 成る程、反則級の武器だ。

 伝説でも絶対命中する武器ってのは理不尽な程、良く効く(・・・・)


 でも、投げれば絶対に当たる槍なのだが。

 目標が飛んでもなく、離れた場所にいたら?

 飛んでくる槍より早く逃げ続けたら?


 槍は絶対に当たるまでは、飛んだまま持ち主の元に帰ってこない。

 投げられた相手も槍で死ぬという未来、結末が確定した以上それ以外では絶対に死ねないのでは無いか?


 仮に勇者が『俺が学園で勇者とは関係なく事故で死ぬ』もしくは『俺が死ぬ』

 そんな未来を実現する為に固有スキル【旗製作】を使ったとしよう。


 勇者や聖人の加護、運命は呪いの槍となって俺に降りかかり因果(フラグ)となった。

 だが、結果は失敗。


死神(アキラ)を体術のみで殺す事は愚か傷を与える事は戦女神(カグヤ)でさえ不可能だった。』


 そんな運命(ルート)を辿った結果は失敗(バッドエンド)

 しかし槍は放たれた。


 俺の死因は確定した。

 『死神は学園で体術の授業中に自己で死亡する』という未来を残した。


 死亡フラグも虱潰しにそれこそ人海戦術でも何でも使えば全て潰す事は出来たが、

 俺はあえて死亡フラグを……死の予言という分かり易く回避しやすい未来に敢えて誘導した。


 体術で授業中に学園内で死ぬ。


 剣術なら兎も角、格闘術で俺を上回るカグヤでさえ倒せないなら勇者には絶対達成できない。

 いや、限りなく不可能だ。

 可能性は0では無いから。


 そう、勇者が使った【運命を操るスキル】。

 俺はこのスキルの自滅を狙ったのだ。


 勇者は学内で俺を殺す事が出来なくなった。

 勇者一行の力、剣術や集団戦を最大限発揮できるのはダンジョン実習だ。


 学園ダンジョン内では俺は死なない。

 あの学園ダンジョンは致命傷を受ける寸前に回復魔法と転移魔法が発動し、死ぬ事は出来ない。


 体術の授業と同じく俺が死ぬという未来が発生しない場なのだ。

 剣術と魔術の授業なら再戦の機会もあるだろうが、そこにはノエルとアニが補充講師として入ったのだ。


 リンを通して補充枠として外部から講師を雇ったのだ。

 剣術と魔術の実技の授業を俺が担当する事も無い。


 勇者一向は俺を殺す事も出来ず、

 俺に直接襲い掛かる事も出来ず、

 そして、逃げる事も出来ない(・・・・・・・・・)


 何故なら勇者がそう願ったから。

 他力本願を行なった末路。


 カグヤが無理だった以上、俺を体術で殺せる事が出来るのは三強の一角である勇者だけ。


 一度吐いた言葉は返らない。

 自分の言葉を責任を持って果たす為に自分の定めた運命に従い、永遠に俺を殺そうと試みなければならない。


 神剣の勇者の異名である最大の利点である剣術を捨てて、体術の授業に出席して素手で俺に挑まざるを得ない。 

 カグヤでは殺せないならばカグヤ以上に体術を磨く必要がある。

 何、可能性は0では無い。


 俺がやったように運命は決まりきったものでは無い。

 カグヤ以上に努力し、持てる時間全てを使って体術を磨けば何年か鍛錬すれば叶うのだろう。


 生徒である以上、俺も危害を加えない。

 心置きなく体術の鍛錬に臨むがいい。


 永遠とこの学校に登校し、微粒子レベルで存在するであろう可能性を追いかけろ。

 登校地獄の中で愚直に修業して俺に挑むがいい。

 運命に抗う事は出来ると俺は教えたし、実践した。


 ハメ殺しを受けても諦めるな。

 勇者は情けなく死んでも、魔王を倒して平和になるまで諦めない。


 俺ならそんなクソゲー攻略(プレイ)しようと思わないけどな。

 だって俺、勇者じゃないし。


 

タイトル候補 

ハメ殺し。

かべのなかにいる。


前話でアキラがクレアを嗜めた理由です。

彼女が本気で勇者を殺す事、世界を呪おうとした際、

絶対成功しないなら、失敗だけで終わりますが、僅かでも可能性があれば今回の様なハメ状態、ループ状態に陥る危険がありました。


確率操作や運命に干渉するリスクのお話回です。

異世界の攻略のススメは明るい話、コメディが売りです。(多分)

早くガコライやヨッシー、マリア出したい。


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