王立学園の保険医
あけましておめでとうございます。 今年 初投稿です。
最近、多忙で掛けませんでしたが更新再開します。
地属性のススメともどもよろしくお願いします。
2014/10/11 加筆修正。
さて……バカを野に放つような真似をしたがこれでも俺は、教職に就く身だ。
田中はアホで欲望に忠実だが頭は良く、スキル、生命力豊富な七英雄。
生徒を守る身としては手は幾つ打ってもいい。
手綱はちゃんと握れる。
そしてアイツをこの学院に置いておくメリットも高い。
先ずは奴のスキルだ。
人形師の英雄であるヨッシーは自身の魂を分割できる。
更にその魂を人形に宿らせて分身を作成する事ができる。
名前を言ってはいけないあの人の如く魂を分割し分身端末を作り出せるのだ。
しかも端末が習得したスキル、魔力、経験を共有できる固有スキル。
第一の固有スキル『分御霊』
どこの影分身だ?
メガネを外すと性格の変わる姉属性の如く、人の創造という禁忌に最も近い精巧な人形を創る。
第二の固有スキル『人形師』
……あまり認めたく無い事実だが七英雄中、最も優れた頭脳の中に刻まれた医療術。
現代医学と異世界医学を融合し、死ぬ因果さえも覆す奇跡の手にして奴の真骨頂。
第三の固有スキル『神の見えざる手』
【分御霊】【人形師】で分身を作り、【神の見えざる手】で各国で医者として活動しているのだ。
俺やカグヤ、マリアと戦えば戦争確実だが、それは帝国対王国連邦という以前の大戦が始まるだけだ。
だがヨッシーは七英雄の中で洗脳が効かず、国にも属さない存在だ。
何処の赤十字軍だ。
それに召喚者からの干渉だけでなく世界的にも狙われにくい。
今、ガリア王立学園で保険医として在籍しているのは本体だ。
以前は暗黒大陸を拠点にしていたが、現在はガリア王立学園を拠点にしている。
暗黒大陸に引きこもり、人形を当して活動していた時ならいくらでも始末できただろう。
それこそ、勇者でも魔王でもぶつけれていた。
最も手の出しにくい場所に本体がいる為、召喚者も手が出せないし、スキルの特性上、洗脳も効かない。
それに世界各地で医者や冒険者を初めとして活動している分身たちによるヨッシーの貢献度、名声が高い。
特に世界最高峰の医療技術を持つ本体を殺したとなると世論は黙っちゃいない。
ロマリア国内だけでなく王国連邦内で内部分裂が起きるだろう。
スケベで人形マニアのネトゲ好きという珠に瑕だらけのが奴だ。
同時に武勇以外で英雄に数えられる程、医療、福祉に貢献した人材だ。
召喚者の目的は表向きは七英雄を使い、世界を巻き込んだ戦争を起こした後の先にある。
戦争を止めるという点ではヨッシーの力はとても大きい。
しかもヨッシーは、その性格、性癖、能力、立ち位置、功績その全てが召喚者の目的を挫く鍵になる。
だが、真祖のテレサを見て表舞台に本体がガリアまで来たことで風向きは変わった。
俺が打った手は、世界を救う妙手だ。
『ナーハッハッハ 全てのナオンは俺のものヤー!!』
『………ばか』
すまん、前言撤回していいだろうか。
俺の中でヨッシーの株が暴落しつつある。
監視用に作成した闇鼠からの感覚共有で保健室の様子を伺っているのだが安定のバカがいた。
保健室で白衣を翻しながら、保健室から来客を待つヨッシーとそれに呆れる乙女なビビの姿があった。
着任して直ぐに健康診断をすると言い出したのだ。
現在、女性とが来るのを今か、今かと待ち受けているのだ。
ハァ、文字通り釘を刺す必要があるな。
『もうじきや! もうじき! 天使たちがここに……「ズキィ」胸が刺されたように痛い!?』
『………ざまぁ』
心臓を押さえて蹲るバカ、黒い笑みを浮かべるファザコンナース
俺の手にはヨッシーと書かれた札を貼り付けた藁人形・五寸釘、木槌がある。
流石は呪い、霊的攻撃、呪術側面のある闇魔法に魔改造を加え、悪魔の力で強化したスキルだ。
いい仕事をする。
『あ、アホな…この痛みはなべやんの丑の刻参り!?
この呪いは解呪いしたし、呪詛返しのスキルを体得したワイに効くはずが!?』
やはり対策を講じていたか。
バカかネ?
毒なんて一回ごとに配合を変えるのが常識だヨと、マッドサイエンティストな死神も言っていた。
マリアの新しい契約悪魔
闇魔法の熟練者のナミ
彼女達との協力の下で製作した【丑の刻参り・Ⅱ改】はちゃんと効果を発揮したようだ。
が……流石は七英雄にして最多のスキルホルダーだろう。
麻酔や解呪、そして女学生の半裸を見たいという精神力で普通なら即死級の呪いに耐えている。
「チィ! この死に損無いが!」
ガンガンと五寸釘を藁人形に呪詛を込めて打ち付ける。
『おのれぇぇぇ こ、この程度の痛みでワイの熱いパトスは醒めんぞ!!
テレサちゃんの半裸を合法的に拝むその時までワイは死なん!!』
ああ、それが目的ですか。
てか、未だ諦めてないのかコイツ。
どうみても、テレサに対して芽も脈も無いだろう。
諦めない精神は普段なら俺も共感を覚える。
だが、ヨッシーだと全く共感を感じない。
血涙を流しながら耐えるとこを見るに、相当見たいのだろうが。
『そうそう、義父様?』
『ん……なんや、ビビちゃん オトンは急がしいんやけど』
ゴンゴン
『失礼しマース』
『き、来たー♪ これで勝つる。 はいはい どう……ぞ?」
女性徒が診断に来たと思い、震えながらも椅子に腰掛ける変態医師……
しかし、入ってきたのは鍛え上げられた筋肉が目立つ体操着、訓練服を着た男子生徒だった。
「な……なんでや……」
パンツ一丁になる為脱ぎだす男子の集団、部屋の温度はヨッシーの体感で五℃位上がっただろう。
そして、震える目でビビの方に振り返る
『女子のほうは、先日着任したアニ女史《薬学に精通》とティファニア女史《治癒術に精通》が済ませていました。
今日は、遠征で学校を離れていた男子生徒達しかいませんよ?』
ボキィ!!
『……ぐは』
あ、(心が)折れた…そして吐血した。
『は、図ったななべやん……』
そう言って血文字でおっぱい図りたいと書きながら息絶える変態医師
精神的支柱が折れ、呪いにより気を失った。
どんだけ、見たかったんだよ。
まぁいい。馬鹿は放っておく。
校内では俺やナミ、ルーが目を光らしている以上、迂闊な行動は取れまい。
勇者一向の牽制という名目で保険医に着任したとはいえ、
お前が立場を利用して変態行動を起こすのは誰でも予想がついた。
故に健康診断という合法的手段に出たのだろうが甘い。
さぁて女子高生という海老で七英雄という鯛を釣ったことだし、
バカは放っておくか。
後は勇者一行だな。
動くとしたら今夜か……
さぁ……どう出る?




