氷結の魔女 4
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これからも異世界攻略のススメをよろしくお願いします!!
19:38 修正しました。
~エレノア視点~
後日談といいましょうか、今回の騒動のオチですわ。
翌朝
アニさんを襲った襲撃者達は
厨房の大型冷蔵庫の中で、生きたまま、氷漬けにされた姿で見つかった。
『氷棺送葬』
再生を繰り返す強力な吸血鬼さえを氷の棺に凍らせて閉じ込め、
芯まで凍った対象を杖で殴り、
粉々に粉砕するという極めて殺傷力の高い術。
火属性の魔術やスキルで溶かそうにも、強力な術師が使えば
魔力の運動エネルギーすら阻害、停止させる冷気を誇る為、
自力脱出も困難な術式。
アキラを捕獲した際に放ったアニさん独自の魔法であり、彼ですら脱出には手を焼く術だそうです。
以前、雪達磨にされた私でしたが、同じように氷の柩に閉じ込められて捕獲されるとは……その時の記録映像が無いことが悔やまれますが、知らずにアニさんは私の溜飲を下げてくれました。
出来れば、雪辱戦の為にもこの術を教わりたいものですわ。
話を戻しましょう。
襲撃者達は尋問の為、私やアニさんの手で、解凍、解呪したのですが、
みな、恐怖と寒さで歯をカチカチと鳴らし、戦意を失っていました。
こうなった原因はアニさんが、この術式を使った後、拷問をかけたからなのです。
ジワジワと冷気で死にゆく恐怖を味わわせ、心や反抗心を砕く為、徹底的に追い込みをかけたのです。
余程、食事を邪魔されたのが逆鱗に触れたのでしょう。
私も気をつけなければ……
拷問の始め、首から下を全て凍らされた男たち。
アニさんはその中で一番近くの凍った男を厨房に引きずり、
厨房に篭った後、
男の断末魔のような悲鳴
何かを割り、砕く音を立てました。
再び、食堂に戻ってきた時には、血のように赤いシロップが掛けられたかき氷を携えて戻ってきた。
「……いいですか? これから尋問をします。
嘘だと思ったら、もう一杯、かき氷を作りますのでそのつもりで。」
そのかき氷の材料に何を使われているのか等、男たちは聞けなかった。
首から上が無事なため、魔法詠唱で脱出使用にも何故か魔力が冷気で阻害される為、脱出もできない。
助かるために我先にと襲撃者達は吐いた。
戦争を引き起こすためにやった事、依頼者の名前など知っている限り全て男たちは喋った。
しかし、気まぐれに
「……暑いですねぇ~」
「……あ、忘れてしまいました。
…おかわりをすれば、思い出せそうです。」
「そ、そんな! 頼む!! 話す、もう一度、全部話すから…… お願いします、止めてくださ…ぎゃあああああああ」
と、次々に悲鳴を上げる男を厨房に連れ込み、新たなかき氷を作って持っていく理不尽さを発揮。
何度も是れを繰り返し、舌を噛んで自殺するものも治癒魔法で死ぬ事も許されないという拷問。
更に、氷の様に冷たい視線と表情で淡々と行う所業……
見てて背筋がゾクゾクしましたわ♫
ええ、実は襲撃者がアニさんに厨房で踊りかかった時、私も厨房の裏口に入り、事の成り行きを見ていたのです。
万が一には私が助力するつもりでしたが不要でしたね。
厨房にいましたので、当然、かき氷の作成も見ていましたが、
実際は杖を振り上げて男に悲鳴を上げさせた後、凍らせ、見えないように隅に隠したり
大型保冷倉庫に押し込み。
普通にかき氷を作り、厨房からイチゴジャムを掛けた普通のかき氷を作って持っていくというハッタリだったのですが。
見えないというのは想像力で恐怖心をより煽るため効果的でした。
あの追い込みはカグヤ様に負けず劣らずですね。
面白いので、最後まで見入った後、私はアニさんと合流し、 騒動に巻き込んだお詫びにと東洋の島国、ジパングとカグヤ様の故郷の料理を披露すると約束しました。
アニさんは瞳を輝かせ、更なる友好を育むことができました。
この事で、今回の穏健派のアンチも大分、一掃出来、東方で言うところの一石二鳥という奴ですわね。
襲撃者のレベルが低かった為、彼女の全力を見ることは敵いませんでしたが、
魔力運動を阻害するあの冷気を見れたのは収穫でしたわ。
何とか、自分でも再現できるように研究しなくては……
それにしても、アニさんには謎が尽きませんわね。
七英雄と渡り合える戦闘力
薬学に精通する高い知識。
ガリア王家の中でも特に強い霊力を持つ者に現れる濃紺色の髪と瞳。
賢者の証である無詠唱魔術。
魔女狩りをものともせず、世界中の料理を食べ歩き回ったという経験。
ただ、これだけの要素があるにも関らず、氷結の魔女と呼ばれる術師の名を私は聞いたことが無い。
ロマリアやゲルマニアにも彼女と同じ魔女の称号を持つ者が一人ずつ確認されていますが、
二人共、世界中に知れ渡る程の知名度と実力を備えている。
それこそ、五将軍か七英雄に匹敵する位に…
昨夜の件や先日のアキラ捕縛からももっと知名度がある筈なのに……
いえ、きっと運が無かっただけでしょう。
ですが、もし何者かが彼女の功績を奪った結果なのだとしたら
私は、その者を決して許すことはないでしょうね。
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魔女
一口にいっても魔女には世界各国で様々なイメージがある。
一般的には薬師、占い師、霊媒師としてのイメージがあり
その為、生と死の垣根を超えるもの、器用な人々、呪医とも呼ばれる。
しかし、魔女の中には精霊、悪魔と契約し、超自然的な力を振るう者がいる。
つまり、精霊魔法と召喚魔法を使うだけでなく、
精霊と悪魔の力そのものを振るう魔女が世界各国の文献に記されている。
クルトの民が使う『精霊化』『悪魔化』に近い術を奥義に持ち。
強力な魔女は世界の断りすら捻じ曲げる魔法を使うという。
その為、
ロマリアでは異教の悪魔として迫害され、
ガリアやブリタニアでは白魔女、クルトの聖人と崇められる。
そのような歴史背景がある為か『魔女』の呼び名は『賢者』の様な名誉ある称号ではなく、
蔑称、畏怖の意味も込められる為、現代で『魔女』の称号を好んで冠する者は少ない。
他にも、剣術を習得し剣をもって戦う者を剣士と呼ぶように
黒魔法を習得した者は魔術師(黒魔道士)として名乗る事を許される。
白魔法を習得した者は治癒術師(白魔道士)。
召喚魔術を習得した者は召喚師
精霊魔術を習得した者は巫女、神巫。
これら全ての魔術を無詠唱で扱える様になり、霊力を体得すれば晴れて、賢者を名乗れる。
しかし、魔女の称号はどの魔法を覚えたら名乗れるというモノでは無い。
極端にいえば、占いや薬学の知識も無く、魔法が使えなくてもいい。
強ければいい。
魔女狩りを返り討ちにし、常識や理不尽、森羅万象、その全てを捻じ曲げる程の強さ。
弱者には決して名乗る事が許されない称号。
それこそが魔女である。
~世界魔女大全より抜粋~
次回はギルド受付嬢!!




