ジャンケン 牽制
長いので分けます。
ジャンケン
正に世界の命運を決めるジャンケンが始まろうとしていた。
アキラが勝てば、女神、神獣と相手側が祭っている象徴を取り込む事が出来、ロマリアを内側からジワジワと弱体化させることも、手中に入れることもできますが、私達が握っていた(この前まで、その存在をみんなに秘匿され。
マリアちゃんが勝てば天敵である式払いの召喚獣を手中にすることができ、暗殺される確率を格段に下がると彼女は思っているのでしょうけど、神獣クラスの召喚獣を三体契約することになればいかな手段を用いてもマリアちゃんは四六時中狙われることになりますね。
私が勝てば……これまで通り、いや、私の悪い癖でフェンリルを霊山ごと消しとばさずに、労せずして契約できる以上、地脈を操れるフェンリルを用いてガリアの魔石坑山から産出される以上の魔石を得ることもできる。
ガリアに攻め込む必要がなくなり、今度こそ王国連邦に王手をかけることができる。
まぁ腕づくや教権を行使して奪うこともできますが、ガリア、ブリタニア、クルト民族を敵に回すのは千年前の焼き直しになりかねないと周りに必死に止められたので自制することにしましょう……(それはそれでありですねぇ)。
そうして、私は五将のアリアちゃんと景品と書かれた襷をつけ、銀色の長髪に白いワンピースを着た少女と一緒に闘技場で彼らを待ちます。
ただ……
「ジャンケンといったのに何故、闘技場でやる必要があるんですか?」
「本気で言っておられるんですか?」
「ぐ……」
ぐ、思い当たる節があり過ぎてぐぅの根が出ません
最近、いうようになってきましたね。アリアさん。
「この世に生まれて長いが、おぬしの強さ、歴代の異界の悪魔の中でも飛びぬけておる……この二日間疑問が尽きなかったのだが、おぬし本当に人間なのか?」
さて、このメイド…勘の鋭い方はお気づきだと思いますが、今回の件の当事者であるフェンリルです。
高位の魔物は人に化けることができるので、ロリから熟女まで年齢、体型を自由自在に変えれる為、この二日間は着せ替えで私の相手をしていたのでとても有意義に過ごせました。
「貴様ぁ 陛下に向かってそのような口のきき方……」
「コラコラ、怒らない、怒らない……まぁ私も戦女神とか豊穣神とか言われてますけど、一応、人間ですよ? 人間ドックにでもご同行します?」
「……いや、よい、匂いで人間だとわかる わかるのじゃが…」
「ふふふ、まぁおいおい分かりますよ。 っと来ましたね。」
師弟コンビのご来場です。
……ですが、師匠の方のアキラさんの様子が……
「すまない、待たせてしまった。」
「先生、まだ開始30分前スから大丈夫っス」
マリアちゃんはそういいながら自身に満ち溢れた顔で現れるが、アキラさんの顔が…か、顔が
「プ、くくく ど、どうしたんですか、その顔は?」
「じゃ、ジャンケンに因んだ祝福と特訓かな?」
アキラさんの顔には、紅葉が張られていた。
「女神の祝福にしては苛烈っスね~」
「く、思い出したらジワジワと痛みが!」
おおかた、光の女神のルーさんに祝福を頼んだら怒って光速ビンタで張られたのでしょうけど…いや、これはいきなり心理戦に持ち込んできたのでは?
無意識にパーを脳裏に刻み付けたのでは!?
『俺はパーを出す』
そういう心理戦に持ち込んだのでは!?
いえ、それともパーを出させるという意図が!?
いや、その裏の裏をかくつもりでは……
「始める前から布石を打つとはさすがですね。」
「何のことだ?」
「ふふふ、なら何故、回復魔法で治療しないんですか? できたはずですよねぇ?その程度の軽傷は」
「ははは、女神の祝福だから~、それに男の勲章でもある。」
二人して高笑いする。
ふふふ、そうでなくては!
しかし、私が用意するジャンケンがただのジャンケンだとは思わないことですね!
戦いは始まったばかりです!!
「では、始めましょうか! 最強のジャンケン 野球拳を!!」
「「……は?」」
次回、野球拳?




