破魔
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お久しぶりです。
本日から定時更新していきます。
アキラside
高笑いと共にフェンリルは俺を食らいつこうと飛びかかってくる。(モ○の君、賢狼○ロサイズ的に丸呑みか?)俺の魔改造による劣化攻撃を目の当たりにしたにも関らず、その速度に微塵のためらいが無い。
事実、フェンリルのその選択は正しい。
いくらレベルを上げ、身体能力を強化しようが、元の身体能力において、犬科の獣は人間のスペックを大きく超えている上に、フェンリルは臨界者以上の超越者、巨体というスペックの相手に俺の強みである速さで敵う筈が無く、【無拍子】も【精霊化】状態で無ければ肉体に負荷が大きすぎる為に連続では使えない。
ステルスで隠れて奇襲、狙撃もこいつの嗅覚と野生の勘の前では望み薄だし魔改造を使っての格闘戦は無駄だ。 フェンリルに触れて【劣化】【改悪】が発動するまでのタイムラグの間に手首を噛みちぎられるか、殺されるだろう。
其れを野生の勘か、経験、恐らく両方で知り、速攻で俺に食らいつく彼女の判断は正しいのだ。
だが、そんなことは俺も百も承知。
故に、次の俺の取る手は決まっている。
「【影転移!】」
「!?」
あらかじめ、発動寸前にまで体に溜めていた転移を発動させ、気絶している鈴木氏と共に上空に転移し、白魔法の・光、水、風属性を複合して作った虹色の足場の障壁【虹の橋】を空中に展開、足場として固定して一息付く。
ついでに巻き込んで死んでもらうと困るので、足元に転がっている鈴木を【転移】で黄泉の入口の【留置所】に転移させておくのも忘れない。
後で聞くこともあるしな。
そうして下に視線を向けると唖然として口を開け、こちらを見る神獣(笑)と目があう。
はるか下の地上で嗅覚か野生の勘で俺の位置を正確に察知して悔しそうに唸るフェンリルと視線がぶつかる。
「だーっはっはっは!! 如何に、早く動き、魔法を喰らう爪や牙を持っていようと、当たらなければどうということは無い!」
白いメガネを被り、某赤い大佐の真似をして【挑発】する。
『貴様! それでも勇者か! 何処が魔法戦だ!降りて戦え!!』
下で負け犬が悔しそうに吠えてますな~
というか、さっき俺の事を魔王とか言ってくれたのに、勇者だろ正々堂々と戦えとは随分都合のいい話だなぁオイ。 あと、一応、魔法戦だよ? 闇属性、黒魔法の【影転移】、光属性、白魔法の【障壁】を使っている。
ヒポグリフやドラゴンなど、この世界は物理法則、航空力学者に喧嘩を売るように巨体に見合わぬが一応、言い訳のように翼が生えておりで空を飛ぶ輩がいるが、フェンリルには翼は無い。
マリアの召喚獣の風属性の【王天虎】やルーのとこの【ベルゼ君】のように重力属性でも備えていれば話は別だが、フェンリルは地属性……空までは上がってこれまいて。
武器召喚スキル【剣林弾雨】で剣、槍を何本も召喚し槍を纏めて掴み文字通り槍の雨を降らせる。
「いくら、爪や牙に破魔効果があろうと、連続して飛来する猛攻は防げまい!!【投擲】!」
いつもは構える、狙う、投げるといった動作、隙を極力減らす為、【転移】【召喚】で射出するが攻撃の届かない上空にいる為、反撃の憂いは無い。
投擲する武具と自分の肉体に攻撃に必要な部位を魔力を包んで強化し、全力を込めての投擲するダメ押しに上から下へ向けての投擲の為、重力加速度も加算された剣、槍の雨が振る。
『たわけめ! 神獣を舐めるな!その程度の魔力に込められた槍など、我に通じるか!!』
不敵な笑みを浮かべ、武器の雨を迎撃しようと待ち構えるフェンリル。
魔剣、宝剣の雨を次々、牙で噛み砕き、爪でバターのように切り裂く度に魔力で構成された物は虚空へと消え、魔力で強化された名剣も魔力が断たれ、神獣の腕力で砕かれ鉄くずと化す。
ガリアの魔剣の大元になった神獣だけある。
噂に違わぬ実力を有す彼女に素直に賞賛を送るね。
だが、忘れるな。神獣よ。
俺がこの世界の人間でないこと…
自身が科学の力で敗れたことを…
俺とて、貪欲にこの世界で研鑽を詰み、生き残ってきた。
魔法で勝てないなら剣で、剣で勝てなければ魔法で、どちらも通じないなら、他の手段で……
同じように飛来してくる槍の穂先をフェンリルが爪で切り裂いた瞬間
━━━━━━━━音が消えた。
アキラside end
◆◇◆◇◆◇◆◇
マリアside
「槍を投げ出したら耳を塞いで口を開けていろと先生が言ってたッスけど、こういう事っスか。」
「……炸裂槍 アキラが円卓の騎士と戦った時に使った爆発する槍。」
「ほう、ありゃ、ウチの国のシン領やゴウタロウの奴が取り扱ってる火薬じゃ無いか? 確かにあれは魔力じゃないから防ぎようが無いし、至近距離から喰らえば無事じゃ済まないねぇ」
アニさんもアデーレの姐さんも見覚えがあるのか、冷静にあの槍の正体を見極めてるッス。
魔力で構成、強化した武器を何度も破壊させ、その中に本命の爆発する槍、毒を仕込んだ武器を投げつける。
毒物は、神獣の特性かもしくは、先生やエレノアさんと同じ、【現呼吸】を行使している為か効いていない見たいスけど、フェンリルの肝である爪と牙を破壊する為にあえて何度も同じ攻撃手段を使わせるとはさすがっスね~。
轟音と火薬の匂いが辺りに充満する。
爆発による轟音、閃光、火薬の匂いで視覚、聴覚、嗅覚を封じて何発もの炸裂槍が突き刺さり爆発し、残った四肢の爪、牙を破壊しつくす。
初めから受けに回らず、狼特有の速度を持って回避に徹していれば話は別だったんスけど、それをさせない為、あえて【挑発】し回避という選択肢を消し、その自慢の爪と牙で対処出来る攻撃を使わせる。
結果は…………
『うぐぐ、一度ならず、二度までも我の牙を……許さぬ! 許さぬぞアキレウス!!』
爆進地のクレーターからフェンリルが顔を出し、先生を睨み、折れた牙や爪を見て涙を流し、憤怒の形相で上空を睨んでます。
「【闇撫】【混沌の沼】」
その声が風と共に私らの耳元に届いたと同時に、フェンリルの体を影から出てきた無数の闇の腕が伸び、拘束し、足元も同様に黒い沼が現れ動きを封じ込めているッス。
爪も牙も無い今、彼女に抵抗する術は無いっスね。
『…………』
体が半分が混沌の沼に沈み、闇撫の手が彼女の口に巻きついて無理やり口を閉じさせます。
なんか、敵ながら同情するッスね…
敵に殆ど反撃する隙も与えずに一方的に攻撃するとか……
「なんだか道案内だけで終わっちまったねぇ? 取り敢えず、ゴウタロウのバカを締め上げてから帝都に帰るとするかね?」
神獣を相手取ると意気込んでいたアデーレの姐さんが不満そうに声を上げてるッスけどそんな事を言っている場合じゃないと思うんスけど?。
「まぁ 非常時ですし……というか、帝都に他の七英雄か、王国連邦が攻め込んでるんじゃ無いっスか?」
まぁブリタニアはベスちゃんやクリスタがいるから攻め込んで無いと思うっスけど、
「あっはっはっは、そりゃ無いね!ウチの大将はね、執務の仕事は泣いて逃げ出すけど、戦いになると逆に相手が泣いて逃げ出すんだよ!」
あ、微塵も心配してないっス。
寧ろ相手側と先頭の余波に巻き込まれる国内の領土を心配しているスね。
確かに、ガリアでの争奪戦の時はあの人、【精神同調】が通じず、真祖のテレサちゃんの協力を得て、ようやく意識の一部を改竄するのがやっとでしたね。
うん、絶対に正面から戦いたくない相手っス。
あ、そうこうしている間に先生が降りてきたっス。
ようやく、ウチらの出番スね。
マリアside end
●おまけ 詠唱文
上級魔法 転移
空間転移 水、風、影を媒介にして扉に変えて行う空間移動。
物体の送還、人の移動等、空間固定、射出など汎用性が高い高等魔法。
簡易的な召喚・送還魔法。 距離、転移させるモノの質量に比例して消費魔力が増える。
転移したい場所、目的地にマーカーを付ける時のみ詠唱を必要とするが無詠唱魔法の使い手は視界に入った場所ならマーカーを瞬時に付けて連続して転移することも出来る。
水属性 「水に眠る古の記憶よ、盟約に従い、彼の岸の境界を超え、扉と化せ【水転移】」
風属性 「風に眠る古の記憶よ、盟約に従い、空の境界を超え、扉と化せ【空転位】」
闇属性 「夕闇に眠る古の記憶よ、盟約に従い 黄昏の境界を超え、扉と化せ【影転移】」
中級 障壁
○○よ、何人も越えられぬ壁となりて我を守れ ○○壁
↓
アレンジ 足場として空間固定する魔法 虹色の足場となる。(アキラ オリジナル)
「風よ、水よ、光よ、集い来りて、虚空へと踏み出す礎となり我を守る橋と化せ!【虹の橋】」
詠唱しないという……




