改悪
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今年もよろしくお願いします。
短いです。
空想科学兵器をも作り上げるスキル 固有スキル【改造】
本来なら鍛冶スキルに分類されるスキルが、現代科学文明を過ごしたゴウタロウと想像上の架空の産物である【粒子加速砲】【焼却砲】【飛行ユニット】【駆動服】を魔法文明と古代文明によって物理法則を超越した兵器を現実に作り上げる強力なスキルへと発展した。
つまり臨界者という最高の肉体に加え、進化し続ける未来の科学兵器を装備し、尚且つスキルらしいスキルを用いずに慣れない未来兵器を扱うゴウタロウに死角は無い。
アキラとの再戦を想定し瞬間的に体感速度を上げる【加速装置】高周波で振動しあらゆる物質を切断出来る【高周波ソード】、極めつけは対象の魔力の波調を読み取り逆位相の波長を放出して魔法、ステルス、スキルをジャミングし、体力、魔力を削る【マジックジャマー】を今回の為に揃えていた。
事実、この兵装は先のフェンリル戦でも非常に有効であり、結果召喚者側に着いた七英雄達がフェンリルと契約できたのはゴウタロウの働きが大きい。
そして、今回の戦い、アキラは精霊の天敵であるフェンリルを警戒した為か闇の大精霊との経路を閉じて戦いに挑み、以前の敗因である【影転移】から【魔法剣】【宝剣】の物量投擲や【魔物作成】を封じられた状態で挑んだのだ。
自身らをこの地に召喚した意思の真意を知った今、アキラの命を奪う事も仕方ないと決心したゴウタロウに死角は無かった。
「悪いな。自分でも卑怯性能だと理解しているし、俺自身、この手を使うのは反吐が出そうになる。 けど、ソッチに着いて、尚且つ俺の大事なモノに手をかけようとする奴ら相手に自重する程、人間出来て無いんだ。」
右手で触れる。
ただそれだけの挙動、一瞬の虚を突くカグヤから読み取ったスキル【無拍子】でアキラはゴウタロウの横を通り過ぎフェンリルの前へと歩いてく。
まるで通りすがりに子供の玩具を誤って踏み潰すかの様にゴウタロウが生み出した空想から堕ち、現実へと形を成した最強の装備が壊れた玩具の様に崩れ去った。
「……あ? な?」
何が起こったか理解できないまま倒れ伏し気を失う鉄人。
その光景にフェンリルが自身の本能が叫んでいた警笛の正体に気づき全身の毛が逆立ち、後方に控えていたマリア達三人も、その光景に息を飲んだ。
【魔改造】
膨大な時を費やし才能と努力、偶然の果てに人類が発見し、産みだし、研磨し、発展てきた技能実力文明、その全ての結果を前倒しにして持ってくる固有スキル。
強化系スキルの最上位に位置するスキルだが、このスキルの真に恐ろしい点は強化などというそんな生ぬるいものでは無い。
改造は何も『改良』だけではない。
『改悪』、劣化させるのも改造に当てはまる。
弱体化する努力、弱体化する才能、文明を衰退させるという普段から使うスキルの真逆、これまでも努力を台無しにする最凶の力が備わっていたのだ。
架空兵器、この世界に召喚されてから後天的に身につけたスキル、レベルその全てを初期化されたひとりの人間だけが残され、そしてアキラの右手にはゴウタロウから奪った技能と魔素が込められた魔結晶が握られていた。
『くふふ、そうか、その力!その気配!! 悪魔の皮を被っておったら気づくのが遅れたわ!!やはり貴様は我が牙を折った憎き雄!! 魔物の王!!闇の勇者アキレウス!!!』
フェンリルの歓喜に震えた声にアキラは無機質な視線を向けて、応じる。
「フン、俺はアキレウスじゃあないし、千年も長生きした覚えは無いんだけどね。」
『クハハハハ! それにしてもなんとも皮肉な話では無いか! 世界の破滅を防ぎ、魂までも地獄へと消え去った貴様が、今度は世界を滅ぼす悪魔に堕ちてこの世に舞い戻るとは!!さては貴様!?我を笑い殺す気だな!?」
「コイツも、昔のナミやルーと同じかよ……」
全く話が通じない神狼に辟易するアキラ。
自身が千年前の闇の召喚獣、闇の勇者であるアキレウスの転生体であるのは今迄調べた迷宮や遺跡、ナミとルーのグリモア、マリアとヨシツグから共有した情報から認めたくは無いが理解していた。
だが、それでも自分自身とはいえ、前世と今世の自分は全くの別物とし、重ね合わされる事はアキラにとっては嫌悪感を抱く行為だった。
「まぁ、やることは変わらない、舌戦で戦うと宣言したんだ。 宣言通りに舌戦で直ぐに黙らせてやるからな。」
ナミの力を使わず、チートの力を使わずに死神、攻略者の青年、渡辺・アキラとして魔法と精霊を喰らう神代の魔物に挑む姿。
その行いは勇者か、はたまた愚者か?
そして、七英雄の一角 鉄人の力が消滅し、千年前に持ち越された戦いがアキラの呪文とフェンリルの咆哮が、膠着していた戦争の火蓋を切って落とされた。
魔改造の伏線回収 勇者を村人Aに、魔王をスライムに変えるスキル。
ガリアの王墓、ガリアの魔剣の伏線回収 次々回に回収。
やはりかませ役だった鈴木!でも彼の出番は未だあります!(多分)




