集いし英雄達 表
一応、タイトルに偽り無し。
時間は前章でビビ襲来から3日後の晩から始まります。
アキラside
~ガリア プライベートビーチ 別荘 リビング~
ソコに現代視覚文化、魔都 秋葉原・日本橋から集った英雄達が集結していた。
レイヤー・服飾デザイナー 戦女神 カグヤ
同人作家・腐女子・ネットアイドル 悪魔使い マリア
廃人ゲーマー兼フィギュア造型師 人形師 ヨッシー
・・・・・・一般人 死神 アキラ
今ここに、心底どうでもいい会議【異世界に広がれ、日本のオタク文化】が始まろうとしていた。
・・・自分の部屋に戻って寝ていいか?
「ナベヤン? なんで自分だけ関係ありませんって肩書きなん? カマトトぶんなや!!」
「アキラさん? この後に及んで往生際が悪いですよ?」
「あれほど、末期の中二病患者もビックリな技を使っておいてそれは無いでしょう。 カミングアウトするべきっす |I am O・TA・KU! Repeat after me?《私はオタクッス。 さぁ私に続いて?》」
「|I am normal! General person!《俺は普通だ。 一般人だ!》」
「アキラさん? すぐバレる嘘はいけませんよ?」
「コミケにも行かね~し、コスプレもしたことないわ! ただ、アニメ、ゲームを暇つぶしに嗜んでただけだ!!」
「ア○メイト会員やん! ラノベも結構読んでるし、ワイらの話題に着いていけるやん!?」
「お前らみたいに重度にハマってないんだよ俺は!! というか医者に旧家のお嬢様に青春ど真ん中のスポーツ特待生って・・・おまえら全員リア充じゃね~かよ!! なんでそんなにのめり込んでるのか逆に知りたいわ!!」
「・・・・・・医者って辛い仕事だよね~家族からの重圧もあったし、勉強ばっかで友人もでけへんし。」
「・・・・・・厳しい家柄で・・・稽古ばかりで・・・普通の・・・」
「友達に勧めらたっス~♪ いや~ジャパンのサブカルチャーは世界一~♫」
「・・・あ~なんというかスマン。俺が悪かった。 田中もカグヤも大変だったな。 後、マリアはめっさ普通で安心したわ。」
・・・・・・思いっきり地雷でした。
□ ■ □ ■
閑話休題
「それでですね~私の出した同人誌が娯楽が少ないこの世界で性犯罪が一気に減ったんッスよ~ ・・・(この間の経験で作品にも幅が出ましたし♡)」
マリアが最後に俺に意味ありげに視線を向ける・・・
後半のカッコの心の声が聞こえるね。
確かに春画といった文化が少ないアースで日本が世界に誇れるサブカルチャーは売れるだろうし、ポルノが犯罪を助長するなんて意見もあるが、統計学的に犯罪を抑止する効果も出ている。
その影響で、バ○オもビックリなほど、ゾンビが爆発的感染で増えているがな。
只、筆記用具が羽ペンに羊皮紙、印刷技術もそんなに発展していないこの世界。
オマケに本を買う余裕のある者がこの世界にどれだけいるんだろうか?
「クフフ 私は下校中に召喚されたので筆記用具や紙の現物を持っていたのです。それを王都でベスちゃんと協力して開発し、筆記用具を完成させたのです!!! そして廉価版、彫刻刀で板に絵を彫り、セリフを印鑑の様にアルファベットごとに判を作り印刷技術も発展させたッス! まぁ先生のトコのガリアの筆記用具には負けたっすけど。」
ああ、卒業式の記念の万年筆も貰っていたし、俺も合格祈願の鉛筆や消しゴム、手帳に三色ボールペン&シャーペンもあったからそれを作るにも結構苦労した覚えがある・・・今は【複製】で量産体制が整っているため、あの苦労はなんだったのかと思うが今は大儲けしているので問題はない。
「その【複製】ッス! 完全なコピーを作り出すスキル! 私らの筆記用具や現代品まで複製出来てるじゃないッスか! でもコピーで儲けるなんて狡いっす!」
ちゃんと材料揃えないと複製できないし、魔力のみで複製した複製品は時間経過で消えるけどな。
「その心は?」
「・・・・・・同人誌の印刷頼めないっスか?」
・・・・・・マリアはこの前まで表には出さなかったが望郷心で追い詰められていた。
この間の一件で彼女の壊れかけた精神を癒し、俺も彼女を元いた世界に返すと約束をした。
現在、彼女を還す方法も幾つか揃えている。
1 召喚者を探し出し、捕縛して還してもらう。
2 魔改造と裏技を駆使して自力で帰る。
3 死ぬ。
うん、わかってる。
3は無い。
俺が転生して元いた世界に渡ったらしいので、あの世(存在するか疑わしいが)を中継して元いた世界に渡れるが、死んだら元も子もない・・・
黄泉の入口は、比喩表現で付けられたあの世であって本当に黄泉の世界では無いし。
生身の状態であの世に渡らないと意味がない。
1は召喚者を信用しきれない以上、難しい。
マリアを召喚した人物は信用できるかもしれんが単独では召喚はできても召還することは出来ないようだし複数名捉える必要がある。
方法も無くはないがコレは最後の手段だ。 今は使うべきではない。
2なのだが、実はもう完成間近である。
マリアは高位魔族、召喚獣との意思疎通が出来るし、失われたスキルを遺跡や石碑など様々なものから情報を得ることができるので、古代呪文にも長けている。
そのため高等魔法の召喚術を習得したし、高位の霊格 魔族や英霊をも使役できるのだ。
因みに俺は大精霊三人からいろいろ学んで召喚術を覚えた。
とにかく膨大なスキル数を誇る田中とマリアが記憶しているロストスキルをマリアの固有スキル【精神同調】で共有して、それらのスキルを纏めて俺の【魔改造】で【異世界渡航】【時間旅行】【次元切断】のスキルを完成させることに成功した。
帰還するための動力(魔力)という問題点(移動系魔法・スキルは距離に比例して魔力消費量が増大する。)も源呼吸と精霊化でクリア出来る。
後は座標指定だけだ。
この世界が過去か未来か平行世界か・・・それとも全く別の惑星であろうがなかろうが・・・召喚者は地球それも日本に限定して召喚できる以上、正確な座標計算・・・地球の場所・・・それも日本の位置情報をはあくしているし、マリアの証言から時間指定まで可能なのだ。
異世界を渡航するための船と操作技術は手にした。
後は羅針盤・・・つまり召喚者を捕まえる。
召喚者を捕らえ・・・①
マリアの精神感応で座標を読み取り
俺のスキル【異世界渡航】で帰還する・・・②
不安要素は再召喚と召還した後に起きるであろう戦争だ。現状、戦力が拮抗?しているがマリアを還すと均衡が崩れ、一気に大戦が勃発するおそれがある。
・・・いや、三体四でも 人海戦術と何千ものスキルを操る田中に歩く核弾頭のカグヤ、自重を捨てれば裏技、バグ技を使う、チートも真っ青な俺。
この面子なら楽勝で勝てる可能性もあるが、戦場では何が起こるかわからん。
この間のような聖人の刺客もいるし、油断ならない。
・・・違うな前世は関係ないと言いたいがコレは俺が決着をつけなければならない問題だ。
カグヤは完全に火加減・・・手加減が出来ない攻撃力を持っている。
最悪、相手側が全滅し、世界が焦土と化す。
俺が戦わないと、この世界すべてを巻き込んだ殺し合いにまで発展してしまう。俺は彼らを見捨てるには長くこの世界に居過ぎた・・・
もし田中とカグヤが帰ることを望むのなら俺ひとりでも戦わないと・・・・・・そう思える程に。
「・・・聞いてるんスか!? 先生!!」
マリアが俺を揺さぶって思考の海から舞い戻る。
「あ、ああ印刷の件な? 何部刷ればいいんだ?」
「ホントっすか!? いや~再販の依頼もあったので助かるっス~♫」
彼女の屈託の無い笑顔を見て思う。 本来なら戦いとは無縁の国で平和に過ごせていた筈の俺たち。
田中もカグヤもマリアも・・・・・・いつ死ぬかわからないこの世界で自身の運命に悲嘆せずに懸命に生き抜いてきたのだ。 もしかしたらこの茶番も少しでもサブカルチャーに没頭して精神の安定を計ろうとしている為なのかもしれない。
だったら、仲間の為に・・・俺も一役買うのは吝かでは無いだろう。
「あ! だったらワイも! ワイも! フィギュアの材料と廉価版の複製頼む! あと同人誌コピーで!! それから、それから~え~とちょっ待って 書類に纏めて出すから。」
「新しいコスチュームを仕立てたいんで私も~♪」
・・・・・・こいつ等、異世界ライフやサブカルチャーをエンジョイしているだけじゃ無かろうな?
まぁ今日くらいは俺もハメを外して彼らと語り明かそう。
帰還方法をほぼ、確立していたアキラ。
後は召喚者を捕縛し、七英雄を止めるのみです。




