エピローグ
予約投稿 15:00
アリシアside
あの戦いの後の事をいくつか話そうと思います。
まず、師匠との戦いの結果は私の負けに終わりました。
渾身の突きが師匠の胴体に決まったのは覚えていましたが、同時に師匠の掌打も私の体に入り、相打ちの状態になったのですが、そのまま、師匠に倒れ掛かる形で気絶したそうです。
ですが会場は総立ちで私の健闘を称え、割れんばかりの拍手が送られたそうです。
結果、円卓の騎士は4タテで敗れましたが・・・皆さん、再戦を誓ってギルドのハンター、義勇兵達と合同訓練を週末に行う習慣ができました。
王宮で変わったことは私は正式に見習いから近衛騎士に任命され、大出世しました。
【姫騎士】という二つ名も付き、晴れて栄職に就任し、婚約者の件も師匠が候補に収まり、『文句のあるものは掛かってこい』と師匠の言葉が止めになりウヤムヤになりました。
そして、師匠とその古巣のギルドメンバー、姉さんの悪友の白い麗人はあの戦いで師匠に全財産?を賭けたのでは無いかという程の額を賭けていたので羽振りが良くなり、装備を新調したり、店を開いたり、拠点を買ったり、食費に消えたりといろいろ騒がしい毎日を過ごしているそうです。
師匠に対する想いはまだ、秘めたままにしています。
いえ、この想いを打ち明けようとしたのですがバタバタして中々言う機会が出来ず。
八月の猛暑の日に師匠は私とクラリスに手紙と大量の課題『夏休みの敵』を残してこの国を去ってしまいました。
・・・・・・不覚。 なりふり構わず、会いにいって告白すべきでした!
師匠の失踪にクラリスはとても心配しているようでしたが、あの人のことです。
どうせ元気に何処かの遺跡に潜って遊んでいるに違いありません。
それにしても『夏休みの敵』課題の内容は精霊文字や古代文字で書かれ、暗号で事細かに書かれ、翻訳、解読しなと読めない代物でやっと翻訳しても只の料理のレシピだったりと師匠の悪意というか悪戯心を感じます。
ですが、書いてある内容には高等な戦術、戦略、兵法、世界の理、精霊魔法、スキルの習得理論など有用なものが多く記載されているようなので、クラリスと共に頭を抱えながら解読する日々を送っています。
成程、コレは休みを削ってまで読みたくなるものですので『夏休みの敵』というタイトルも言い得て妙かもしれません。
とにかく精進する事、この気持ちを整理する時間が出来たことを喜ぶべきでしょう。
次に私は何時かあの人の背中を見るのではなく、並び立つ存在に、背中を任せられる存在になる為に精進し、彼を待つ事にしました。
いつ彼が帰ってきてもいいように・・・
幕間に続く・・・




