殺す覚悟、殺さない覚悟
ノクターン版 「異世界攻略のススメ 夜想曲」 始動!!
エロは苦手ですが頑張りました!!
「殺す、殺さないを同時に行う。」
俺の提案に全員が首をかしげる。
「偽装死にするってことだ……俺一人では無く、皆の協力が必要だ。」
「偽装死って……かまへんけど、この娘生かすって事やろ?記憶を消しても聖女としての能力は消えへんで?身を守る術とか持たせられなかったらって…ああ!」
馬鹿なようで自称一流医大生の田中は気付いたようだな。
「先ず、彼女本人にナミに闇属性の加護を与えて光属性の能力を半減させる。パワーダウンするし、召喚者の思念波、索敵をキャンセル出来るようになる。 記憶はあえて残しておく。」
仇敵の加護、洗礼など彼女にとっては堕天、破戒に抵触し、即座に異端者の烙印を押される。教会に逃げ込むことも出来なくなるし、首輪を掛けることが出来る。
それに伝承どおりなら回復、治癒魔法に優れた聖女だったはずだ。戦闘能力を奪い、回復、治癒能力をそのままにすることが出来るしナミのバックアップでむしろその方面は強化される筈だ。
「次に偽装する遺体だが、彼女の遺体を【裏技】の【複製】で錬成し、カグヤの蒼炎で形を残した状態で灰に換え、田中の人形製作で形状を固定…石像に鋳造してくれ。 俺は影転移でロマリアに転送する。」
「下手人を複数名にすることで刺客の戦力を分散させるという事ですね?」
「しかも灰にするから遺伝子は死滅…クローンによる蘇生を防いで、警告できるっちゅ~訳か…石像化させることで見せしめにもなるな…」
「結果的に彼女を始末するより効果的だ……ロマリアの怒りを買うが、仕掛けてきたのはあっちだし、異端審問部署の独断だとしっぽ切り出来るいい訳の余地も与えて置く。 正義感の強い勇者君や他の異端審問官もトップと4位が二の足を踏むだろうし、彼女から引き出した情報から二位は教皇の護衛で三位は勇者の監視員だ。5位から13位は戦闘能力は大したことない只の雑魚だから問題ないしな。」
そう言ってセイラを見やる。
この世に呼び戻され再び戦わされた人形。
俺と同じ境遇の少女…
彼女を救わなくて何が英雄だ。 何が教師だ。
「これは俺のエゴだ…だが合理的でもある。如何だル―?」
そう言ってル―を見やる。
さっきまで難しい顔をしていたが俯き、笑いを堪えている。
「フフフ 本当にアキラは私を飽きさせてくれないな。 私も神や悪と言われて長いがアキラを見ていると偶に同類なんじゃないかと錯覚しそうになるよ。」
どうやら納得いった様だ。
「流石、私の主人です。」
「ナミよ。其処は後で言及するとして、アキラ…早速取り掛かろう。私は、より説得力を持たせるために聖人の気配を着ける。遺体には私の加護を掛けておこう。」
「アキラ…ウエディングドレスの件も忘れないで下さいよ?」
「ビビ~その娘 見張っといてな? それとも遊んでてもええで?」
「元よりそのつもりです。 フフ 私、実は妹が欲しかったんですよ。」
それぞれが仕事に取り掛かる。
この日、処刑人一号はこの世から死に…… 闇の大精霊の祝福を受けた使徒 白魔導師 セイラが誕生した。
彼女の人生を一時的にとはいえ、俺のエゴで奪ったのだ。
俺はこの日を彼女の事を決して忘れないだろう。
アキラ、殺す、殺さないを同時に行う荒業をこなしました。




