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異世界攻略のススメ  作者: 渡久地 耕助
死神と人造人間

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人造人間

プロジェクト S


その概要が明らかに…やっと伏線回収です。

 田中side


「ねぇねぇ 今、どんな気分? 余裕綽々で戦おうとしたのに、ギャグみたいな落とし穴に落ちるってどんな気分? 俺、こんな無様晒したことないから分からないの~♪」


「ぐ ぎぎぎぎ」


 アキラお得意の挑発で刺客ちゃんをこきおろし、ほっぺたをツンツン突いている。



 目の前に虎の子の聖躯布の法衣をはぎ取られ、自殺できない様に猿ぐつわをかまされ、【混沌の沼】が詰まったドラム缶に首だけ出している少女が悔しそうに、瞳に涙を溜めて、あきらを睨んでいる。


 さっきまで無感情、冷酷非道な暗殺者でワイとのガチの戦闘を繰り広げる筈やったのに、シリアスをぶち壊す、あきらの落とし穴(対 ワイ用)でケリが着いてしまい、今では年相応の少女位の力しか残されていない。


 あのあと、見事に【混沌の沼】が敷き詰められたドラム缶にスッポリはまり状況についていけずに呆然としている刺客ちゃんを屋敷に連行したのだ。


 刺客ちゃんの気配には皆気付いていて……王様ゲームで、王様(あきら)の命令で「侵入者を迎え撃て」と命令されてあの屋根の上にいたこと、ゲームの中に組み込まれる程、問題にされていなかったとは、この娘には言わない方がいいだろう。

 

 余りにも不憫すぎる。


 やのに、アキラは刺客ちゃんが囚われている【混沌の沼】に手を突っ込み抵抗できない彼女の体中をまさぐり法衣を無理矢理、はぎ取った。


 法衣の下には下着は着用しないらしいので、あの娘は今、裸な訳でして…


 ドラム缶から仮に出れても、ワイとアキラが居る以上、出るに出れない訳でして…


 心底、思う…可哀想に。


「いや~竜の鱗とかより強力な装備が手に入った。お祝儀代わりにもらって後で複製しとこ~……あ、そうだ! この法衣は下地が白だし、これで花嫁衣装とか作ろうと思うんだけど、どうだろ?」


 はぎ取った聖躯布の法衣を嬉しそうに広げてトンデモナイ発言をする。


 罰あたりにも程が無いか? …あきら おそろしい娘!


「はぁ? それって死体を埋葬する時に使ってた布ちゃうんか? 聖躯布なんやろ?」


 思わず突っ込んだワイは悪うない。


 世界中の宝物庫に忍び込んでは、複製してきたアキラと、ロマリアで崇められていたルーが、刺客ちゃんが着てるんが聖躯布っていうレアモンの装備ってのに気付いてんけど…


 それって要は埋葬用の布な訳やろ? 花嫁のドレスに仕立てるンはおかしないか?


「そうですね!そういえば私達、結婚式を挙げていませんでしたね。 素敵な案です。」


「フ、フン まぁ私が袖を通すのだ……素材だけ良くてもデザインが悪かったら許さんぞ?」


「う~ん白縫も捨てがたいですが、やっぱりウエディングドレスですね~」


「素晴らしい提案ですぅ 式は私が住んでた教会で挙げましょう。 アキラ様♡」


 あれ? 女性陣喜んでる?


 ええんか? 冠婚葬祭でも 葬に使う布やで? 縁起、悪ないか?


「アレでは無いですか? 同じ墓に入るというニュアンスを持たしているのではないかと。」


ワイと同じ常識人?のビビが冷静にコメントする。


成程、そういう考えもあるのか。


「でも、あの子ら全員、ほぼ不死身やなかったけ?」


大精霊とその契約者、真祖は半不老不死だ。


墓は要らんやろ。


「義父さん 空気読んでください。」


「え? あ、はい すいません。」


義娘に叱られた。納得いかん!



田中side end


□ ■ □ ■ □ ■ □ ■


アキラside


「さ~て、からかうのはこの辺で置いておいて……とロマリアの刺客、それもプロジェクト・Sのシリーズだな、この娘。 ルーとベルゼ君、俺が内戦時に潰したのに、彼女を見る限りまだ研究が続けられてたみたいだな」


「プロジェクト・S? なんですかそれは?」


ビビと田中だけが首をかしげる。


ビビちゃんはともかく、なんでお前が知らない? 田中よ。


「Project Saint 人工聖人計画だ。 人為的に勇者、聖女、聖人といった神の子を作りだす計画だ。聖人は只の臨界者と異なり、こいつらはスペックが段違いで違う。


 ベルゼ君やクレアちゃんも10代半ばという年齢にかかわらず、臨界者でも無いのに、七英雄に迫る戦闘能力と【神の加護】と呼ばれる幸運、強力な固有スキルを有している。」


 ベルゼ君の【重力支配】、クレアちゃんの【神眼】などこの世界の人間のスペックを生まれながらに超える突然変異の人種。 


 それを人為的に作り出し、戦力として人間兵器として使う計画。


 更に、通常の臨界者より、魔力貯蔵量の多い、聖人だ。


 タンクにも、使い捨ての人間爆弾にもなる。


 そして……




「原型は、元から素養の高い子供に魔石やダンジョン・コアを体内に埋め込み、強制的に器を拡張して作りだす。これで魔物化や精霊疾患の危険性を孕むリスクを消せるが肝心のダンジョン・コアが希少すぎるし素養の高い人材もそれ以上に希少だ。金が掛かり過ぎるので凍結された。」


「試作型は、クレアちゃんや、歴代の聖者の遺伝子を使って……精霊化のシステムから考えられた。

ウチの姫様と同じように体内に聖人の遺伝子、因子を植え付け、時間を掛けて馴染ませるんだが、これは適性が無い者は拒絶反応、精霊疾患と同じ症状が出て、殆どが死に絶えた。 だが、教会は孤児院を営んでいる材料に困ることは無かったんだろう。 足りなくなれば誘拐して材料を揃えていた。」


 いってて反吐がでる。

 

 ルーとベルゼが研究所を破壊し、俺が内戦で勝ったことで、宰相がこの計画の加担者ということも分かった。


「そして、この子だが……如何やら、俺と同じ考えを持った馬鹿がやらかしやがったな。 クローン人間だよ……この娘。 それも過去の聖人の誰かの筈だ。」


 俺も転移装置を利用して、生物のクローンを作った事はあったし、理論上可能なのも分かってた。


 しかし死体、中身のない人形を作った事はあっても命までは錬成しなかった。


 人としての一線は越えない様にしてきたのだ。


 なのに、その禁忌を破った計画が……


 俺が懸念した非道な計画が進められていた。


 人造人間


 それが、この刺客ちゃんの正体だ。


 彼女が聖躯布を身に纏っていたそれは、この聖躯布が元々、彼女の遺体を包んでいたから、この法衣の本当の持ち主だったからこそ、刺客にも関わらず、これ程の装備でやってきたのだ。


「クローン技術が向こうでは確立されているな。古代文明の発掘か、俺達七英雄の誰かの入れ知恵かそれとも召喚者の技術か?どちらにせよあいつらはしでかした。しでかしてしまったんだ。」


 クローン人間、その事実を完全に理解しているのは俺達、異世界人だけだ。


 他の皆は死者が蘇るというニュアンスで理解しているのだろうが。


 クローン兵


 それも過去の聖人を登用している。


 俺達、異世界人はクローンを使っても異世界人の知識や経験、スキルまではで再現できないし余り効果的では無いが聖人は生まれながらに強大な潜在能力とスペックを持つ天賦の怪物だ。


 ロマリアを可及的速やかに仕留める必要が出てきたな。


 皆を見回すと、眉間にしわを寄せたり、無表情ながらも静かな怒りを感じたりしている。


 気持ちは同じだな。



「……ぶん殴る相手が増えたな。」








ロマリア開戦は近い。

あれ? 刺客ちゃんの名前はおろか、ぐぎぎぎぎしか喋ってません!?


次回こそ

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