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異世界攻略のススメ  作者: 渡久地 耕助
死神と人造人間

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分身魂

読みはワケミタマです。

最弱の七英雄……


 田中・ヨシツグ (25)


 職業 外科医 趣味 フィギュア製作 ネトゲ


 一流医大卒の外科医 研修生


 生来の変人として知られるが、命を救う事、美を追求することに情熱を燃やす人物。

 

 イシスに拠点を置くも大戦に関与せず、外科医術、義肢医療、心霊医療を駆使し、世界中に遠隔操作の人形と自動人形を設置し、人々の命を救う英雄。


 武功では無く、人の命を救う聖者として崇めたれた英雄である。


 □ ■ □ ■ □ ■ □ ■


 田中の呼びかけには応じたのか白いフードコートを被った神官風の青年はステルスを解く。


 如何に姿を隠していても、霊視レベルの眼力を持つ、田中にはステルスなど通じないと理解したからだ。


 そして田中もその男の実力に少なからず驚く。


 【診察眼】のスキルがその男がアキラに負けずとも劣らない暗殺術、斥候職の実力者である事を田中の脳内に警鐘を鳴らす。


 教会、神殿の暗部が産み出した暗殺に特化した化け物。


 それが、田中の前に立ちはだかった。


 「白昼堂々来るとは思わんかったわ……それも一人でくるとは……な。」


 田中が軽口を叩く。


 神と英雄と情欲の国 教国 ロマリア


 その最暗部の異端審問官


 教会の神殿騎士団を凌駕する暗殺・対魔集団。


 それが単独で七英雄達が跋扈するビーチに昼間からやってきたのだ。


 暗殺者は必ずしも夜にやってくる訳ではない、民衆に化け、路上で、街中であらゆる手で標的を消しに掛かる。


 だが、感知能力、霊視能力の高い、アキラと田中には彼のステルスを見破ることが出来る。


 しかし、この男は五人の臨界者を相手に、単独で白昼堂々攻めてきたのだ……


 とても暗殺者らしかぬ所業である。


「……」


 通常なら、見つかった時点で、この場で即座に帰還するのだが、相手は最弱の七英雄一人。


 都合よく、他の面々から離れているのだ。


 お得意の人形も置いてきているし、丸腰の人形師など、相手にもならん。


 田中以上の実力者を今まで狩ってきた驕りが彼にもあったのだろう。


 祝福儀礼を受けた短剣を抜き放ち、助けを呼ぶ前に、命を摘み取りに掛かる。


 何時もどおりの作業……


 戦闘技能の無い、只の素人に負けるはずが無い……


 そう、今、この瞬間まで、極わずかの人間を除いて、人形師・田中・ヨシツグを誰もが侮っていたのだ。


 ■ □ ■ □ ■ □ ■ □


アキラside


「ふん、ネズミが馬鹿を侮って掛かったようだな。」


「ああ、朝から私たちを見張ってた教会の刺客の方ですか……臨界者だったら私たちに敵うとでも思ってたんでしょうか?」


 カグヤの言う通り、俺達七英雄に対抗出来る存在は臨界者か、それに準じる実力者でないと打倒は不可能だ。


 戦闘職でなく、武器である人形も持っていない、田中なら勝機はあると……誰もが思うだろう。

 

 だが、俺とあいつは早い段階から臨界者へと到達したのだ。


 あいつの普段の行いから本当の実力を知る奴なんていないだろう。


 アバター毎に経験値、魔素を蓄積し、分霊を使ってそれを本体に蓄積する成長チート。


「千体以上の分身を同時に修行すれば、経験値は通常の千倍の速さで得られるし、分身ごとに多種多様な職業のスキルを修得させれば、そっくりそのまま本体に蓄積される。」


文字通り、一騎当千 いや、それ以上のスキルと実力を隠し持っている。


 分身魂(ワケミタマ)固有スキル【分霊】で得た経験を吸収するだけでも強力な上に、あの馬鹿の切り札はそれだけでは無い。


「強さを見誤ったな。」


アキラside end


*********************************


専科百般


人の短い一生で磨きに磨きを掛け一芸に特化したスキルを積んだ者。


そのすべてを一人の人間に詰め込んだ化け物が其処にはいた。


「なんや、糸も人形も使わずに終わってしもたわ。」


 首を片手で締めあげられ、持ちあげられている暗殺者。


 現実では全力で集中して戦えるのが一日にせいぜい一時間もないと言われている。


 田中は人形を作成し、人形自身に同じ人形をネズミ算式に作らせ、千体となる膨大な数の人形に【分霊】で憑依し、単純計算で千倍もの速度で、経験値を溜めたのだ。


 たった一時間で三年弱……もの経験を得られ、睡眠を除いた16時間で50年……その膨大なスキルの熟練度の高さはアキラの魔改造の修得度、熟練さと同等、いや実際に時間を掛けて直に身につけている分精度は、アキラ以上のモノがある。


 神官もあらゆる年月に修羅場、修行を行ってきたのだろうが、田中はその比では無い密度で鍛え上げたのだ。


 同じ臨界者でも、技量に差が出るのなら……寿命、年月を度外視した田中の前では神官の暗殺者など、赤子の手を捻るよりも容易だった。


「化け物め……」


「人殺しが吠えんなや」


 徹底的に痛めつけられ、点穴やツボを指で突かれ、魔力も出せず、身体を動かせなくなった暗殺者。


 唯一、首から上だけが自由であったが、それも無意味だ。


 完全に暗殺者の生殺与奪の権利が田中の手の中にあった。


「とっとと去ねや……そして二度と顔を見せるな…上にも伝えとけ。」


 そして、高等魔法の転移で暗殺者を送り飛ばす。


 転移に必要な、膨大な魔力も技能も今の田中には世界中の人形を通して送られる。


 殺した方が良かったのだが、それはアキラも自分も望むところでは無い。


 自分は医者なのだから。


「それにしても、この力もナンパに応用できればええんやけど……」



 暇つぶしが終わり、自分の本質からか全く上達しないナンパ術にぼやきながら、また荷物番に戻るのだった。



田中氏 実は結構強し。 成長チート

リアル安心院さん。


アキラの魔改造は田中に対し常に一枚上手になる為田中氏の天敵になり得ます。



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