表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界攻略のススメ  作者: 渡久地 耕助
24 死亡フラグを叩き折れ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

111/238

幕間 ★

黒幕が動き出します。

~この世界の何処か~


 この世界のどこかで、白い空間が広がる何もない世界で、円卓に腰掛け、対談している存在がいた。


「彼女は戦乱の切っ掛けを作ることに成功したようですね・・・」


 聖母のような金髪の女性がホッとしたような罪悪感に苛まれたような表情で言葉を零す。


「勘づかれた上に、あの憎き、反逆者に取り込まれたようだが?」


 それを戦士風の男が咎める。


「だからいったでしょう! あの男は危険すぎるから早急に排除すべきだと!」


神官風の青年が声を荒げ、自身の忠告の正当性を主張する。


「それでも、目的は達したでしょう。 八人目・・・いえ、正確には七人目の男共々、お役御免です。もう召還してもいいのでは?」


「クックック、権威にも遊興にも興味の無い、その上甘い。 自ら手駒を還そうだなんて。」


 道化師の格好をした男か女か判断のつかない者が、ケタケタ笑う。


「何とでも・・・如何に才気あふれる人材とはいえ、私たちの目的に巻き込むのは本意では無い。 千年前の戦いの結末を忘れましたか。 とにかく、少なくとも彼女は開放します。」


「・・・ならん」


 一言、視線が、壮年の隻眼の老人に集う。


「確かに、此方の手駒を自陣に引き入れ、他の駒も戦力を削ぎに掛かるが、ここで召還する訳にはいかん・・・・・・第一、手駒どもは生贄だ・・・死にゆく際にあの膨大な魔力を解き放ってもらわねばならんのだ。むざむざ、還すてはあるまい。」


「な!? 約束が違います! 反逆者を討伐、無いし、戦乱を起こせば彼女を還す。そういう規定だったでしょう! それに7人目の物が召喚された以上、一人返しても問題は!」


 聖母風の女性が声を荒げ、糾弾する。


「貴女の手駒も転生者だったと言ったらどうする~?」


赤毛の少女が口を開き、楽しげに聖母風の女性に笑いかける。


「な!? そんな筈が・・・」


「まぁ 年齢も時期も外れてるんだけど、ここと、向こうじゃ時間軸が滅茶苦茶だからね~千年の誤差や十数年の誤差もあったしね~。」

 

「こやつの言うとおり、転生者は元々、此方の世界の者・・・それゆえ、強力な魔素に当てられても、魂は以前のままの頑強さで、魔物化もせん上に、臨界者を超える可能性を持っておる。是れを還す手はあるまい・・・」


「反逆者を殺すのは手間だけど、彼女ならどうとでもなるよね~ 僕の手駒も彼女に一回、土を付けられたけど、今の彼なら勝てるだろうしね~ ・・・・・・彼女の枷もそろそろ、潰しておこうか?」


「まぁ 待て、ここは千年前と同じで、人の手で狩るべきだろう? あの人を殺せん甘ちゃんにも効果覿面だろう。」


壮年の老人が提案する。 


だが、その考えを聞いた瞬間、ケタケタとフードを被った男とも女とも判別がつかない子共が笑いだす。


「何、馬鹿なこと言ってんの? 彼女は今、アキレウスの庇護下にあるんだよ?それにあのスキルの片鱗を見たら、アキレウスに数の利なんて通用するわけないってこと位、理解しなよ。実質、千年前の対軍と勇者を単騎で滅ぼす男と、無敵艦隊を誰も殺さずに壊滅させる召喚士だよ?それも二人共まだ未熟な段階で・・・雑魚を何人揃えても無駄だと思うけど~?」


「なんじゃ? 汝の手駒の不始末の為に計画が遅れているのだぞ? 我の手駒の快進撃を止めてくれおってからに。」


 子供の態度に貴族風の気位の高い、女性が子共に噛み付く様に糾弾する。


「フフフ、勝ち負けでいえば、僕が召喚したアキレウスが全勝しているわけだけど? ここで勝者は誰かと聞けば僕になるはずだけど? フフフ、まぁ代わりに新しく召喚した男も中々使えるし、それはいいっこ無しだよ、それよりさ、人を英雄にぶつけるんじゃ無くて、矛先を別の方に変えればいいじゃない? 先ずは、心を殺しに行こうよ!」


 自分以外のその悪魔のような雑談と自身の発言力の無さ、自身の無力さに打ちひしがれる聖母風の女、楽しげに聞くにおぞましい内容の作戦、次の手の案を出し合う者達を見て、彼女は只、悔し涙をこらえうつむくしか無かった。


(マリア・・・無事でいて!)



「もっしも~し 通じてる~? ハロ~。」


 気の抜けた声が円卓に響く、今この場で話題に出た件の男、アキレウスの転生体の声だ。


 突然の声に、円卓の者たちが困惑し驚き、静まり返る。


「ま 通じるのは分かってるし、知ってるけど、応答はしなくていいよ? コソコソ、蠢く蛆虫の声を聞く気は無いし? どうせ、能力使わなくても監視してるようだろうから一方的に話してやる。


 近いうちにお前ら一匹残らずぶん殴りに行くから楽しみに待ってろ? 殴りに行く時までにその腐臭を洗い流さないと殴るの代わりに踏み潰すから・・・・・・ブツン!」


 マリアの思念波を使っての一方的な宣戦布告。


 最恐の七英雄にして、千年前の世界の反逆者。


 その男の大胆不敵な行動に円卓の者達は声を荒げ、怒り、楽しそうに笑い出す。


 そんな中、マリアを召喚した聖母風の女は彼ならば、大丈夫だと・・・


 騒がしい円卓を眺めながら、聖母は彼女達の幸運を祈り、何とか、彼らに助力が出来ないか思案するのだった。


挿絵(By みてみん)

召喚者達に宣戦布告

そして、マリアを召喚した人は敵方ではありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ