これは午後五時から、午後六時にかけての出来事
Q街や住民の被害はないのですか?
A住民もこういった騒ぎは慣れっこですので大丈夫です。
建物に被害が出ないよう、ナミとルーが加護を掛けている事もあり、滅多な事がない限り壊れません。
前回のあらすじ、あれ?カサンドラ、ティファニア、クリフの三人逃がした?
17:00:01
17:00:02
17:00:03
トゥールーズは商業区、工業区、居住区、劇場区、中央区と五つの区画に分かれている。
猫の目、薔薇宮殿、露天市場存在する東地区の商業区、
娼館、劇場、酒場、大衆浴場、図書館などの娯楽設備がある西地区の劇場区
露天市場と兵士やこの街の住民が暮らす南地区の居住区
武器屋、鍛冶屋、建築家、芸術家、などの工房が多く存在する北区の工業区
そして、噴水広場がありギルド、兵士の詰所、役所が存在するこの街の心臓部 中央区
黄泉の入口、竜の墓場、死都、地下遺跡など、多くのダンジョンの攻略の拠点として作られた宿場町が、いつしか、城壁が建てられ、多くの探索者、調査団が集まり、巨大な街へと発展した。
そんな街だが、今日、第二の死都と化すかも知れない・・・
最悪、魔の森の様に更地になるかも知れん。
「アキラさん みーつけた♪」
この世界、最強の覇道女帝 蒼炎の戦女神 伊藤・カグヤが現れた。
東地区→南地区→中央区→と逃げ続け、なるべく最後に出会った東地区から離れようと、今度は西地区に向かったのだが・・・先回りされていた。
ナミ、テレサが完全に力をつける前に、夕日が沈み、夕月が出て、今宵が満月であることを思い出し恐らく、暇つぶしに劇場か図書館にいるだろうと当たりをつけ、向かったのだが、飛竜が飛んできた方と思えば、急降下して、地面に降り立ち、カグヤ、ファン、カリサの三人が降りてきた。
というか、カリサ嬢、服装を見る限り、完全にオフだったのだろう。
無理やり参加させられたといった所か。
可愛い私服だな。 オイ
というか皆さん、お昼とは違う服、来てらっしゃる?
もしかしなくても俺が冷や汗流しながら戦ってる間、ショッピングしてたのか?
「やっぱ来たよラスボスが・・・また乱入してくると思ったら、今度は正面から来やがりましたよ・・・というかラスボスの癖に序盤で出すぎだし、これなんて無理ゲー?」
「あらあら、アキラさん動揺して心の声がもれてますよ?」
「だが本心だ!」
さて、カグヤに勝つには、精霊化+源呼吸の合わせ技【現在名称募集中】が必要だ。
しかし!俺は現在【影転移】【闇撫】【闇火球】【闇纏】など精霊魔法は使えても、ナミが協力関係でないので、【精霊化】【大精霊の息吹】は使えない!
俺、ピーンチ!
何時もいるナミのありがたさが分かるな。
てか、どうしよ!?魔改造でも勝てる気がしないんですが?
「作戦ターイム!」
両手でTの字を作り、宣言する!
「認めます。」
「「認めるんですか!?」」
従者二人が驚きの声を上げるが、俺は脳内会議に突入する。
━━━━アキラ脳内、対カグヤ戦 緊急対策会議室 本部━━━━
アキラ議長
「敵は最強の戦女神!更に満月で大精霊カグヅチの霊力も上がっている!
可及的速やかに案を出してくれたまえ!諸君!」
アキラA
「肌をどこかの強欲さんみたいに【炭素硬化】、【最強の盾】を魔改造でひねり出す!」
議長
「燃やされます 却下!」
アキラB
「【銀の弾丸】で大精霊カグヅチを消滅させる。」
議長
「あの可愛い娘を殺せと? よろしい、ならば戦争だ。」
アキラC
「リン、ノエルを倒した武器破壊&当身」
議長
「彼女の武器と身体に触れたら火傷するぜ?」
アキラD
「諦める」
議長
「諦めたらそこで童貞卒業ですよ?(*既に卒業してます。)」
アキラE
「彼女の技量をコピーしたから互角なのでは?」
議長
「前より、彼女、確実に腕が上がってます。却下!」
アキラF
「月を壊す!」
議長
「月見うどんと月見団子が食えなくなる! アニが敵方に回る却下!」
・
・
・
・
・
議長
「いつまで会議をしている!戦闘は会議室で起きてるんじゃない!戦場で起こってるんだ!」
脳内アキラ一同
「今、目の前で起こってるだろ!!」
カグヤ
「は~い作戦タイム終了で~す!」
アキラ一同
「!?」
無情にもタイムアップの声が鳴り響き、会議終~了~。
・
・
・
□ ■ □ ■ □ ■
「フフフ、行きますよ?アキラさん」
「来なくていいから、今すぐ、回れ右して帰ってくんない?」
「ふふふ、アキラさんたら。ツンデレですか?」
「前から思ってたんだけどさ、カグヤってお嬢様だよね?たしか武家だったよね?なんでそんなサブカルチャー詳しいの?」
「これくらい、一般教養です。」
嫌だな。そんな一般教養。
「そして私のような者を戦闘民族、ヤンデレというんでしたね。」
まさかの自覚症状アリだと!?
「丁度、この区画、歓楽街でしたね・・・バッサリ殺った後は、ここでシッポリと・・・♡」
「あの、カグヤさん? その擬音を奏でたが最後、後半への行為は俺には出来ないと思うんですけど?」
俺の体がそんな擬音を奏でた日には、とてもじゃないが、ファイト一発はできそうにない。
「さて、最早言葉は無用・・・言いたいことがあればその体で語りなさい。」
ああ、お前の持っている獲物で斬られると、ズバ!とか、ズビズバーとか擬音を発した後、俺の悲鳴がこの街に響き渡ることだろう・・・
ゲームの趣旨忘れてない? 抱きついて告白するんだよ?
なんで皆武器を持って血生臭くするんだろ?
うちの愛弟子と姫様を見習ってほしいね。
カグヤが蒼炎を纏い、完全にヤンデレモードに入っています。
剣に蒼炎を纏わせる精霊剣 【蒼炎剣】を出していることから街を火の海に帰ることは無いだろうが!
俺の身がヤバい! 火傷じゃ済まない熱量を出してる!
助けてナミえもん!
と、この前までの俺なら嘆いていただろう。
「クックック、掛かってこい、カグヤ! そして我が腕に抱かれて果てるがいい!」
魔王っぽいセリフを放ち、【挑発】【源呼吸】を行い、臨戦体勢を取る。
今日の俺は一味どころか、七味とマヨネーズをぶっかけた位に味が違うぞ!
「!!」
それが合図となったのか、カグヤが古今東西、あらゆる流派に共通する武道の奥義の一つ、予備動作なしの攻撃【無拍子】の斬撃が飛んでくる。
そして俺も技術を【魔改造】で極限まで上げて昇華した一撃、【無拍子】で迎え撃つ。
力の溜め、重心移動など、全て予備動作なしの攻撃
今迄なら互角か、カグヤが技量で押していただろう
だが!
「え?」
俺の振るった剣がカグヤの身と武器にまとった【蒼炎】を消し飛ばす。
「【名古屋撃ち】【闇掌打】!」
蒼炎が消えたことで、絶対回避から繰り出すカウンター、【名古屋撃ち】を発動、剣を振り切った右手を遠心力の様に引手に替え。左足を前方に踏み込み、【闇纏】で黒い魔力纏った掌打を打ち込む。
「ぐ!」
くの字に曲がり、数メートル吹き飛ぶカグヤだったが、何とか持ち直し体勢を整える。
「何故、蒼炎が!? 一体・・・」
「ワリーなぁ。
作戦タイムなんて言ったの。あれ 嘘なんだ。
無策だと思ったろ? 脳内コントをしただけでちゃんと策は何重にも練ってるぞカグヤ。」
国境での戦いと違って、対精霊用の魔剣が俺の手元にはある。
「オリジナルを複製したクルトの魔剣・Ⅱを俺が使い易い様に魔改造した俺の新武器だ。
名づけて【霊斬剣】これで【精霊化】【精霊魔法】を封じたぞ。」
黒魔法、白魔法は災害級以外は自身の身体を【魔改造】してレジスト出来るようになり、精霊魔法と召喚魔法の対策がこれだ。
「異世界を攻略しようって奴が、自分の弱点いつまでも残しておくわけ無いだろう? 如何なる魔法攻撃も、俺には通用しない!」
これで、魔法、魔素を用いた攻撃、防御を全て無効化できる力を得た。
「そして、【混沌の沼】!」
魔法を用いても脱出不可の沼を出し、カグヤの足を救う。
「きゃああ!!」
「お姉さま!」「陛下!!」
ズブズブと沼に沈んでいくカグヤ、精霊化で脱出しようと蒼炎が吹き出るが。
無駄だ。
「【剣林弾雨】クルトの魔剣・Ⅱ召喚そして【投擲】!」
さっきのクラリスと同じ状態に陥り、精霊化が解けるカグヤ。
剣の結界内で精霊化を解かれ、混沌の沼に嵌り、身動きが取れなくなる。
「陛下を!」「離しなさい!」
従者の五将ファンと竜騎兵のカリサが俺に襲いかかり、混沌の沼を解除しようと飛びかかる。
「無駄だ。【闇撫】、そしてご新規さん二名追加~♪」
「きゃあああ!?」
「くぅ む、無念!」
「ちょ! 二人とも口ほどにも無いとは貴女達の事ですよ!?少しチョロ過ぎやしませんか!?」
カグヤが底なし沼でジタバタもがいて部下二人を叱咤する。
だが、お前がいうな?
不完全燃焼どころか、何もさせずに封殺!三人を捕獲成功!さて、やっと結界を張ってる者の一人を捕獲した。
どうしてやろう?
小さい悪魔の姿の俺が耳元で『獣の様にやっちまいな~』と囁き、
そして小さな天使な俺(天使になっても顔怖いな)も『優しく抱いてあげなさい』と囁く。
あれ? 結果同じじゃね? 悪魔も天使もいってること同じじゃね?
そうこう悩んでいると後ろの方で花街の店が開き出す。
「・・・・・・・・・・・・」
無言で後ろの店を見つめる。
「ヒィ!?」
「な、何を考えているんですか貴方は!?///」
「……アキラ?」
カグヤ以外の二人が恐怖で顔が引き攣る。
一本逝っとく?
17:59:59
18:00:00
18:00:01
まさかのカグヤ瞬殺! 他の皆に勝機はあるのか!?
そしてアキラに捕えらた美少女三名の命運は!?
どうする!アキラ!!




