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懇願

 少しの休憩を取って俺たちは出発した。馬に飼い葉と水を与えるのが主目的だったみたい。

 一応、ティナに先の状況を聞いたら『大丈夫よ』の一言だった。



 盗賊たちと戦闘した場所に着く。

 草の山があった。その裏に4人の盗賊が立っていた。

 ダンはもう逃げてるだろうと言ってたんだけどな、読み間違いくらいはするか。いや、違うか。あいつは戦うくらいなら逃げるって言ったんだな。


「あら?殊勝な心掛けね」


 ティナが近付いて言う。

 盗賊達は震えていた。特にひどく怯えている一人はティナに突き刺され続けた奴だな。



「ガインさん、草を馬車の上に載せてくれる?」


「えーで」


「そう、ありがとう」


 何回も往復しながら、じいさんが草をキャビンの上に載せる。

 俺が手伝おうとしたら、じいさんにやんわりと断られた。何だ?仕事への拘りでもあってのことか。


 それから、じいさんは縄を使って落ちたり飛んだりしないように縛り付けていた。とても手際が良いな。御者だから、そういう仕事も多いのかな。



「これがパンドー草?」


 俺はじいさんが落とした一本の草を見せながらカレンちゃんに訊く。ぺんぺん草を大きくしたような草だ。

 これのどこを利用して粉状にするのだろうか。


「うん。合ってるよ。いっぱいあるね」


 カレンちゃんは木の棒を持ちながら答える。その棒は一応護身用なのかな。



 じいさんの作業が終わったのを見届けてから、盗賊に向けてティナが大声を上げる。


「ドッカーーン!バーーン!!」


 びっくりした。何のつもりだよ!どこの小学生だよ。

 ただ、盗賊たちは俺以上に驚いていて、小便を漏らした奴さえいた。ただ、誰もその場から動かなかった。


「クスクス、爆発したと思ったでしょ」


 突然過ぎて、そんなもん思わねーよ。


「その仕組みだと足を離したりしたら爆発するのかしら?」


 なぬ、地雷みたいなものが盗賊の足元にあるのか!俺は目を凝らして地面を見る。全然分からないな。


「わ、分かるのか……。助けて欲しい」


「……頼む」


「……お前ら何を―――」


「救ってくれ!」


 一人だけ仲間を止めようとしたのがいたが、地雷から助けて欲しいというのが総意でいいのか。

 涙を流し始めている奴もいた。


「うむ、勿論だ。しかし、何故そうなっているのか教えて欲しい。それから、ティナよ。無駄に怯えさすでない」


 盗賊の懇願にダンが応える。

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