表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/123

ビデオも終わり

「……少し考えたい。つまり、お主の下に入ろう」


 ガイコツは当然ながら無表情で答える。

 それにダンが嬉しそうに笑う。



「分かった。では、お前の仕事だが、俺の子の守りだ」


「なっ!?俺は魔王と呼ばれた者だぞ!それに対して子守りだとっ!」


 ガイコツは顎をいっぱいに広げてそう言った。

 俺もダンが何を考えているのか分からない。



「あぁ。上司に二度も同じことを言わすな」


「しかし……この姿格好では笑う子も泣くであろう」


 そう言って、両手を広げるガイコツ。

 正論だな。二、三歳くらいの子供なら一生のトラウマになりそうだ。少なくとも夜泣きとオネショはひどくなるぞ。



「三日で慣れよう。まずは自分の職務を全うすることだ」


 本当にいいのか、ダンよ。嫁さんにどやされるんじゃないか。後から悔いても遅いんだぞ。



「子守りをしたことがない。特に人間の子供など部下の餌としか認識していない」


「食べられるものなら食べるが良い」


「そうでなくとも破壊衝動で殺したらどうするのだ」


「俺の子だ。だから、その場合はお前の身を心配しろ」


 神の子供は、やはり神なのか。

 そうだとしたら、心配は要らないだろう。



「ぐっ……主の子であるからか。分かった。まずは命令に従おう」


 アンドーさんが足をプラプラさせたまま言う。


「死にたくなったらいつでも言え」


「ガハハ、ダメだぞ、アンジェ。こいつは、もう俺の物だ。勝手に壊すなよ」



 ガイコツはアンドーさんとダンにそれぞれ礼をする。

 そして、両手を広げて上に掲げる。黒い光が集まり、手に一振りの剣が現れた。


「スードワットを滅殺するために練り上げた魔剣である。我には不要となったため、主らに与えよう」


 いや、こっちにも不要だろ。

 考えろよ、ガイコツ。聖竜を滅ぼす意味がない。アンドーさんやダンを何だと思っているんだ。

 しかし、これは奴にとっては感謝の印なのか。受け取らざるを得ないかもな。



「不要」


 にべもないな、アンドーさん。俺も思ったが口に出すなよ。ガイコツさんに失礼ですよ。

 ダンは何も言わずに受け取った。さすが、男前。

 そして、収納魔法を使ったのか、その剣は消え去る。



「よし。では、今からお前を転送する」


ガイコツは直立不動だ。


「この手紙を最初に出会った奴に渡せ。あと、俺の嫁は怒らせるなよ」


「カカカ、主が怖れる程の女傑なのか?」


ガイコツがダンをからかう。が、ダンは深刻な顔で告げる。



「お前など、即刻粉砕されるぞ……。カルシウムパウダーに生まれ変わって畑に撒かれるぞ……」


 余りの真剣さにガイコツは思わずだろう、神妙に頷いていた。



 ガイコツはダンが出した紫の箱に覆われて転送されていった。俺の知らない、ダンの家族のもとに行ったのだろう。


 後にはダンとアンドーさんが残されている。アンドーさんの指ぱっちんで二人も無言で消えた。

 カメラは慌てて入り口に猛スピードで戻っていく。途中で真っ暗になるが、光る玉が出現して、周囲を照らしながらカメラを誘導した。

 暗くなったのは、この宮殿自体を元の地中に戻したからだろうな。



 カメラが再び二人を映した時は、二人とも階段の前で立っていた。


「アンジェ、封印はどうしたものか?」


「このままで良い?」


 あぁ、さっきの宮殿を元に戻すか思案中だったのね。


「うむぅ、地中にある上に封印すべき者もいなくなれば良いか」


「では、それで」


 二人は階段を上がっていく。



 ここは早送りだな。

 地上に上がったところで再生ボタンを押す。



 まだ周りは明るい。といっても夕方には近いのか。

 おかしい。この時間なら俺たちの夕食に間に合っているはずだ。



「ダン、戻る時も除虫しながら?」


「あぁ、もちろんだ」


 これか、これが原因か。



「止めろよ。待たされるこっちの身にもなれ」


「では、こうしよう。シャールに戻って一泊してはどうか?」


 いや、転移するならキラムに戻ってこいよ。



「ナベ達は?」


「ナベもたまには一人で部屋にいたいであろう。あいつも男だ。事情は話さなくとも分かるだろう?」


 おい!どういう配慮だよ!どういうつもりだよ!!


「あぁ。……想像した。キモい。が、そういう処理も必要」


 アンドーさんも納得するなよ!想像もするなよ!!

 ダンの発想がゲス過ぎるって突っ込むところだろっ!!


「お前、ナニしてるんだ?ってヤツだな。ガハハ」


 全く面白くないぞ。

 くそっ、俺のいないとこでなんて会話してやがる。


 ビデオはその後、シャールの宿屋に映像が切り替わる。

 アンドーさんはカメラも一緒に転移させたのか、激しいカメラワークはなかった。宮殿の中でも一緒に転移すれば良かっただろうに。


 部屋に戻ったダンのイビキ映像でビデオは終わる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ