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悪魔的

 ゆっくりとガイコツが王座から立つ。

 いつの間にか、金色の鎧と両刃の剣を手にしていた。

 座ってると気付かなかったがデカイな。もしかしたら、ダンよりも一回り大きいか。

 骨だけなので線の細さは隠しきれないが。


「主らの魔力は美味であるな。人間と思おっておったが、遥かに濃厚。魔物か獣人に近いか、いや、魔族か」


 いえ、神様です。

 気になるのは『魔力が美味』とか言っていることで、吸い取ったりしているのか。


「じっくり味わい、堪能させて貰った。封印前には程遠いが、我も力をお見せしよう」


 ガイコツの周囲に黒い稲光みたいなものがいくつも沸き出る。

 禍々しいとはこういうことか。その漆黒の電光が床や王座に弾ける度に、そこを腐蝕する。


「カカカ。主らの魔力、多いに利用させて貰おうぞ」


 ガイコツが反攻の狼煙みたいなことを言ったが、ダンがそれに返す。


「その程度では、まだまだだぞ」


 ダンの周囲にも黒い稲光が発生する。そして、同じ様に床や天井に迸る。ガイコツよりも稲光の量もサイズも違いすぎる。

 稲光に当てられた鎧の化物の散乱物は跡形もなく消え去っていく。


「ただ腐らせてはダメだ。俺のように任意で制御できなくてはな。ガハハ」


 それから、妙な笑顔でガイコツに言う。


「もっと魔力を吸うが良い。俺も久々に力を出したい」


「は?早く始末しろよ」


 アンドーさんの非難は尤もだ。早く帰って、俺達に夕食を提供しないといけなかったんだからな。

 そういうことだよな、アンドーさん。



「中々に骨がありそうな奴だからな」


 骨しかない。おもんない事言うな。


「骨しかない。おもんない事言うな」


 俺と画面の中のアンドーさんの気持ちはシンクロしたようだな。

 獲物を捕られるのかと思ったのかアンドーさんにもう一度ダンが言う。


「任されている」



 そのダンの言葉を聞いたアンドーさんは、ガイコツの側に転移した。

 そして、そのまま、ガイコツのお腹側から剥き出しの背骨を触る。



 ガイコツは余りの事に身動きできない。


「魔力吸収が遅い。送り込んでやる」


 ようやく動けたガイコツは手にした剣でアンドーさんを突いたが、既にアンドーさんはダン横の元の場所に再移動を終えていた。


「……何をした?」


 アンドーさんにガイコツは問う。


「感じている通り」


 アンドーさんの短い返答が終わると、ガイコツの全身が金色に光りだす。頭蓋骨なんか、さっきまでマットな感じの白色だったのにピッカピカに輝いているよ。


「……この沸き立つ力を主が与えたというのか……?」


「あぁ」


 アンドーさんはニヤリと笑って続けて言う。


「力が欲しかったんだろ?」


 なんだ、その悪魔的なセリフは。


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