表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/123

アンドーさんの魔法

「何もないか?」


 立ち上がってシートをばさばさして土などを払っているアンドーさんにダンが尋ねる。


「祠の下、大きな岩がある」


「ん?そうなのか」


 ダンが目を瞑る。しばらくしてから口を開く。


「岩と言うよりも岩盤だな。ん?内側に何か隠されているな」


「そう。行く?」


「他にすることもなさそうだ」


 結論が出たところで、アンドーさんが指ぱっちんをする。

 地面に人が通れる大きさの階段通路が作られる。所々の天井に白い照明もあって奥まで明るいが、映像では最奥は見切れて確認できない。



 二人は無言でその階段を下りていく。長い階段なので、少し早送りだな。



 階段の終点は土で汚れた灰色の石壁だった。ゴツゴツしている。

 ダンが手をその壁に当てる。


「封印系だな」


 アンドーさんも手で触れて確認する。


「解く」



 ダンが少し下がって場所を作り、アンドーさんが岩に両手を付く。打ち合わせもしてないのに、スムーズな動きだこと。

 そして、ダンの指先から紫の光が出た後にアンドーさんが口を動かし始めた。


『万物の支配者であり、全てを超越する我、アンジェディールが命じる。常夜の嘆きは現世の泡沫。ましてや、火喰らう鳥の住まう峰においては。其は彷徨い、縛られ、堕ちた者。儚く脆い現世に顕し、我を導く』



 おぉ、呪文だ!きっと呪文に違いない!

 俺は画面を見ていたアンドーさんに声を掛ける。


「格好いいよ、アンドーさん!なんか、神様っぽいぞ」


「……いや、神だから」


 少しばかり恥ずかしそうにアンドーさんは答えた。

 ん?誉められなれてないのか。かわいらしいな、アンドーさん!


「アンジェの詠唱なんて、久々に聞いたわ。そこまで堅い封印だったの?」


 コーヒーが苦かったのか角砂糖をカップに入れながらティナが訊く。それにダンが答える。


「なかなか見ない類いでな。中身を完全な形で封印前に戻すためにアンジェを頼った」


「ダンも何か指先から出してたけど?」


 俺は映像を巻き戻してそのシーンで一旦停止した。


「あぁ、アンジェの封印解除が外部に洩れないように周囲を遮断したのだ」


 ここの神様に対しての隠蔽工作か。入念なことだ。

 二人とも慣れた感じで行なっていたが、以前から何回もこうした隠蔽を繰り返しているんじゃないか。


 俺が再生ボタンを押したところ、アンドーさんが早送りする。


「どうした?アンドーさん」


 アンドーさんは画面を見ながら言う。


「恥ずかしいだろ。赤面だ」


 画面は今からアンドーさんが呪文詠唱するところだった。まぁな、分からんでもない。なんか難しい言葉を難しい顔で言ってるからな。

 でも、魔法を使ってるという感じでとても素敵ですよ、アンドーさん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ