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第二の人生でも凝り性です



「ああもうわかった。オレが決める」


 自覚と理解が大事だと思ったから口出しはすまいと思っていたが、流石に痺れを切らした。


 特訓方法を決めるにあたっての確認事項を確認していく。


「適性は?」

「水と風が少々」

「…へぇ。ちなみにどんな反応だったんだ?」

 カールはキョトンとし、首をコテン、と横に倒す。

「普通だよ?」


 オレの時の魔力検査は普通じゃなかったんだよ。

 まさかの水晶の中に封じられていたジンが外に飛び出してきたんだよ。


 しかも、オレの属性を告げる為じゃなくて大層な予言を告げる為に。


 だから普通の反応とやらを知りたかったんだが、あんまり聞くと怪しまれる。

 一応オレが全部の属性を持っていることは秘密だ。


 …水か…だったら…


 それを受けて考えたのは自己啓発と魔王方式の合わせ技だ。


 早速カールに手の平を向け、オレの魔力で包み込む。イメージは半透明の緑色のスライムに取りこまれた感じ。


 こうやってオレの魔力に包むことでカールの中の魔力を引き出す呼び水にする。


 これが魔王方式の部分。オレの魔力で干渉するってとこが似ていることにしよう。


 続いて自己啓発方式。


「カール。お前、泳げるか?」

「うん」


 そらそうだな。水属性の魔法を使う一族が泳げないって…。下手すりゃ自分の魔法が命取りだ。


「じゃあ、まずその中を自由に泳げるようになれ」


 カールは理由も聞かずに足を踏ん張って地を蹴り出そうとした。

 素直なのはいい。上達しやすいな。

 だが、いくら躍起(やっき)になっても、ジャンプすらできない。



 泳げるようになるには、まず水に慣れること。

 魔力を出せるようになるには、まず魔力に慣れること。


 そして、魔力で満ちた中を自由に動き回るには、魔力の使い方に慣れて来ないと出来ない。


 多分これで数日かかるな。


 その間、オレもオレでやっとく事がある。


 カールが必死になっている前でドカリと座ると、上着の胸ポケットから片眼鏡(モノクル)を取り出した。


 頼むまでも無く、ダニエラが一晩で作ってくれました。


 これに編んだ魔法術式を組み込み、実験、改良を繰り返す。



 オレには昔から魔法を使うとその容姿が変わる、という特徴があった。

 少なからずある厨二心をくすぐられるし、『流石ゲームの登場キャラ(隠しキャラ)』とも思うが、悪目立ちするんでどうにかしようとしてきた。


 結果、今は魔力を解放し、漲らせたり放出したりしても姿は変わらないようになったが、相変わらずちょっとした魔法でも使うとすぐ変身する。

 こうして魔具に魔法を付与する分には変わらないんだけどな。


 カールへの特訓の第二段階ではちょっとした魔法を使うつもりなんで、その前にどうにかしないといけない。


 そこで考えたのが、オレが魔法を使った姿を周囲から認識されないよう、そういった魔法を付与した魔具を作り、魔法を使う時にそれを使用するということだ。


 と、一言で言っても、一つの術式を付与してそれで終わりとはならない。


 魔力が少なかったり、正体看破の魔法を使えなかったりする相手には、目くらましの魔法で事足りる。


 だが、魔力が多いとそれだけで大抵の幻惑や精神系統の魔法には耐性があり、効かない。


 中には〝魔眼〟持ちがいて、そいつなんか術式をまで見抜いちまう。



 だから何重にも魔法をかける必要がある。

 イメージとしては何枚もある防御壁かな。

 一枚目が破られたら二枚目、二枚目が破られたら三枚目、って感じだ。



 バッベルがそこそこの腕前の魔術師と仮定して、カールが第二段階に進むまでには三枚目まで作りたい所だ。


 そう考えオレはチマチマと術式を検討し、付与していく。





 …一週間はかかると踏んだんだが、三日とは。…やるねキミ


 まぁ、間に合ったから良かったけど。

 念には念を入れて十枚は作りたいから、後四枚だな。



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