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これでも一応

私はこれでも一応、あの人達のことは『敬って』るんだよ。だから罵ったりはしないようにしてるし。


その一方で、今は向こうもそれなりに収入はあるはずだし、お金が必要なんだったら難癖みたいな告訴を取り下げて裁判費用を浮かせればいいだけだから一切経済的な支援はしてない。


聞くところによると、両親が雇ってる弁護士も、正直、うんざりしてるらしい。『仕事だから』で割り切ってるけど、そうじゃなかったら関わりたくもないと、弁護士仲間にこぼしてるとも聞いた。


すいません、本当に。うちの両親と兄が迷惑を掛けて……


それでも、もし、高齢になって収入がなくなったら、生活費くらいは援助してもいいと思ってる。


これが、私にできる最大限の譲歩かな。


恨みはある。憎んでもいる。けど、それだけに囚われたくない。私のそんな姿を見せてたら、子供達も、


『嫌いな相手には何をしてもいい』


って思ってしまう可能性が高い。私は、あの子達がそんなことをしてる姿なんて見たくないしさ。


しかも、私が死んだりしたらそこでもうおしまい。私の子供達には、一切、負担が行かないようにしようと思う。だって、あの子達はそれこそ何もしてもらってないし。鉛筆一本買ってもらったりとかしてないし。


逆に、両親が亡くなって何か財産が残ってたとしても、私はそんなもの一切いらない。相続放棄することは確定してる。その時点で兄が生きてれば兄がすべて相続するだろうし、もし、兄が亡くなってたりして財産が宙に浮いて国庫に入ることになっても何も惜しくない。


国庫に入って多少でも役立ててもらえるんならむしろそれがいいと思う。


『もったいない』


とか、


『お金に色は付いてない』


とかも、どうでもいい。お金に色は付いてないのなら、それこそ社会の役に立ててもらった方がいいよ。私はとにかくあの人達とは極力関わりたくないだけだから。


それは、お金には換えられない欲求。


自分の娘を、息子のサンドバッグやら性

処理の道具にと思ってるような親とは、縁が切れるなら切りたいよ。


でも、私が受けた程度の被害じゃ、たぶん、認められないんだよね。


だからさ、認められる範囲で折り合うしかないんだ。


この世は何もかもが自分の思い通りになることはないんだからさ。


そういうことも、作品作りには盛り込んでる。


それが万人受けしない理由の一つだろうな。


『道理を捻じ曲げてでも読者にすっきり感を』ていうのがフィクションの醍醐味の一つじゃん? だけど私の作品はどうしても世知辛さが残っちゃうんだよね。


<カタルシスを得るためのスパイス>としてのそれじゃなく、ホントにどうしようもなくすっきりしないっていうのがさ。



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