本当に申し訳なかったと
人間はね、<甘ったれな生き物>なんだよ。
いくら口では偉そうなこと言ってても、一皮剥けばぜんぜん矛盾したことしてて、そしてそれが許されるべきだと思ってる。
子供に『嘘を吐くな!』って怒鳴った親が嘘を吐いてたとか、その典型。
『弱い者イジメはよくない!』って言ってた親が自分より確実に弱い子供を怒鳴ったり殴ったりしてるのも、その典型。
しかも、それを<躾>だとか言って正当化しようとしてる。
一時期、<叱らない育児>ってのが話題になったじゃん? あれ、私が思うに、<叱らない育児>じゃなくて、
<叱る必要のない育児>
なんじゃないかと思うんだよ。
あ~、でも、これ、他にも誰か言ってた気がする。
けどまあ今はそれはさて置いて……
とにかく私、子供達のこと、叱る必要とか全然感じてないし。
正直言うと、声を荒げちゃったことは何度かあったよ。だけどそれってね、後からよく考えたらまったくその必要がなかったんだ。単に私が自分の感情を制御できてなくて、声を荒げちゃってただけなんだよ。
あれは本当に申し訳なかったと思ってる。
それだけじゃないな。私、ダンナに対しても理不尽な態度を取っちゃったことがあるんだ。上の子ができた時にさ、悪阻が酷かったり、お腹が大きくなってきて辛くて、
『あなたの所為だ!!』
って八つ当たりしちゃってさ。
そんなこと、何度もあったよ。
それが<甘え>だってことくらい分かってる。でもさ人間って結局は自分を甘やかしたい生き物なんだよ。他人に対して理不尽なことやってたって、
『原因を作った方が悪い!!』
とか言って自分を甘やかしたいんだ。
だったらさ、他人が少々甘えたがってても、いちいちキレる必要ないじゃん? だって自分も甘えたがってるんだからさ。
ましてや子供が甘えたがってるのをぜんぜん許さないとか、どの口が言うの?って思う。
それどころか、フィクションの中のキャラクターが不条理なことをしてるのを見てキレるとか、ホントただの<甘え>だよね。
現実じゃないのに。
ただのフィクションなのに。
そして、自分が甘えるのは許されて、他人が甘えるのは許さないとか、ホントに酷い甘えだよ。
だから私は、自分の作品の中で理不尽なことをしてるキャラにも、それをせずにいられない理由だけはいつも考えてる。
もっとも、読者の中には、
『悪役の悲しい過去とか要らない!』
って言うのもいるけどさ。
『悪役の悲しい過去とか要らない!』だって。それって要するに、自分の好みを押し付けたいってことでしょ?
それも結局は<甘え>だよね。




