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実際には滅多に起こらないことが

<実際には滅多に起こらないことが起こる、滅多に起こらないことを起こす、そういうお話>


フィクションがそういうものだというのは事実だと思う。


そしてそれは、


<シリアスな展開が一切起こらない、徹頭徹尾ほのぼのなだけの日常系>


でも同じだと思う。


よく、


『中途半端なシリアスは要らない!』


とか言うのもいるけど、


<本当に些細なすれ違いやギスギスさえ生じない日常>


なんて、現実には有り得ないじゃん。だからその手の日常物も、やっぱり、


<実際には滅多に起こらないことが起こる、滅多に起こらないことを起こす、そういうお話>


なんだよね。


『ほんの些細なすれ違いやギスギスさえ生じることがない』


っていう、<現実では有り得ないこと>を起こすんだから。


で、こう言うと、


『フィクションなんだから、クソな現実と同じである必要ないだろ!!』


とか言うのも出てくるんだけど、それ、根本的に間違ってるからね?


『フィクションなんだから、クソな現実と同じである必要ない』


のは確かにそうなんだけど、だからって、


『作られるフィクションが全て一読者一視聴者の好みに合わせなきゃいけない理由もない』


んだよ?


フィクションだからこそ、その中でどんな酷いことが行われたって、犯罪が行われたって、非常識なことが行われたって、<被害者>は現実には存在しないんだ。


<架空の存在>なんだから。


だからこそ、安心してカタルシスを楽しむことができるし、後味最悪な<鬱エンド>や<バッドエンド>だって楽しむことができるんだよ。


フィクションなんだから。


現実じゃないんだから。


実際、そういうのを求めてる読者や視聴者だっているし、


<ほのぼの日常系の作品で、何も起こらないのんびりとした日常のありがたさを再確認するためのちょっとしたスパイス>


を楽しめる読者や視聴者だっているんだよ。


分かる? そういう読者や視聴者のためにも、そういう作品は必要なんだ。


<ほんの些細なすれ違いやギスギスさえ生じることがない作品を求めてる読者や視聴者>


だけがこの世にいるわけじゃないんだよ。


『<ほんの些細なすれ違いやギスギスさえ生じることがない作品を求めてる読者や視聴者>だけのためにフィクションは作られてるわけじゃない』


それが事実であり現実なんだ。


だから結局、<ほんの些細なすれ違いやギスギスさえ生じることがない作品>だけを摂取したいなら、そういう展開が一切ないとあらかじめ分かってるものだけを選ぶしかないよね。


『ほんの些細なすれ違いやギスギスさえ生じることがない』のなら、<ほんの些細なすれ違いやギスギスさえ生じることがない作品を求めてる読者や視聴者のために用意された作品>なら、<そういう展開が一切ないという情報>は、<ほんの些細なすれ違いやギスギスさえ生じることがない作品を求めてる読者や視聴者>にとっては<ネタバレ>にはあたらないはずだし。



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