別にさ、＜完璧な親＞になる必要なんてないじゃん。てか、そもそも＜完璧な親＞って何？　何をもって＜完璧な親＞なわけ？　社会的に立派なポストに就いて、家庭も円満で、子供も品行方正で清廉潔癖なってのが

別にさ、＜完璧な親＞になる必要なんてないじゃん。てか、そもそも＜完璧な親＞って何？　何をもって＜完璧な親＞なわけ？　社会的に立派なポストに就いて、家庭も円満で、子供も品行方正で清廉潔癖なってのが、＜完璧な親＞だとでも？

……そんな親、現実に存在する？　いや、いないことはないのかもしれないけど、たぶん、滅多にいないよね？　少なくとも私の身の回りには、一人もいないけど？

私の両親は、まあ、父親はご立派なポストに就いてたし、息子もご立派なポストに就いてたりはしたよ？　でも、人間性は、マジで褒められたもんじゃないからね。

息子がパワハラで部下を自殺未遂に追い込んでそれで訴えられたのをきっかけに、出るわ出るわ。ロクでもない行状についての証言が。しかも、息子だけじゃなく、父親もそうだし、専業主婦だった母親も、いわゆる＜ママ友＞として余所の母親に対して理不尽な振る舞いをしてたっていう裏の顔が、週刊誌にバーンと載るくらいにやらかしてたからね。

実の娘である私でさえ知らなかった事実がわんさか掘り起こされてる。

それのどこが＜完璧な親＞だって？　冗談も大概にしてほしいんだけど？

私はもちろん、さくらだって、＜完璧な親＞なんかじゃないよ。本人は上司に睨まれて万年平編集者だし、さくらのダンナは、長女が経営してるフラワーショップの商品である草花を育てる＜職人＞ではあるものの、自分は一切表に出ない引きこもり同然だし。なによりさくらのとこも、うちと同じで法律婚じゃないしさ。

『法律婚じゃない』ってだけでボロカスに叩くのがいるでしょ？　ってことは、子供達がどんなに朗らかで真っ直ぐ育ってても、世間からの評価としては＜完璧な親＞じゃないじゃん？　子供達は、自分達の親が法律婚じゃなくても何も気にしてないのにさ。

だけど、相手の親が法律婚してないってなったら、結婚の対象から外すんでしょ？　家族として上手くいってるかどうかなんて関係なく。

じゃあやっぱり、＜完璧な親＞じゃないよね。もっとも、さくらの子供達も、別にそんなことで他者を判断するような人間を結婚相手には選ばないし、そもそも結婚しなきゃいけないとも思ってないから、どうでもいいみたいだけどさ。

ああでも、さくらの長男も次男も、モテモテなんだよね。イケメンだし。その一方で、長女については、典型的な、

＜男にとって都合の悪い女＞

だから、敬遠されてるらしいけど。優秀すぎるんだよ。

私の長男は、さくらの長女のことは認めてても、こちらは年齢がちょっと離れててね。お互いに人間性は認めつつも＜恋愛対象＞としては…って感じかな。

私もさくらも、本人達が望んで結婚したいと思ってなけりゃ、無理にくっつけるつもりもないよ。

昔は親同士で勝手に決めたりもしてたかもだけどさ。