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ただ私は、思うんだよね。『<正しい言葉>って、どれ? どの時代のを言うの? 平安時代? 戦国時代? 江戸時代? 明治? 大正? 昭和初期? どの時代に使われてた言葉が『正しい』の?』ってさ

とまあ、それはさておき、<言葉>ってものについても、いろんな意見があるよね。


『正しい使い方をしてない!』


ってことであれこれ言ったりとかさ。


ただ私は、思うんだよね。


『<正しい言葉>って、どれ? どの時代のを言うの? 平安時代? 戦国時代? 江戸時代? 明治? 大正? 昭和初期? どの時代に使われてた言葉が『正しい』の?』


ってさ。自分自身が<言葉>を使う仕事だからこそ、ね。


『水を得た魚』


って言葉があるじゃん? これ、本来は、


『みずを えた うお』


と読むんだけど、正直、私だって普段は、


『みずを えた さかな』


って読んでるよ。だって、そっちの方が語呂もいい気がするしさ。てか、あんまり、『正しい使い方』って意識してないんだよね。


だってさあ、どの時点のが正しいのかとか考えだしたら、キリがないしさ。


しかも、『水を得た魚』って言葉が使われ出した頃の使い方としちゃ、


『水魚の交わり』


っていう、


<切っても切れない仲>


みたいなニュアンスで使われ出したらしいじゃん。なのに、今では、


『適した環境や状況を得て生き生きと活躍しはじめる』


的なニュアンスで使われるみたいだけど、それ自体、最初の使い方から見たら<誤用>だよね? なんでそれについては何も言わないの?


加えて、<魚>って言葉も、本来は『うお』であって、後から(それも何十年とかいう程度の最近)『さかな』とも読むようになっただけらしいけど、<正しい使い方>に拘るなら、どうして『さかな』読みが定着するまで放っておいたの? どうしてちゃんと訂正しなかったの? 辞書にまで『さかな』って読み方が載ってるよね?


『その当時にしっかりと訂正しなかった専門家達は、愚鈍であり愚昧であり怠惰であり日本語の破壊者である』


とでも言いたいの? 自分達の大先輩、先人、目上の人達を敬う精神はどこに行ったの?


大先輩、先人、目上の人達が『さかな』って読み方を認めちゃったのに、どうして後から生まれた若造ごときがそれにケチをつけてるの?


って感じでさ、


『何が正しくて何が間違ってる』


という考え方自体がどこに基準を置くかで変わっちゃうから、私はもう、諦めたんだよ。


正しい使い方に拘りたい人は好きにしててくれていいけど、もうすでに世に広まって定着しちゃった使い方について後からケチをつけるのって、<野暮>以外の何ものでもないと思う。


情報として『こう使うのが正しい』というのをまとめて後世に残すってのなら、それは立派な行いだと思うけどさ。


ただそれも、結局はどこまでいっても、


<自分が思う正しさ>


でしかないんだよね。



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