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お互いに、身の程をわきまえないプライドをへし折られた者同士。傷を舐め合う形ではあるけど、一緒にいると安心できて、なんか、これまで拘ってたことがバカバカしくなっていって

その女性もね、元々住んでたところでは、そこそこ人気のホステスだったんだ。


だけど一番にはなれなくてさ。でも、ここ<惑星トゥルー・ハーレム>の女性は性格がキツくてっていう話を聞いて、だったら、そういう女性に対する鬱憤を溜めた男性が多いに違いないから、ちょっと優しくしてやったら簡単に上客になってくれるに違いないとふんでね。


なるほど、確かにハーレムを夢見てやってきた男性の多くは、夢破れてそれで落ち込んだりしてるかもしれない。でもさ、それでも夢が捨てきれないって人が、安酒場のホステスで満足するかなあ?


もちろんこれは、ホステスの人達を馬鹿にしてるわけじゃない。あくまで身の程をわきまえない男性の側の発想だ。


『自分はもっとランクの高い女性と付き合えるはずだ!』


っていうさ。


その辺の読み違えもあって、その女性はここでもパッとしなかった。大きくお金を落としてくれる上客・太客は、やっぱり知的なやり取りができるタイプのホステスに行って、上辺だけの優しい言葉で媚を売ってくる彼女には見向きもしないんだよね。


で、上手くいかないここでの仕事には見切りを付けてまた別の惑星に移住しようかと思ってたところで、主人公と出逢うんだ。


取り敢えず見た目だけはイケメンで、ここでは通用しないけど口も上手い主人公のことを、


<移住費用を捻出するための金づる>


として、そして、


<惑星トゥルー・ハーレムでの最後の仕事>


として、見切りをつける意味で丁寧に接客するんだよ。


すると、それが、自分のアイデンティティまで揺らぎ始めてた主人公の心に刺さってね。毎日のように通うようになって。


で、こうなると彼女の方も、悪い気はしなくて、さらに熱心に接客するようになって。


ここでいまさら主人公一人が常連になってくれたところで成績としては焼け石に水だけど、なんか、意気投合しちゃってさ。しかも、同じ大学の先輩後輩だってことまで分かって、名物教授の話で盛り上がったりして、なんとなくプライベートでも会うようになって。


そうこうしてるうちに、お互い、すごく気負う必要のない、リラックスして付き合える相手になっていって、一緒に暮らすようになってさ。


お互いに、身の程をわきまえないプライドをへし折られた者同士。傷を舐め合う形ではあるけど、一緒にいると安心できて、なんか、これまで拘ってたことがバカバカしくなっていって。


で、主人公が、


「なんかもう、いろいろどうでもよくなってきたよな……なあ、このまま結婚するか……?」


ってピロートークで口にすると、


「なにそれ? バカにしてんの? サイテー……でも…でも、なんか、不思議と嫌じゃない……」


彼女も悪戯っぽく微笑(わら)ってさ。


こうして二人は結婚するんだよ。


<惑星トゥルー・ハーレム>は、一対一の結婚をするカップルに対しても、手厚い支援がある惑星だった。そこで二人は、何だかんだと喧嘩もして、別居したり元サヤに収まったりしながらも、概ね幸せな人生を送ることになるんだよね。



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