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『子供を一つの人格として敬えばこそ甘えさせる』し、『甘やかしというのは実は子供の人格を蔑ろにしてる』から、やらないようにする

家を飛び出して軍の施設に押し掛けた主人公だったけど、


「俺を軍に入れてくれ!」


と言っても、


「ダメダメ、お前、まだ成人してないだろ? 成人してない奴は親の同意書がなけりゃ軍には入れられない」


って門前払いされるんだよね。一応、同意書の書類は渡してもらえつつも。で、


『親、親、親って…! 親がそんなに偉いのかよ……!』


主人公は内心ではキレ倒すんだけど、そこで気付くんだよね。


『この世界じゃ、電話もまだない。手紙だって届かないことはしょっちゅうらしいし、もしかしたら……!』


悪知恵を働かせて、町に行って、まあ、ちょっとヤバい感じの路地に入って、そこで道端で寝てるホームレスに、


「あんた、字は書けるか? 書けるんならちょっと仕事しないか?」


みたいに次々声をかけて、字が書けるのを見つけ出してお金を渡して、<親の同意書>を偽造するんだよ。


で、それで通っちゃうんだ。正直、軍の方も建前でやってるだけだからね。書類の偽造がバレたらその時点でクビにすりゃいいだけだし、


『親の同意書まで偽造して騙そうとする奴が悪い。軍は被害者だ』


って考えてるのが実情。


だけどさ、<大人>なんてそんなもんでしょ? いくら偉そうなこと言ってたって、いつだって自分の責任をどうやって免れようか的なことを考えてるのが大多数じゃん。自分の周りの大人を見たってその実感しかないんじゃない?


だからさ、偉そうにしなきゃいいんだよ。自分もダメダメなんだから、


『子供は大人の言うことに従ってればいいんだ!!』


みたいに言わなきゃいいんだよ。逆にさ。そうすれば、単に、


『子供にはできないことが大人にはできる』


って部分だけでも十分に『すごい』って思ってもらえるよ。


それなのに、実は腰抜けで責任逃れすることばっかり考えてて、ちょっと旗色が悪くなれば言い訳並べて自己弁護で自分を正当化しようとする。そんなことしてるから子供の目にも、


『口では偉そうなこと言ってて本性はそれかよ!?』


とか思われちゃうんだよね。私が子供達に反発されないのは、偉そうにしなかったからなんだ。偉そうにはせずに、子供達をちゃんと<私とは別の人格>として敬うようにしたからだよ。


甘えさせるけど、甘やかすことはしない。


『甘えさせる』


『甘やかす』


その違いが分かる? 


私としては、


『子供を一つの人格として敬えばこそ甘えさせる』し、


『甘やかしというのは実は子供の人格を蔑ろにしてる』から、やらないようにする。


って感じかな。


この世界の主人公の両親も、それを心に刻んでた。だけど、<信頼>ってやつはそう簡単には得られない。十数年間、前の世界で養親やその家族に徹底的に踏みにじられてきた主人公の信頼を得るには、十数年じゃまだ十分じゃなかったんだよね。



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