その頑張りの方向性を
主人公は、<日本>では、親に反発もしながらも、
『こんな世界なんて滅べばいい!!』
的な考えに至るほど親に恵まれてないわけじゃなかったから、最初は、
『帰りたい』
と考えるんだけど、<日本>も、差異があるだけで<日本>と同じく科学技術がある程度発達しただけの世界>だから、魔法とか<次元を超える技術>とかがあるわけじゃない。
そして、<何者かの意思>で転移させられたわけじゃなく、本当にただの<事故>のような形で転移しちゃったから、
『元の世界に戻れる方法があるかもしれない』
って考えられるだけの根拠も存在しなくて、やがて帰ることを諦めるんだよね。
だから<日本>では主人公の両親が彼の帰りを待ち続けてるんだけど、実はこの両親。凡庸すぎる主人公のことを内心では<失敗作>と考えてて、世間に対してはいかにも、
『失踪した息子のことを案じてる』
的に振る舞ってても、実は、ってわけ。
ただ、今回のこれは、
『両親の方に救いがなさすぎる』
ってのを和らげるための設定かな。加えて、主人公が<日本>に帰ることを諦める根拠にもなる。
両親の方も救われる描写を入れてもいいんだけど、詰め込みすぎになるかもしれないし、それはそれでどうもな~って気もするから、これで行こうと思う。
まあ、両親の側はこれでいいとして、主人公の方は、出逢いに恵まれて順調に適応していって、奨学金を受けて大学に進学。そこで出逢った女性と交際。
実はその女性も、事故で両親を亡くして伯父夫婦のところに下宿しながら大学に通ってたんだ。
自分とは経緯はまったく違うけど、同じ、<親がいない身の上>同士、共感するものもあったんだろうね。
そして二人は、大学を卒業しそれぞれ中小ながら割としっかりした経営基盤を持つ会社に社員として就職。同時に結婚して、二人で暮らし始めるんだよ。
しかも、それまで力になってくれた人達とも交流を続けて、若くて未熟だけど、たくさんの人の支えもあって子供を作って、家庭を築き上げるんだ。
ただ、当然、人間としては未熟なところもあるから、親としてもどうしても空回りする部分もあって、娘との接し方が少々過剰になったりして、具体的には、喜ばせようとして構いすぎて逆に敬遠されると言うか、要するにくすぐりをやりすぎたり、ハロウィンで気合入れすぎてガチホラーなコスプレして失禁させたりと、
「お父さん、キライ!!」
とマジトーンで言われるくらいのやらかしをば。
その所為か、中学に上がる頃には避けられるようになって。
主人公としては、自分が両親にもっとかまって欲しかったっていう想いがあったから頑張ったつもりだったんだけど、その頑張りの方向性を間違っちゃったんだね。




