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まったく前提条件が違っちゃってる

でまあ、ある陰キャ少年が例によって例の如く異世界に転生して、五歳くらいまで成長したところで<前世の記憶>が蘇ることで自分が転生者だってのを自覚するんだけど、散々その手のラノベを読んできてるから、


「チート能力とかが身についててもイキったりしないようにしよう」


と心に決めるんだよ。


で、御多聞に漏れず、<転生特典>として、


『火、水、土、風、光、すべての属性の魔法について適性が<S>っていうチート能力が授けられている』


状態だったんだけど、主人公はそれでイキった真似をしないように心掛けるんだよね。


ちなみに、この手のタイプの転生でよく気にされてるのが、


『元々の人格はどうなったのか?』


って点だけど、これについてはあくまで前世の記憶がよみがえった状態なので、<人格>という意味じゃ新しい体のそれがベースになってて、そこに前世の記憶とそれに基く感性が結合しちゃっただけだから、


『元の人格とか魂とかを追い出して乗っ取った』


という形じゃないんだよね。


まあそれはいいとして、主人公はとにかく、控えめに真面目に、他人に疎まれないようにって心掛けるんだよ。


ただ、言っても、前の記憶からすれば、


『<五歳の子供の体>に生まれ変わった』


状態だから、


『大人がまるで巨人のように見える』


し、


『力尽くで引っ張られたりしたらまったく敵わない』


しで、


『大人ってこんな理不尽な奴らだったんだ』


ってのを再認識しちゃうんだよ。


主人公自身も幼かった頃に薄々感じていたのを、十代後半にさしかかった人間の感覚で改めて見るから、ある程度は客観的に実感できちゃう。


まずこの時点で、


『体力的にはもう大人と遜色ない程度にはなってた』


以前の体と、


『どう足掻いても大人には勝てない』


非力な幼児の体という形で、まったく前提条件が違っちゃってる。そうなると、


<彼の目に映る大人の印象>


も大きく違ってくる。


幼かった頃には分からなかった、気付かなかった、気付いててもあまり深くは考えてこなかった、


<大人が当たり前のように吐いてる嘘>


がはっきり分かっちゃうんだよね。


『人には親切にしなくてはいけないよ』


とか言いつつ、自分は気に入らない相手に嫌がらせをしてるとか、夫婦で、


『愛してるよ』


とか言いつつ、愛人を囲ってたりってな感じで。


さらには、子供との約束なんて、紙より容易く破ったりとかね。


その上、


『弱い者イジメは良くない』


なんて言いながら子供のことは力尽くで抑え付けて叩くとかね。


人間には<幼児期健忘>ってものがあるから幼い頃の記憶ってすごく曖昧になりがちなんだけど、そのおかげもあって親の<やらかし>も多くが忘れてもらえるんだけど、主人公の場合は、前世の記憶がよみがえっていわば<二周目>ってことになってるからか、強烈に焼き付いちゃうんだよね。



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