表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/1494

この世界の奴らはどうせ

とにかく、周りが自分に対して強く出ないってことで、


『ビビって何もできない腰抜けだ!』


みたいに舐め切っちゃった主人公はとうとう、入所者の女の子を人質にとって立てこもるんだ。


で、


「この国の一番偉い奴を連れてこい! 俺が話をしてやる!!」


とか要求するんだよ。


『この世界の奴らはどうせヘタレだからな。俺がここに来たのは、きっと、このたるみ切った世界に喝を入れるためなんだ!


ここじゃ、俺みたいに言いたいことが言えるってのが<チート能力>なんだ!』


なんて考えちゃってさ。


とんでもないよね。


だけど、その世界は、『相手を敬うのが当たり前』なだけで、一般人は力に訴えて強引なことはしないっていうだけで、別に、


『犯罪に対しても何もできない』


ってわけじゃないんだよね。


治安維持のための組織だって持ってるし、あくまで徹底した理性的なそれだけど、覚悟も持ってないのが挑んだらほんの数分で音を上げるような厳しい鍛錬だって積んできてるんだよ。


確かに、一瞬の躊躇いもなく人を殺せるような<超凶悪なプロの殺戮者>相手だと経験値も少なくて戸惑ったりもするにしても、特に体を鍛えてるわけでもない、ましてや本格的な戦闘訓練なんか一度だって受けたことのない、ただただ調子に乗ってるだけの少年なんて、それこそ一捻りだったり。


ただし、人質がいるから慎重にはなって、ネゴシエーションを主体とした持久戦と取ることになった。


主人公はその中で、


『この国の一番偉い奴を連れてこい!』


というのを最終目標にはしつつ、<警ら隊>(この国における警察組織そのもの。事件がそもそもほとんどないので、<警ら(巡回)>するだけで間に合っちゃうから、刑事とか機動隊とかも統合されちゃってる)が小出しにしてくる<提案>を呑んで、水や食料の差し入れを受け入れたりしながら、立てこもりを続けた。


だけど、一人で人質を監視しつつ外の様子を警戒しつつ警ら隊と交渉しつつなんて、長く続けられるはずもない。


で、立てこもりから十八時間後には疲れ切っちゃって居眠りを始めちゃって、人質の女の子に逃げられて、突入してきた警ら隊にほとんど抵抗もできずに制圧されちゃって。


「何すんだ! 特別公務員暴行陵虐で訴えるぞ!!」


とか言うんだけど、さすがにここだって、危険行為を行おうとしてる容疑者を、(あくまで最低限の実力行使でもってだけど)制圧することは認められてるんだよね。


学校における<体罰>と、<危険回避のための緊急避難としての制圧>の違いみたいなものかな。


こっちじゃ教師の体罰は禁止されてるけど、だからって暴れる生徒を制圧することさえ許されてないわけじゃないんだよ? 勘違いしてる人も多いみたいだけどね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ