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見つけたもの。

今回はいっつんサイドですよ。

第一話の裏側、いっつんはこんなことしてました。

................あーダメ、眠れないや................。

私―椎原 樹は、ベッドの端から端まで寝返りを打つ。こんなことしてたら余計に寝れなくなるって分かってる。けど、こんなことでもしてないとやることが無くて―――................あーもう、やーめたっ。

布団を跳ね除けて起き上がると、パジャマをぽいぽいっと脱ぎ捨てて制服に着替える。................あっ、ボタン一個間違えた。................むー、ワイシャツってめんどくさいなぁ................。

まだまだ硬いワイシャツの襟に悪戦苦闘しながら、制服に袖を通して姿見の前に立つ。................くっ、どう見てもちんちくりん................。制服が届いた時に家族の前で着て見せたはいいけど、みんな大笑いしてたし................はぁ、ほんとにこの学校で良かったのかな................。

........................いいや、うだうだとそんなことを考えてても埒が明かないし、ご飯食べに行こ........................。

食堂まで降りると、ご飯を食べてる人の数はまばらで、しかもみんなまだ寝間着姿。制服を着てるのなんて、見た感じだと私だけ。................あ、睨み返された。また、変な目付きになってたのかな................。

とりあえず、出てきた朝食をお腹に無理やり全部押し込んで、部屋に戻ってカバンを片手にトコトコと歩き出す。校舎への道ら散歩と探検で何度も通ってるから迷うことなんてない。すぐに昇降口にたどり着くと、まず張り紙の中から私の名前を探す。................ふーん、1組ね。すると下駄箱は................こっち、ね。

................えーと、佐原、椎原、四条、篠原、................っと、行き過ぎた。あった。靴を収めて上履きに履き替えようとして、ふと思い出す。...............そう言えば、ここには中庭があるんだっけ。ちょっと、覗いて見ようかな................いや、私の好奇心のせいで遅刻になるのもまずいし................。

とりあえず、中庭は後で探すことにして、自分の教室を探すことにした。................んーと、1-1はっと................あった。ちょうど後ろの扉が開いてたからそっちから入って、私の席を探そうとすると................

(................あ、誰かいる。)

................なんだ、私が一番乗りじゃないんだ。ちょっと残念。そんなことを考えながら黒板の座席表をよく見ようと近づくと、急に先客が立ち上がる。そして................

(な、何してるんだろ................)

急に立ち上がって、何かボソボソと喋り始める。その後に小さなガッツポーズまでしてるし........................へ、変な人だなぁ................。

その人は、そんなことを何回か繰り返すと、やがて席を立ってどこかに行ってしまった。................な、何だったんだろ、今の人................。

とりあえず自分の座席を確かめると、そこはさっきの人の前の席で。................ってことは、下駄箱の名前からすると、あの人は四条さん、ということになるのかな................。

そんなことを考えてるうちに、3人目、4人目とほかの人も次第に集まってくる。けど、私の興味はさっきの人に向きっぱなしで。

(................早く戻ってこないかな。)

と、ちょっぴり期待して待ってた。




今日のところは自己紹介の時間と、今後の流れの説明だけで終わりになった。私は解散の合図と共に、後ろを向いて四条さんらしき人(?)の観察をする。................さっき見たけど、ほんとに身長高い人だなぁ。

そんなことを考えてると、不意に四条さん?が目線を上げて................目と目が合って、向こうが飛び退く。

「あ、の、................私に、何か、ご用、です、か........................?」

か細くて消えそうな声で、四条さん?は問いかけてくる。................お、驚かせちゃった、かな?

「................ごめんなさい、あなたの事が気になって................」

「私の、こと................?」

怯えたような態度のまま、四条さん?が首を傾げる。

「................その、四条さん、だよね?私は椎原(しいはら) (いつき)。よろしくね。」

「しいはら、さん................」

消えそうな声が、私の名前を呼ぶ。................ああそうだ、まず謝らないと。

「その................私ね、気になったものがあるとじっと見つめるクセがあって................ごめんね、嫌だった?」

「い、いえ、大丈夫、です...............」

遠慮がちに応える四条さん。................そりゃそうだよね、自分で言うのもなんだけど................私って、変人だもんね................。そこで、私は本題を切り出す。

「................実は初めて見た時、スラっとしてて綺麗だなぁって思ったの。だけどさっきの自己紹介がよく聞こえなくて................だからもう一回聞かせて欲しいなって。」

「あっ、それ私もききたーい!!」

不意に、四条さんの後ろから声が飛んでくる。声の主は、四条さんの後ろの席の人で、

「えっと、確か篠原さんだっけ?」

「ヤチルでいーよー。」

................なんて言うか、................ギャルってイメージの人。................私の観察が邪魔されたみたいで一瞬だけムッとするけど、この際だし、

「................ごめん、じゃあ二人分まとめて自己紹介してもらっていい?」

と切り返すと、四条さんがアタフタする。そして出てきた言葉は、

「えっと、あの、そのっ、................あ、あう、し、四条................磨穂呂、です........................」

しどろもどろになりながら必死に応えていた四条さんは、ポケットからメモを取り出して私たちの前に置いた。途端に私たちは、メモに注目する。

「その、うまく、話せない、から........こ、これ................自己紹介、の、下書き................」

頭上から降ってくる言葉を聞きながら、メモを読み進めていく。

『私は 四条 磨穂呂と言います。西の方から一人でこの街に引っ越してきました。なので分からないことばかりです。................菊花寮です。よろしくお願いします。』

その後には二重線で消してあるけど、『友達になって下さい』って書いてある。................目線をあげると、同じタイミングで目線を上げた四条さんと目が合う。少し遅れて、ヤチルも顔を上げる。

「................四条さんってさ。」

「は、はいっ!?」

「................字、キレイだね。すっごく読みやすいよ。」

「そうそう。ほんとにこれ下書きなの?」

「う、うん、................」

四条さんが戸惑いながら頷く。

「それにさ、身長も高いし、私たちと同じ中学生には見えないよー。」

と、ヤチルが混ぜっかえす。................はいはい、どうせ私はちんちくりんですよーだ。身長の高めな2人に挟まれて拗ねていると、四条さんが少し震えながら口を開く。

「あ、あのっ................二人、とも................私と、友達に、なって、くれますか。」

「........................いいよ。」

ヤチルはあっさりと即答する。

「........................ふぇっ!?」

「................てか、友達になるのにそんな大袈裟なことする必要はないと思うよ。................私は四条さんのこと気になるし。」

私がそう付け加えると、

「ほ、ほんと、に................?」

と、四条さんが目線をあげる。

「任しときなっ。私はあんまりウソはつかない。」

「................そこは、絶対に、とかしといた方がいいんじゃない?」

と、ジト目で私は釘をさす。

「よ、よかった........................」

................ちょ、四条さん!?な、なんで泣いて................

「........じ、実は................友達に、なって、くれた人、は、二人が、初めて、で................」

................そうなの?

「ほらほら、泣かないでって。」

ヤチルが四条さんの目尻を優しくハンカチで拭うと、すぐに四条さんは泣き止む。................ふふっ、四条さんって面白い。ずっと、観察してたいかも。


この日、私は新しい観察対象を見つけた。

いっつんはのののんと似たタイプだけど動かしづらいことがよーく分かった

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