真夜中のヒメゴト………………?―さいしょ。
………………むー。ごろんごろん。………………ぱたっ。
………………ど、どうにも寝られない………………。ど、どうしよ………………。
今のとこ、私は樹をエリカと挟むようにして壁際に寝ている。でも、
(ち、近い近い近いっ!!)
樹がころんと寝返りを打つ度に、私の胸に樹が顔を埋めて、そうすると自然と樹の頭が私の鼻先をくすぐって………………ほんのり甘い樹のかおりに、私の心がかき乱される。
(ううっ、ガマンガマン………………)
気を抜いたら一瞬で飛びそうになる頭のブレーカーに、しっかりとストッパーをかける。………………けど、すぐにパキッと折れて樹へと手を伸ばして、そっと頭を撫でる。月明かりに照らされた艶らかな黒髪がふわふわと滑って私の手からこぼれ落ちるのを、ただずっと眺めていて。
(………………樹、欲しい、よっ………………)
ついに頭のブレーカーが跳ね落ちる。粗めの息を整える余裕もなく、樹の片ほっぺにキスをする。汗ばんだミルクは塩バニラの味。
次は何をしようか、なんて、飛んだ頭で私は考える。………………私はまだキスしか知らないし、これ以上やることなんて思いつかないけど、それでも関係なくて。だからこそ、突然の物音にはびっくりした。
「………………むぅ………………んっ、ターニャ?Was machst du(な に し て る の)?」
エリアが流暢なドイツ語で呟くと、寝返りを打ってこっちに向き直る。そして、樹を抱きしめるとおもむろにキスをする。………………って、えええっ!?
「え、エリカ………………………………起きてるの?」
「………………むー、ぐー………………」
………………な、なんだっ、寝言かぁ………………び、びっくりしたぁ………………って、いくら寝ぼけててもいきなり樹に、ちゅー、するのはっ、反則だよっ!!自分のことなんて棚にぽーいしてエリカのことを睨みつけ………………いや、眺める。
………………エリカって白いんだなぁ。なのにほっそりでも、むしろむっちりしてるわけでもなくて、むしろがっしりしてる。なんかこう、付いてほしいお肉とついて欲しくない脂肪のバランスがちょうどいい感じ。
栗色の髪が月明かりに照らされて淡い金に光る。こっそりひと房手に取ってすくってみる。こんな色だけど毛先はちゃんとまとまってて、指に絡めるとくるんと丸まる。………………ふふっ、面白い。
眠れないのをいいことに樹とエリカで遊んでいると、突然エリカがもぞもぞと動き出す。慌てて壁の方を向いて寝っ転がると、ウソの寝息を立てて様子をうかがってみる。
「んっ………………マホーロも、起きてる、のか………………?」
「ぐ、ぐー………………」
「………………なんだ、寝てるのか………………つまらんな、もう。」
そう言うとエリカはまたごろんと横になったみたいで、
「………………それにしても、樹と寝ると暑苦しいな………………汗ばんできた。」
そう言いながら、樹をつんつんとつついている。
「………………寝てるん、だよな。」
エリカが身体を起こす音がする。ぎしり、と鳴るベッドと聞こえてくる息遣いに、思わず私も身を固くする。………………………………ま、まさか………………エリカは………………確かめようと寝返りを打とうとしても、身体が強ばって動かない。そうしているうちにエリカから衣擦れの音がして、くぐもった声と水の音が聞こえる。………………や、やっぱりエリカは………………………………いや、こういう時ってそっとしておいてあげるのがマナーだよね。誰かに見られたらマズいことだし………………でもエリカ、私の部屋でスるなんて………………や、やっぱり、気持ちいい、のかな………………話を聞いてもいまいちよく分からないし、そもそも恥ずかしいからまともに聞いたりしたことないけどっ…………………わ、私だって、そういうのは、気になるし………………………………うずうず。
………………ごめんやっぱり無理、気になる。思い切って寝返りを打って目を開くと、そこにいたのは、
「………………………………あれ?」
「あっ………………マホーロ、起きてた………………いや、起こしちゃったか。」
下着一枚でミネラルウォーターを一気飲みするエリカの姿。
………………………………え?




