見て、見られて。
「................ひっく、ぐすっ................」
「........................い、いつき................」
「........................まほろに、見られた................」
........................さっきからずっとこの繰り返し。私が扉を開けて、樹の姿を見て凍りついた後、樹は金切り声を上げて、................すっ飛んできた人達には「ちょっとゴキ〇リが」って誤魔化して頭を下げて................それから、樹は布団に包まってずっと泣きじゃくったまま。
「................き、昨日、お風呂で、見た、じゃない................それに、これからも、お風呂とか、プールで、見るんだし................」
「そ、それでも恥ずかしいものは恥ずかしいのっ!!」
更に布団を強く握る樹。................そ、そう、かなぁ.......................?
「................ほら、早く、服、着ないと................風邪、引くよ................」
「........................もう引いてるもん。」
むすっとした声で樹が間髪入れずに返す。
「................なら、もっと、熱、上がるから................」
ね?と、床に落ちた服を拾い集める。
「................それ、脱いだやつだから................その辺にまとめて置いといて。」
「................な、なら................着替え................」
と、クローゼットの引き出しを開けようとすると、
「み、見ちゃダメっ!!」
と、樹が慌てて止める。
「................その、................子供っぽい、から................」
「................で、でも、何か着ないと................」
「................いい。私がやる。」
と、樹は布団を身体に巻き付けて起き上がる。そのままヨタヨタと歩いて................あ、コケた。
「................む、無理しちゃ、ダメ................」
................もう、仕方ない。私はクローゼットの引き出しを開けて、なるべく見ないようにしながら下着と普段着を取り出して樹に差し出す。
「................ありがと................その、後ろ向いてて。」
回れ右して壁の方を向くと、少ししてから衣擦れの音が聞こえてくる。
(................み、見ないようにしないと................)
振り向きたいのを我慢して、樹が着替え終わるまで待つ。................ま、まだかな................。
「................ねぇ、磨穂呂。」
「な、なに................?」
「................その................どこまで見た?」
「................なに、を................?」
「................私の、ハダカ................」
「................ど、どこまで、って................................そ、その................」
................ホントを言うと、全部................だけど、
「................お、お腹、とか................」
樹がため息をつく。
「................言い淀んだってことは、全部見ちゃった訳ね................」
「................................うん................」
諦めて白状する。
「................見ても面白くないでしょ、こんな身体................」
................な、なんて答えたらいいんだろ................。
「................私も磨穂呂みたいに大人っぽかったら、................いいのに。」
「................そうでも、ない、よ................」
思わず私は反論する。キョトンとする樹を前にして、私は続ける。
「........................小学生の、時に、................男の子に、からかわれたし................水泳の時も、私だけ、見学したり................着替えの時も、他の子の、視線を感じたり................」
................とにかく、人と違うこと、目立つことが嫌いだったから、私にとってはどれも苦痛だったし................
「................磨穂呂........................」
樹の視線は、いつものじっと観察するような目線じゃなくて。
「................私は、おっきな磨穂呂、スキ................だよ。」
「........................ほんと?」
「........................ほんと。」
................そっか、私は................おっきくても、いいんだ。
「................あ、アイス................」
「あっ................忘れてた。」
慌ててビニールから出すと、すっかりもう柔らかくなってて。
「................いいや、このまま飲も。」
そう言うと、樹は封を切って一気に飲み干す。それを見て私も、イチゴアイスの封を切って少しずつ吸い上げる。そんな私の喉元を樹が眺めてるのには、私は気が付かなかった。
まほろんの体格についてですが、公式からは『制服着用時でも少し膨らみが分かる大きさ』、とだけ。




