すべてが判明した時、綺麗に繋がるはず
話に耳を傾けていた朱翠影の表情が変わった。
一体どうしたのだろう……雪華は縁側で隣に座る彼に尋ねた。
「朱殿? 何か気になることがありましたか?」
「消えた魏祥は沶竟出身だった――これは重要な情報のような気がします。そして過去、沶竟で若い女性が何人か消えている件も、すべてが判明した時、綺麗に繋がるはずだ。飛頭蛮が実在するのか、しないのか、それは専門外なので私には分かりません。しかしたとえ怪異が実在するのだとしても、やはりこの情報には意味があるはず」
「根拠は?」
「説明できません。頭のどこかではすでに点と点が繋がっているのかも……けれどまだ私自身がそれを把握できていない。勘としか言いようがないですが、この情報が鍵だと思います」
生活していると『偶然の一致』というのは割と起こる――誰かのことを考えていたら出先でばったり会ったとか、最近知り合った人と雑談していたら故郷が一緒だったことが判明したとか。
けれど朱翠影は、『消えた魏祥が沶竟出身だったことは、偶然の一致ではない』と考えているようだ。今回は理由があってそうなっている――言い方を変えれば、『魏祥は沶竟出身だったことが原因で、現地で消息不明になり、まだ見つかっていない』ということになるのだろうか。
もしかすると朱翠影は頭が良すぎるのかもしれない。
普通は一、二、三、四、五――と順に思考を進めて行くが、朱翠影の頭の中では途中を省略して、一から五へと最短距離で到達する癖がついている。
これは武人にとっては最適な特性で、省けるものは省いたほうが判断は速くなるから、生存確率は上がる。
日頃から誰かに、自分の思考の流れを説明するという訓練を繰り返していると、次第に途中の二、三、四も省略しないように矯正されるものだけれど、おそらく朱翠影はそういったことをしてきていない。武人である彼には、その訓練自体が邪魔になるからだ。
――それで私はどうすべきか? 雪華は考え、すぐに結論を出した。
朱翠影の勘を信じる――そうしたほうが良いという確信がある。
そして彼にはっきりと指摘されたことで、雪華の頭の中に変化が起きた。
女官たちから聞き出した話が、一度ばらばらに分解され、重要なこと、重要ではないことに分類されていく。
そして散らばっていた点と点が、朧ではあるが、ひとつに繋がり始めた気がした。




