表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後宮の縁切り女官 ~悪縁を断つ救国の巫女は皇弟に溺愛される~  作者: 山田露子 ☆ヴェール小説4巻発売中!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/83

あの晩起きた奇妙なこと

 

 今の話を聞く限り、おう賢妃けんぴ健気けなげで、真っ直ぐな性格をしているように思える。もしかするとそういうところが、後宮で浮いてしまった原因なのかもしれない。

 計算高く本心を話さない人たちの中に、子供のように伸びやかで素直な人が交ざれば、皆と違うという理由だけで敵視されてもおかしくない。

 しかも実家が有力で、本人はあの素晴らしい美貌の持ち主とくれば――すべてを手にしている完璧な女性ということで、なおさら周囲は面白くなかったのではないか。


 敵はほかの妃だけかと思いきや、付き人の女官も忠実ではない。

 桃義とうぎは明らかに、おう賢妃けんぴを嫌っている。

 先ほど桃義とうぎは「おう賢妃けんぴは慶昭帝に捨てられて」と言ったが、この表現には悪意があると思った。


 雪華は『おう賢妃けんぴが捨てられた』という解釈はしていない。

 これは慶昭帝が悪いわけでもない……世の中にはどうにもならないことがある。

 むしろ慶昭帝が情念で物事を判断する人で、おう賢妃けんぴを特別扱いしてかばったならば、そうした小さなことがきっかけで、国は崩壊していくかもしれない。

 おう賢妃けんぴはそれを理解して、慶昭帝のために身を退くことにしたのだ。


 ここで雪華はあることに気づいた――もしかして桃義とうぎは、慶昭帝のことが好きなのでは?

 時代によっては、皇帝が下働きの女官を寝所に呼ぶこともあったらしい。

 けれど慶昭帝はそういうことをしないのだろう。雪華に対しても「妃ではなく、女官とする」と明言し、彼の中で「妃」と「女官」をしっかり線引きをしているようだった。

 けれど桃義とうぎは慶昭帝の気質を知らない。

 彼女は華やかな見た目をしているから自信もあるだろうし、『もしかすると私は慶昭帝に見初められるかも』という期待をずっと抱いていたのかもしれない。

 けれど実際に慶昭帝からお呼びがかかることはなく、期待が外れ続けた失意はやがて、あるじのおう賢妃けんぴへの憎しみに変わっていった。


 慶昭帝、罪作りだな……。


 ……だけど、あれ?

 雪華は違和感を覚え、探るように桃義とうぎの小作りな顔を見つめた。


桃義とうぎさん――あなたはおう賢妃けんぴと一緒に境内を散歩したかったのでは? 魏祥ぎしょうさんが何か悪さをするつもりだと言い出したのはあなたですし、すべてを見届けるつもりなのかと思いました」


 雪華は内心で、『あなたが嫌っている魏祥ぎしょうおう賢妃けんぴに詰められる場面ですよ、絶対に見逃したくないでしょう?』と疑っていた。

 すると桃義とうぎが腕組みをして、意地悪く横目で豊紈ほうかんを流し見た。


「私だってそうしたかったわ……だけどあの晩は奇妙なことが起きて」


「奇妙なこと?」


「寺院の表門で小火ぼや騒ぎがあったのです。寺院に雇われている警備兵と一緒に、おう賢妃けんぴ付きの武官もひとり、確認に向かいました。出て行ったのは程汧ていけん殿のほうです。その騒動の中、ふと気づいたら、部屋から魏祥ぎしょうの姿が消えていました」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ