表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後宮の縁切り女官 ~悪縁を断つ救国の巫女は皇弟に溺愛される~  作者: 山田露子 ☆ヴェール小説4巻発売中!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/83

韋節度使、おそるべし

 

 国家機密……? 雪華は眉を顰めた。謎が謎を呼び、何ひとつ答えが出ない。

 ただそうなると……雪華は慎重に口を開く。


「ここが国にとって重要な拠点なら、韋節度使がいなくなっても、代わりの誰かが護ってくださるということですか?」


 それはたとえば、代替わりした新しい節度使とか、あるいは都の誰かとか。


「そうなる」


 朱翠影が頷いた。

 かたわらで聞き耳を立てていた豆妹がぱあっと顔を明るくし、こちらに寄りかかってきた。幼いながらに不安だったのだろう。怖かったよね……いたわるように豆妹の小さな手を撫でていると、朱翠影が驚きの内容を口にした。


「ただ、君たちにとってそれは良いことばかりではない」


「なぜです?」


「韋節度使が取り決めた『不可侵』――これは朝廷に対しての牽制けんせいにもなっていた」


「どういうことですか?」


「分かりやすく説明すると、韋節度使の主張はこうだ――『烏解うかいは国にとって重要だろう、だから異民族が攻めて来ないよう、西部流のやり方で俺が護ってやる。だから朝廷は一切口を出すな。関わるな。足を踏み入れるな』――これを受け入れ、我々はずっと烏解の自治に口を出せなかった。だからこの地方に後宮から使者が来たことはなかっただろう」


 あ……! 驚きの声が出そうになった。

 確かにそう――後宮入りする妃や女官は本来、全国から広く集められる。けれどこの山村から後宮に連れて行かれた者はひとりも存在しない。少なくとも直近の十数年は誰も招集されていないはずだ。

 雪華はこれまで『ここがあまりに田舎だから、後宮から使者が来ないのかな』と流していたけれど、改めて考えてみるとやはりありえない。

 それは韋節度使というこの地方を束ねる大物が、中央の力が及ばないよう、突っ撥ねていたせいなのか……『不可侵』の約束事は異民族に対してもそうだし、同時にこの国の頂点である皇帝にまで及んでいた。


 韋節度使、おそるべし……何者なのだ、あなたは。

 すでに亡くなったあとだが、彼の辣腕らつわんぶりに震えが出る。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ